公式資料をもとに整理
電気工事士でなくてもできる作業(軽微な作業・補助作業)と資格が必要な12作業
電気工事士法施行規則第2条は、電気工事の作業のうち資格が必要なものを12項目に限って列挙し、それ以外の作業と、電気工事士が従事する作業を補助する作業は、資格がなくても従事できると定めています。ただし、補助できるのは電気工事士の作業に限られ、電気工事業者が無資格者を従事させる場合は電気工事業法第21条の制限もあります。条文に沿って、その境界を整理します。
公開日: 2026-10-02 / 最終更新: 2026-10-02 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
「軽微な工事」「軽微な作業」「補助作業」の違い
資格が不要になる理由は3通りあり、「電気工事そのものから除かれる」のか、「電気工事には当たるが作業としては資格が要らない」のかで、電気工事業の登録・通知への影響が変わります。経済産業省の資料「電気工事士等資格が不要な『軽微な工事』とは」は、この3つを区別して示しています。
| 名称 | 根拠 | 電気工事に当たるか | 資格 |
|---|---|---|---|
| 軽微な工事 | 電気工事士法第2条第3項ただし書・同法施行令第1条 | 当たらない(電気工事から除かれる) | 不要 |
| 軽微な作業 | 電気工事士法第3条第1項・第2項のかっこ書・同法施行規則第2条第1項第1号・第2項第1号 | 当たる | 不要(保安上支障がないと認められる作業) |
| 補助作業 | 同法施行規則第2条第1項第2号・第2項第2号 | 当たる | 不要(電気工事士が従事する作業を補助する作業) |
電気工事士法施行令第1条の軽微な工事(6類型)だけを行う場合は電気工事に当たらないため登録・通知の対象外ですが、軽微な作業・補助作業は電気工事に含まれるため、この点は同じには扱えません。6類型の内容は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で整理しています。この記事は、その外側にある「軽微な作業」と「補助作業」を扱います。
資格が必要な12作業
自家用電気工作物の電気工事は第一種電気工事士が、一般用電気工作物等の電気工事は第一種または第二種電気工事士が従事しなければならず、資格が必要な作業は施行規則第2条第1項第1号のイからヲまでの12項目です。電気工事士法第3条第1項・第2項は、資格者でなければ電気工事の作業に従事してはならないとしたうえで、保安上支障がない作業を経済産業省令に委ねています。電気工事士法施行規則第2条は、この作業を「次に掲げる作業以外の作業」という書き方で定めているため、下の表に載っていない作業が資格不要の軽微な作業になります。
| 号 | 作業 | 条文上のかっこ書き・除外 |
|---|---|---|
| イ | 電線相互を接続する作業 | 電気さく(定格一次電圧300V以下で出力電流を制限できる電源装置から供給されるもの)の電線を接続する作業を除く |
| ロ | がいしに電線を取り付け、または取り外す作業 | 電気さくの電線とそれに接続する電線を除く |
| ハ | 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く)に取り付け、または取り外す作業 | なし |
| ニ | 電線管・線ぴ・ダクトなどに電線を収める作業 | なし |
| ホ | 配線器具を造営材その他の物件に取り付け・取り外し、またはこれに電線を接続する作業 | 露出型点滅器または露出型コンセントを取り換える作業を除く |
| ヘ | 電線管を曲げ、またはねじ切りし、電線管相互・電線管とボックスなどの附属品とを接続する作業 | なし |
| ト | 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、または取り外す作業 | なし |
| チ | 電線・電線管・線ぴ・ダクトなどが造営材を貫通する部分に、金属製の防護装置を取り付け、または取り外す作業 | なし |
| リ | 金属製の電線管・線ぴ・ダクトやその附属品を、建造物のメタルラス張り・ワイヤラス張り・金属板張りの部分に取り付け、または取り外す作業 | なし |
| ヌ | 配電盤を造営材に取り付け、または取り外す作業 | なし |
| ル | 接地線を自家用電気工作物に取り付け・取り外し、接地線相互または接地線と接地極とを接続し、または接地極を地面に埋設する作業 | 最大電力500キロワット未満の需要設備にある電圧600V以下の電気機器と、電気さく用の接地線を除く |
| ヲ | 電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業 | なし |
