従業員を雇うときの雇用保険
雇用保険法とは(届出・失業等給付の条文)
雇用保険法は、労働者が失業したときの給付や、育児・介護の休業、教育訓練を受けたときの給付を定め、あわせて失業の予防や能力開発の事業を行う雇用保険の根拠法です。電気工事業者が従業員を雇うと、事業主として被保険者に関する届出が必要になります。 この記事では、目的、適用事業と適用除外、届出、給付の種類、雇用保険二事業、罰則までの主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。
公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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法律の目的と、労災保険との違い
第1条は、労働者が失業した場合と雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら教育訓練を受けた場合と、子を養育するための休業や所定労働時間を短縮した就業をした場合に必要な給付を行うことで、労働者の生活と雇用の安定を図り、就職を促進することを目的と定めています (e-Gov法令検索「雇用保険法」)。
雇用保険は離職や休業など「働けない・働き方が変わる」場面の給付、労災保険は仕事中や通勤中のけがなどの給付で、守る場面が異なります。どちらも労働者を雇う事業は適用事業となり、保険関係の成立と消滅は徴収法に従います(雇用保険法第5条第2項)。
労災保険の根拠法は労働者災害補償保険法の条文ごとの内容で整理しています。
失業等給付の4つの種類
第10条第1項は、失業等給付を「求職者給付」「就職促進給付」「教育訓練給付」「雇用継続給付」の4つと定めています。失業した人の基本手当は求職者給付の一つで、受給には離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが原則の要件です(第13条第1項。特定理由離職者などは離職の日以前1年間に6か月以上)。
| 区分 | 主な給付 | 根拠 |
|---|---|---|
| 求職者給付 | 基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当(高年齢被保険者は高年齢求職者給付金、日雇労働被保険者は日雇労働求職者給付金など) | 第10条第2項・第3項 |
| 就職促進給付 | 就業促進手当、移転費、求職活動支援費 | 第10条第4項 |
| 教育訓練給付 | 教育訓練給付金、教育訓練休暇給付金 | 第10条第5項 |
| 雇用継続給付 | 高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、介護休業給付金 | 第10条第6項 |
このほか、育児休業給付金(第61条の7)など子の養育に関する給付が、第10条とは別の章に定められています。 基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日が原則です(第22条第1項)。 65歳以上の被保険者は高年齢被保険者として、基本手当に代わる高年齢求職者給付金の対象になります(第37条の2)。
事業主に関わる条文と詳しいガイド
従業員を雇う事業主が押さえる条文を、適用事業・適用除外・届出・確認・不利益取扱いの順に並べました。右端の列から、掘り下げたガイドへ進めます。
| 項目 | 条 | 内容の要点 | 詳しいガイド |
|---|---|---|---|
| 適用事業 | 第5条 | 労働者が雇用される事業を適用事業とする。保険関係の成立と消滅は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(徴収法)の定めによる | 労災保険法とは(給付・特別加入の条文) |
| 適用除外 | 第6条 | 1週間の所定労働時間が20時間未満の者、同一事業主の適用事業に継続して31日以上雇用される見込みがない者などには、この法律を適用しない(例外あり) | 従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き |
| 被保険者の届出 | 第7条 | 事業主は、雇用する労働者が被保険者となったこと、被保険者でなくなったことなどを、厚生労働省令に従って厚生労働大臣に届け出る。建設の事業で元請負人が事業主とされる場合の下請負人の扱いも、この条に含まれる | 従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き |
| 確認の請求 | 第8条・第9条 | 被保険者または被保険者であった者は、いつでも、被保険者であることなどの確認を請求できる。確認は厚生労働大臣が行う | 従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き |
| 不利益取扱いの禁止 | 第73条 | 事業主は、労働者が確認の請求などをしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない | 電気工事業の従業員を解雇するときの30日前の予告と解雇予告手当 |
事業主が被保険者に関する届出をしないことや、偽りの届出をすることには、罰則があります(第83条第1号)。実際の届出の期限や提出先は、厚生労働省令とハローワークの案内で決まるため、加入手続きの記事で確認してください。
事業主として自ら働く一人親方は、被保険者となる雇用される労働者には当たらないのが原則です。ただし実態が労働者であれば別なので、ハローワークで確認してください。
ここに挙げたのは主な条文で、給付の額の計算、延長給付、給付制限、保険料率は省いています。 保険料の納付や加入の手続きは、徴収法に定められています。
雇用保険二事業
雇用保険法は、失業等給付のほかに、政府が行うことができる事業として雇用安定事業(第62条)と能力開発事業(第63条)を定めています。雇用安定事業は、事業活動の縮小を余儀なくされて労働者を休業させる事業主への助成、高年齢者の雇用の延長を行う事業主への助成などを含みます(第62条第1項)。能力開発事業は、労働者の能力の開発と向上を図るための事業です。
助成を受けられるかどうかは、条文ではなく個別の助成金の要領で決まります。申請の要否は、都道府県労働局またはハローワークに確認してください。
主な罰則
この法律の罰則は、届出と報告・検査への違反が中心です。届出をしない、偽りの届出をする、不利益な取扱いをする、報告をしない、立入検査を拒むといった行為が、第83条と第85条の罰則の対象です。
| 条 | 罰則 | 主な違反行為 |
|---|---|---|
| 第83条 | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 事業主が、被保険者に関する届出をしない・偽りの届出をしたとき、不利益取扱いの禁止(第73条)に違反したとき、報告や文書の提出の命令に違反したとき、離職者への証明書の交付を拒んだとき、立入検査の質問に答えない・検査を拒むとき |
| 第85条 | 6月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金 | 被保険者、受給資格者などが、報告や出頭の命令に従わない、立入検査の質問に答えない・検査を拒むとき(日雇労働被保険者手帳を不正に受けた場合を含む) |
法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が違反行為をしたときは、行為者のほか、その法人や人にも罰金刑が科されます(第86条)。 罰則の対象になる条文の全体は、e-Govの本文で確認してください。
この整理で言えないこと
この記事は条文の見取り図です。個別の従業員が被保険者になるか、基本手当をいくら、いつまで受けられるか、助成金の対象になるかは、働き方や離職の事情、厚生労働省令の定めで決まり、この記事では判定できません。 従業員を雇った後の加入手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続きで扱っています。
次に知りたいこと:労災保険・雇用保険の加入手続き、従業員を雇った電気工事業者の健康保険・厚生年金の加入、労働基準法とは。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。被保険者になるかどうかや届出の手続きは、所轄のハローワーク(公共職業安定所)または都道府県労働局に確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。