仕事や通勤でのけがの補償

労災保険法とは(給付・特別加入の条文)

労働者災害補償保険法は、仕事中や通勤中のけが・病気・障害・死亡に対して、国が保険給付を行い、社会復帰の促進や遺族の援護も図る労災保険の根拠法です。電気工事は感電や墜落のおそれがあるため、従業員を雇う事業者にも、一人親方にも関わりが深い制度です。 この記事では、目的、適用事業、保険給付の種類、給付の制限、特別加入、罰則までの主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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法律の目的と、労働基準法との関係

第1条は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由、または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため必要な保険給付を行い、あわせて社会復帰の促進、労働者とその遺族の援護、労働者の安全・衛生の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与することを目的と定めています (e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」)。

仕事でけがをした労働者への補償は、まず労働基準法が使用者に求め、労災保険がその補償を保険として支えています。労働基準法第75条は、使用者に療養の費用の負担を求めています。労災保険法の業務災害の給付は、労働基準法の災害補償の事由が生じたときに請求に基づいて行われます(第12条の8第2項)。

労働基準法の全体像は労働基準法とはで整理しています。

業務災害・複数業務要因災害・通勤災害の違い

第7条は、保険給付を「業務災害」「複数業務要因災害」「通勤災害」に関するものと、二次健康診断等給付の4つに分けています。業務災害は労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡、複数業務要因災害は複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とするもの、通勤災害は通勤による負傷、疾病、障害または死亡です。

労働者災害補償保険法の保険給付の区分(第7条第1項)
区分対象給付の根拠
業務災害労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡第12条の8(療養補償給付、休業補償給付など)
複数業務要因災害複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害または死亡第7条第1項第2号
通勤災害労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡第21条(療養給付、休業給付など)
二次健康診断等給付労働安全衛生法に基づく健康診断で、脳・心臓疾患に関わる検査の全項目に異常の所見があった労働者の請求に基づく給付第26条

通勤とは、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復などを、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有するものは除かれます(第7条第2項)。 経路を逸脱または中断した間とその後の移動は、日常生活上必要な行為で厚生労働省令が定めるものを最小限度で行った場合を除き、通勤になりません(同条第3項)。

条文ごとの内容と詳しいガイド

主な条文を、適用事業・給付の種類・給付の制限・社会復帰・特別加入の順に並べました。右端の列から、その条文を掘り下げたガイドへ進めます。

労働者災害補償保険法の主な条文と、このサイトの詳しいガイド
項目条内容の要点詳しいガイド
適用事業第3条労働者を使用する事業は適用事業となる。国の直営事業と官公署の事業(労働基準法別表第1に掲げる事業を除く)には適用しない従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き
保険給付の種類第7条保険給付は、業務災害、複数業務要因災害、通勤災害に関するものと、二次健康診断等給付の4つ従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き
業務災害の給付第12条の8療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料、傷病補償年金、介護補償給付。傷病補償年金と介護補償給付以外は、労働基準法の災害補償の事由が生じたときに請求に基づいて行う労働者死傷病報告の書き方(下請の休業の場合)
通勤災害の給付第21条療養給付、休業給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付、傷病年金、介護給付。通勤は、住居と就業の場所との間の往復などを合理的な経路・方法で行うこと(第7条第2項)従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き
給付の制限第12条の2の2労働者が故意に事故を生じさせたときは給付しない。故意の犯罪行為、重大な過失、正当な理由のない療養指示の不遵守があったときは、全部または一部を行わないことができる労働者死傷病報告の書き方(下請の休業の場合)
社会復帰促進等事業第29条政府は、被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者とその遺族の援護、労働者の安全・衛生の確保などの事業を行うことができる労働安全衛生法とは(責務・教育・健康診断の条文)
特別加入第33条〜第37条中小事業主、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする者(一人親方など)、厚生労働省令で定める作業に従事する者などが、承認を受けて保険の適用を受ける制度。団体を通じた申請の手続きが含まれる電気工事の一人親方の労災保険特別加入(対象・手続き・保険料)

労働者を使わない一人親方は、特別加入の承認を受けて初めて、労災保険の給付の対象になります(第33条第3号、第35条)。団体を通じた特別加入では、承認を受けた日が保険関係の成立の日とみなされ、団体が事業主とみなされます。 加入の手続きと保険料は一人親方の労災保険の特別加入で扱っています。

ここに挙げたのは主な条文で、給付の額、請求の期限、不服申立て、費用の徴収は省いています。 保険料の納付や加入の手続きは、労働保険の保険料の徴収等に関する法律に定められています。

主な罰則

この法律の罰則は、主に報告・検査への違反です。報告をしない、虚偽の報告をする、立入検査を拒むといった行為が、第51条と第53条の罰則の対象です。

労働者災害補償保険法の主な罰則
条罰則主な違反行為
第51条6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金事業主が、報告や文書の提出の命令に違反して報告をしない・虚偽の報告をしたとき、立入検査の質問に答えない・虚偽の陳述をする・検査を拒むとき
第53条6月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金事業主などを除く者が、報告や届出の命令、質問、診療録・帳簿書類の提示や検査に従わないとき

法人や人の代理人、使用人その他の従業者が違反行為をしたときは、行為者のほか、その法人や人にも罰金刑が科されます(第54条)。 罰則の対象になる条文の全体は、e-Govの本文で確認してください。

この整理で言えないこと

この記事は条文の見取り図です。個別のけがが業務災害や通勤災害に当たるか、いくら給付されるか、特別加入ができる作業の範囲に入るかは、事実関係や厚生労働省令の定めで決まり、この記事では判定できません。 現場でけがが起きたときの報告は労働者死傷病報告の書き方で扱っています。

次に知りたいこと:従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き、一人親方の労災保険の特別加入、労働安全衛生法とは。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。給付の請求や加入の要否は、都道府県労働局または所轄の労働基準監督署に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。