作業者の資格と事業者の登録を分けて判断

電気工事士が不要な軽微な工事6種類(施行令第1条)

電気工事士法施行令第1条の「軽微な工事」は6種類で、いずれも電気工事そのものから除かれているため、電気工事士の資格は不要で、電気工事業の登録の対象にもならないと考えられます。ただし、各号は対象の機器と作業が細かく限られ、範囲を超えると資格が必要になります。号ごとの限定条件と、超えた場合の例を確認します。

公開日: 2026-10-16 / 最終更新: 2026-10-16 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:6種類の軽微な工事は電気工事から除かれる

電気工事士法施行令第1条は、電気工事士法第2条第3項ただし書の政令で定める軽微な工事として、6種類を挙げています(e-Gov法令検索「電気工事士法施行令」)。経済産業省は、これらの工事が施行令第1条で電気工事から除外されているため、電気工事士等の資格は不要だと案内しています(経済産業省「電気工事の安全」)。

ここでいう「軽微」は、施行規則第2条の「軽微な作業」とは別の仕組みです。名前が似ていて混同されやすいため、先に3つの区分を整理します。

3つの区分:資格が要る作業・軽微な作業・軽微な工事

経済産業省の資料は、一般用電気工作物等または自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)を設置・変更する工事を、次の3つに分けています(経済産業省「電気工事士等資格が不要な「軽微な工事」とは」)。

電気工事士法における3つの区分
区分根拠電気工事に当たるか電気工事士の資格
資格が必要な作業(電線相互の接続、配線器具の取付けなど)施行規則第2条の列挙作業当たる必要
軽微な作業(列挙作業以外の作業、有資格者の補助作業)施行規則第2条当たる不要
軽微な工事(この記事の6種類)施行令第1条当たらない不要

軽微な作業は電気工事に含まれるため、反復・継続して請け負えば電気工事業の登録等の対象になります。軽微な工事は電気工事そのものから除かれる点が、最も大きな違いです。

6種類の範囲と限定条件

施行令第1条各号の軽微な工事と、経産省資料の例・限定(「条文上」と付けた部分は条文からの補足)
号工事の内容(第1〜3号は電圧600V以下)経産省資料の例・限定
第1号差込み接続器、ソケット、ローゼットなどの接続器や、スナップスイッチなどの開閉器に、コードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事差込プラグとプラグ受け、ソケット、コード吊り灯のキャップ側が対象。天井側に取り付けるローゼットのボディは除かれ、資格が必要。コード以外の電線を接続する場合も資格が必要
第2号電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に、電線をねじ止めする工事汎用モーターや農業用ポンプの端子箱内のねじ止めなどが主な例。「電気機器」は電気用品安全法施行令の別表に掲げる交流用電気機械器具とされ、配線器具は含まれない
第3号電力量計、電流制限器、ヒューズを取り付け、または取り外す工事電力量計とアンペアブレーカーは、電力会社が契約に基づき需要家に設置する機器のため、電気工事士法の対象外とされている
第4号電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球などに使う小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線工事変圧器で36V以下に下げた後の配線が対象。条文上、二次側の配線工事に限られ、変圧器の一次側(100Vなど)は含まれない
第5号電線を支持する柱、腕木などの工作物を設置・変更する工事電線を支える柱などの設置・変更は資格不要
第6号地中電線用の暗渠または管を設置・変更する工事電線を入れる管などの設置・変更は資格不要。条文上の補足として、電線を管に収める作業は施行規則第2条の列挙作業で、別に資格が必要

第1号のローゼットのボディは経済産業省の資料に明記があり、第4号の一次側と第6号の電線を管に収める作業は、条文と施行規則第2条の列挙作業から資格が必要になる側に入ります。

範囲を超えると資格が必要になる例

施行規則第2条第1項第1号ホは、配線器具を造営材その他の物件に取り付け、取り外し、またはこれに電線を接続する作業を、軽微な作業から外しています。括弧書きで除かれているのは、露出型点滅器と露出型コンセントを取り換える作業だけです(e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」)。

事業者の登録との関係

電気工事業法でいう「電気工事」は、電気工事士法第2条第3項の電気工事をいい、家庭用電気機械器具の販売に付随して行う工事は除かれます(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」)。経済産業省の資料に登録への直接の記載はありませんが、施行令第1条の軽微な工事は電気工事士法の電気工事から除かれているため、その工事だけを請け負う事業者は、登録の対象となる電気工事を行っていないと考えられます。

一方、軽微な作業は電気工事に含まれます。軽微な作業だけでも反復・継続して請け負えば、登録または通知の対象になる点は電気工事業の登録・通知が不要なケースの境界で確認できます。

受注前チェックリスト

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の作業が電気工事士法上の電気工事に当たるか、事業形態が電気工事業法上の登録・通知等を要するかは、具体的な施工範囲を示して所轄行政庁へ確認してください。

次に知りたいこと:電気工事士の資格が要る12作業と補助作業、コンセント・スイッチ・照明・インターホンの工事ごとの資格早見表、電気工事士資格と事業者登録の違い。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。