一般用電気工作物等については、第2項第1号が同じ作業のうち第1項のイからヌまでとヲに、接地に関する別の定め(電圧600V以下の電気機器を除く接地線・接地極の作業)を加えたものを資格が必要な作業としています。ホの露出型点滅器・コンセントの取換えのように、一見すると配線器具の作業でもかっこ書きで資格が不要になる作業があるため、作業名だけで判断せず、かっこ書きまで読む必要があります。
特殊電気工事(ネオン工事・非常用予備発電装置工事)は特種電気工事資格者、簡易電気工事は認定電気工事従事者の制度があります。資格の種類は特種電気工事資格者・認定電気工事従事者の認定基準と申請手続きで整理しています。
補助作業として認められる範囲
資格がない人が補助作業として従事できるのは、電気工事士が従事する資格必要作業を補助する場合に限られ、補助する相手の資格は工作物の種類で異なります。条文上の補助の相手は、次のとおりです。
| 工作物 | 条文 | 補助の対象 |
|---|---|---|
| 自家用電気工作物 | 第1項第2号 | 第一種電気工事士が従事する、第1号イからヲまでの作業を補助する作業 |
| 一般用電気工作物等 | 第2項第2号 | 電気工事士が従事する、第2項第1号イ・ロの作業を補助する作業 |
自家用電気工作物では、補助の相手は第一種電気工事士と書かれており、第二種電気工事士の作業を補助する作業は同じ条文の補助作業には当たりません。どの作業までが「補助する作業」に当たるかは、施行規則の条文は具体例を挙げていないため、個別の作業ごとに所轄の窓口で確認することになります。経済産業省の電気工事業法の逐条解説は、資格がなくても従事できる作業を概括的に「工事材料の運搬等一般用電気工作物等の保安確保上特に重要性をもたない作業」と「電気工事士の実施する作業を補助する作業」の2つに分けて説明しています(同解説第21条の解説2)。
事業者が無資格者に作業をさせるときの制限と罰則
電気工事士法に基づいて資格が不要な作業でも、電気工事業者は、業務に関してその作業以外の作業に資格のない人を従事させてはならず、違反すると事業者側にも罰則があります。電気工事業法第21条の対応は次のとおりです(条文はe-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」で確認できます)。
| 対象 | 制限される事業者 | 従事させてはならない人 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 自家用電気工事(特殊電気工事を除く) | 電気工事業者(第1項) | 第一種電気工事士でない者(省令で定める作業を除く) | 事業者:電気工事業法第37条(3月以下の拘禁刑もしくは3万円以下の罰金、または併科) |
| 一般用電気工事 | 登録電気工事業者(第2項) | 第一種・第二種電気工事士でない者(省令で定める作業を除く) | |
| 作業をした本人 | (個人) | 資格が必要な作業に従事した資格のない人 | 電気工事士法第14条(3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金) |
事業者側の罰則と作業者側の罰則は別の条文で定められており、電気工事士法第14条は資格のない本人にも、電気工事業法第37条は従事させた事業者にも適用される形になっています。なお、この表は第3項の特殊電気工事(特種電気工事資格者でない者の従事の制限)を含みません。電気工事業法のその他の義務と罰則の全体は登録電気工事業者の登録後に確認する義務と電気工事業法の監督処分と罰則で整理しています。
この整理で言えないこと
- 具体的な作業が「軽微な作業」「補助作業」のどちらに当たるか、または資格が必要かは、作業の内容と現場の状況によって異なり、この記事では判定できません。
- 資格が不要な作業だけを行うことが、電気工事業の登録・通知を不要にするとは限りません。登録・通知が要るかどうかは、事業としてどの工事を行うかで別に判断します(電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界)。
- 資格の取得要件と免状の手続きは電気工事士免状の要件、免状と登録の違いは電気工事士免状と電気工事業登録・通知の違いで扱っています。
- 労働安全衛生法・建設業法など、電気工事士法・電気工事業法以外の法令の規制は、この記事の対象外です。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が資格を必要とするか、補助作業として従事させられるかは、営業所の所在地を管轄する都道府県または経済産業局の窓口で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。