公式資料をもとに整理
公共工事を直接請け負う電気工事業者の経営事項審査(対象工事・受審の時期・申請先)
国や地方公共団体などが発注する建設工事を、発注者から直接請け負おうとする建設業者は、経営事項審査(経審)を受けている必要があります。対象になる工事の範囲、審査を受けてから契約できる期間(契約日の1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降)、審査の2つの手続き、評価される項目を、建設業法と同法施行規則から整理します。
公開日: 2026-10-05 / 最終更新: 2026-10-05 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
経営事項審査が必要になる工事
経営事項審査が必要なのは、公共性のある施設・工作物の建設工事で政令が定めるものを、発注者から直接請け負う場合です。e-Gov法令検索「建設業法」第27条の23第1項がこれを定め、対象の工事は建設業法施行令第45条が次のとおり決めています。
| 確認する点 | 条文の内容 |
|---|---|
| 発注者 | 国、地方公共団体、法人税法別表第一の公共法人(地方公共団体を除く)、これらに準ずるものとして国土交通省令で定める法人 |
| 工事の金額 | 工事一件の請負代金の額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上) |
| 対象外 | 放置すると著しい被害を生ずるおそれのある施設の破壊等に対する応急の工事(電気設備の故障を含む)、経営事項審査を受けていない建設業者が直接請け負うことにやむを得ない事情があるとして国土交通大臣が指定する工事 |
民間発注の工事や、公共工事でも元請業者から請け負う下請工事は、この条文の「発注者から直接請け負う」には当たりません。ただし、発注者や元請業者が取引条件として結果通知書の提出を求めることはあるため、契約条件の確認は別に必要です。建設業許可が前提になる金額の考え方は建設業許可が不要な「軽微な建設工事」の金額の数え方で整理しています。
契約日から数える受審の時期
対象の工事を請け負う建設業者は、発注者と請負契約を締結する日の1年7月前の日の直後の事業年度終了の日以降に、経営事項審査を受けていなければなりません(施行規則第18条の2)。決算日を基準にした期限なので、決算を迎えるたびに次の審査を受け続けないと、公共工事を直接請け負える期間が途切れます。
この条文を読んだ計算例を示します。3月決算の会社が、2026年3月31日の決算を基準に受審した場合です。
2027年10月15日に契約するなら、1年7月前は2026年3月15日で、その直後の事業年度終了の日は2026年3月31日なので、要件を満たします。2027年11月15日に契約するなら、1年7月前は2026年4月15日で、直後の事業年度終了の日は2027年3月31日となり、2026年3月決算の審査では足りず、2027年3月決算の審査が必要です。
契約日が境目の月末付近になる場合の扱いは、発注者の入札参加資格の案内と許可行政庁の公式資料で確認してください。入札参加資格の審査(発注者ごとの名簿登録)は経営事項審査とは別の手続きです。
2つの手続きと申請先
経営事項審査は、次の2つの事項を数値で評価して行われます(法第27条の23第2項)。経営状況は国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関が分析し、経営規模・技術力などは建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事が評価します。
| 手続き | 内容 | 申請先 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 経営状況分析 | 経営状況の分析。結果の数値が登録経営状況分析機関から通知される | 登録経営状況分析機関 | 法第27条の24・第27条の25 |
| 経営規模等評価 | 経営規模、技術的能力などの評価。結果の数値が通知される | 建設業の許可をした国土交通大臣または都道府県知事 | 法第27条の26・第27条の27 |
| 総合評定値の請求 | 2つの結果の数値を用いて算出された総合評定値の通知を受ける | 経営規模等評価の申請先と同じ許可行政庁 | 法第27条の29 |
総合評定値は、経営規模等評価を申請した建設業者が請求したときに通知されます。請求には、登録経営状況分析機関から通知を受けた結果の数値を許可行政庁に提出する必要があります(法第27条の29第2項)。公共工事の発注者が許可行政庁に請求して、総合評定値の通知を受ける仕組みもあります(同条第3項)。
評価される項目
経営規模等評価で見られる客観的事項は、経営規模と技術的能力のほか、施行規則第18条の3第1項の8項目です。8項目は、建設工事の担い手の育成・確保、建設業の営業継続、法令遵守、建設業の経理、研究開発、防災活動への貢献、建設機械の保有、国や国際標準化機構の規格による認証・登録の状況です。
技術的能力は、第7条第2号イ・ロ・ハまたは第15条第2号イ・ロ・ハに該当する人の数、登録基幹技能者講習を修了した人の数、元請完成工事高などで評価されます(同条第2項)。営業所技術者の要件と同じ区分が、人数の数え方に関係します。要件の中身は電気工事業で建設業許可を取得するための人的要件(営業所技術者)で整理しています。
評点の配点や算式は国土交通大臣が定める告示で決まり、改正されることがあります(法第27条の23第3項)。具体的な点数は、国土交通省の最新の改正資料で確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。審査の申請時期・必要書類・手数料、個別の契約日で受審済みの結果が使えるか、発注者の入札参加資格との関係は、許可行政庁と発注者の公式資料で最終確認してください。
専任の監理技術者の資格者証と講習は監理技術者資格者証と監理技術者講習の要否・有効期間、決算ごとの届出などの許可後の義務は建設業許可(電気工事業)の届出義務(決算変更届・変更届出・技術者欠員時の届出)で整理しています。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。