作業者の資格と事業者の登録を分けて判断

洗濯機・洗濯乾燥機の設置の資格と登録

洗濯機の本体の設置と、既設のコンセントへのプラグの差込みは、電気工事士の資格が必要な作業にはなりにくい作業です。コンセントの新設や100Vから200Vへの変更、アース工事が加わると、電気工事士が必要な作業になります。

公開日: 2026-10-16 / 最終更新: 2026-10-16 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:据付けは軽微、コンセントとアースは電気工事

電気工事士法施行令第1条第一号は、電圧600ボルト以下で使用する差込み接続器などの接続器にコードやキャブタイヤケーブルを接続する工事を、軽微な工事として電気工事から除いています(e-Gov法令検索「電気工事士法施行令」)。洗濯機の電源プラグを、すでにある適合したコンセントに差し込むだけの作業は、配線への工事が生じません。

一方、電気工事士法施行規則第2条第2項は、電線相互を接続する作業や、電線を造営材に取り付ける作業などを、軽微な作業から除いています。電圧600ボルト以下の電気機器への接地線の取付けを除く接地の作業も、資格が必要な作業に入っています(e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」)。洗濯機のそばにコンセントがない場合の増設や、接地極のないコンセントの交換は、この作業にあてはめて判断します。

  1. 作業者の判定:適合する既設のコンセントにプラグを差すだけなら、資格が必要な作業は生じにくい。コンセントの新設、埋込形コンセントの交換、100Vから200Vへの変更、接地極の埋設とその接続は、電気工事士が行う。
  2. 事業者の判定:コンセントの新設などの電気工事を反復・継続して請け負うなら、建設業許可がない事業者は登録、許可がある建設業者は電気工事業開始届出(みなし登録)を確認する。

経済産業省のQ&Aは、接地端子付きコンセントに洗濯機などの機器の接地線を単にねじ止めする作業を、電気工事士が実施する必要がない作業としています(経済産業省「電気工事士法に関するQ&A」)。登録の要否を洗濯機の設置で名指しした国の案内は見当たらないため、登録の部分は条文とメーカー資料を作業にあてはめた整理です。

メーカー2社の据付説明書が求める電源の条件

ミーレ・ジャパンの洗濯機・乾燥機(WTR860・WTD160)の据付手順書は、安全上の注意で、電源は単相200Vの専用コンセント(アース付)の専用回路を用意し、D種接地工事を必ず行うよう求めています(ミーレ 据付手順書)。漏電しゃ断器を必ず取り付けること(法令で規定とされています)、電源コードの切断や直結をしないことも書かれています。

同じ手順書の電気設備の節は、本体の周辺に単相200V・15A(アース付)のコンセントがある場合は工事が不要で、ない場合は新規設置または変更工事(100Vから200V・15A)が必要としています。

パナソニックの乾燥機付きドラム式洗濯機(NA-VD100)の据付説明書は、電源コンセントにアース端子がある場合は、定格15A以上・交流100Vのコンセントを単独で使うよう求めています。他の器具と併用すると発熱による火災の原因になる、という理由が書かれています。

アース端子がない場合は、アース工事を必ず販売店または電気工事店に依頼するよう求め、工事費は本体価格に含まれないとしています(パナソニック 据付説明書)。この説明書は旧型の機種のものですが、水気や湿気の多い場所では電気工事士によるD種接地工事を求める記載もあります。

これは2社の記載です。必要な電源は機種で異なるため、施工する機種の説明書で確かめてください。メーカーの記載は法令上の判定そのものではなく、法令の線引きは次の表で確認します。

作業内容別の確認表

次の表は、施行令第1条と施行規則第2条第2項を、洗濯機の設置で出てくる作業にあてはめたものです。

作業内容ごとの資格・登録確認
作業例電気工事士資格事業者登録の確認
本体を据え付け、プラグを既設の適合するコンセントに差すコードを接続器に接続する工事に当たり、施行令第1条第一号の軽微な工事として整理できるこの作業だけなら対象外
既設の洗濯機を新しい機種に取り替える(コンセントはそのまま)配線を伴わなければ不要この作業だけなら対象外
洗濯機の近くにコンセントを新設し、屋内配線から電線を引く電気工事士が必要(電線の接続や造営材への取付けを伴う)登録等を確認
アース端子のない埋込形コンセントを、接地極付に交換する電気工事士が必要(配線器具の取付けと電線の接続)。露出形コンセントの取換えは除かれている登録等を確認
100Vのコンセントを200V・15Aのコンセントに変更する電気工事士が必要(配線器具の取付けと電線の接続。回路の変更は分電盤側の作業も伴う)登録等を確認
本体のアース線を、コンセントの接地端子にねじ止めする不要。経産省のQ&Aが、接地端子付きコンセントに洗濯機などの接地線を単にねじ止めする作業は、従来から電気工事とは扱っていないと回答しているこの作業だけなら対象外
接地極(アース棒)を埋設し、接地線を接続する電気工事士が必要登録等を確認
専用回路のブレーカーや漏電しゃ断器を分電盤に増設する電気工事士が必要登録等を確認

洗濯機の据付けと、コンセントやアースの工事を見積りで分けておくと判断しやすくなります。給水・排水の工事は電気工事ではなく、水道法などの別の決まりに従います。

100Vか200Vかを先に確かめる

ドラム式の洗濯乾燥機では、100Vの機種と200Vの機種があります。ミーレの手順書は200V・15Aを、パナソニックの説明書は100V・15A以上を、それぞれ求めています。見積りの前に、機種の説明書の電源の項で電圧と電流を確認します。

200Vが必要な機種を、100Vのコンセントしかない住宅へ入れる場合は、コンセントの新設か変更が必要です。この工事は電気工事士が行う作業で、分電盤のブレーカーの種類にも関わるため、現地の確認が欠かせません。電圧の考え方は供給電圧の許容範囲、漏電しゃ断器は漏電しゃ断器の設置要件で確認できます。

事業者の登録・開始届出の確認

資格が必要な作業を含む電気工事を、反復・継続して請け負うなら、建設業許可がない事業者は登録電気工事業者の登録、許可がある建設業者は電気工事業開始届出(みなし登録)の確認が必要です(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」)。登録が不要になる境界は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界にまとめています。

本体の据付けだけを請け負い、電気工事は別の業者に外注する場合も、元請が電気工事を請け負っていないかを確認します。販売に付随する工事の考え方はビルトイン食洗機の記事の同じ節にあります。

受注前チェックリスト

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の作業が電気工事士法上の電気工事に当たるか、事業形態が電気工事業法上の登録・通知等を要するかは、具体的な施工範囲を示して所轄行政庁へ確認してください。

次に知りたいこと:コンセント・スイッチ・照明・インターホンの工事ごとの資格早見表、接地工事のA種からD種の違い、電気工事士資格と事業者登録の違い。

同種の工事はウォシュレットの取付の資格と登録、浴室暖房乾燥機の設置の資格と登録でも確認できます。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。