公式資料をもとに整理

電気工事業者の健康保険・厚生年金保険の加入条件

法人の電気工事業者は、代表者1人だけの会社でも原則として健康保険・厚生年金保険の対象になり、個人事業の電気工事業者は、常時5人以上の従業員を使うと対象になります。ここでは、電気工事業者が従業員を雇ったときの健康保険・厚生年金保険の加入の条件、事業主が出す届出の期限、保険料の負担を整理します。労災保険・雇用保険は別の制度で、別の記事にまとめています。

公開日: 2026-10-09 / 最終更新: 2026-10-09 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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法人と個人事業で変わる加入の条件

健康保険・厚生年金保険に入る単位は事業所で、法人の事業所は常時従業員を使っていれば対象、個人事業の事業所は業種と常時使う従業員の数で決まります。日本年金機構は、新規適用届の対象を「常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所」と「常時5人以上の従業員が働いている個人事業所」と案内しています (日本年金機構「新規適用の手続き」)。

電気工事業者の事業の形ごとの健康保険・厚生年金保険の適用
事業の形適用の扱い根拠
法人(株式会社・合同会社など)常時従業員を使用していれば対象。日本年金機構の案内では事業主のみの場合も含む厚生年金保険法第6条第1項第2号、日本年金機構の案内
個人事業で、常時5人以上の従業員を使う建設の事業は法律が定める対象の業種に入るため、強制的に対象厚生年金保険法第6条第1項第1号ロ、健康保険法第3条第3項第1号ロ
個人事業で、従業員が5人未満強制ではない。事業主が従業員の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣の認可を受ければ任意に対象にできる厚生年金保険法第6条第3項・第4項、健康保険法第31条

条文は厚生年金保険法と健康保険法の適用事業所の規定です。法人でも、保険に入る人が実際にいるかどうかで扱いが変わることがあるため、迷うときは年金事務所に確認してください。

電気工事の事業所は5人以上の個人事業の対象になる

法律の条文は、強制適用の対象に「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業」を挙げており、電気工事は工作物の建設・改造・修理にあたる工事です。個別の事業所の扱いは、管轄の年金事務所で確認してください。 サービス業の一部(クリーニング業、飲食店、ビル清掃業など)や農業、漁業などは5人以上でも強制の対象から外れますが、建設の事業はその例外ではありません。

建設業許可を受ける場合は、営業所が健康保険・厚生年金保険・雇用保険の適用事業所であることも許可の基準です。許可基準としての確認は建設業許可の社会保険加入要件で整理しています。この記事は、許可の有無にかかわらず従業員を雇ったときの加入の決まりを扱います。

事業所に入ったあと、従業員ごとの加入

適用事業所に使用される70歳未満の人は厚生年金保険の被保険者になり、健康保険も適用事業所に使用される人が被保険者になります。ただし、法律は臨時に使用される人などを除外しています。

所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者も、原則は対象外です。ただし、事業所が特定適用事業所に当たる場合などは、短時間労働者も対象になることがあります。電気工事の現場でパート・アルバイトを雇うときは、勤務の実態で変わるため、日本年金機構の特定適用事業所の案内と年金事務所で確認してください。

事業主が出す届出と期限

事業所が対象になったときの新規適用届と、従業員を雇ったときの被保険者資格取得届は、どちらも事実が発生してから5日以内に、事業主が事務センターまたは管轄の年金事務所へ出します。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参が案内されています。

日本年金機構が案内する主な届出(協会けんぽ管掌の場合)
届出出すとき期限主な添付書類
新規適用届事業所が健康保険・厚生年金保険に加入する要件を満たしたとき事実発生から5日以内法人は法人(商業)登記簿謄本、強制適用の個人事業は事業主の世帯全員の住民票。いずれも提出日から90日以内に発行されたもの
被保険者資格取得届従業員が加入の対象として雇われたとき事実発生から5日以内従業員の基礎年金番号通知書またはマイナンバーカードを提示して確認する(日本年金機構の案内)

資格取得届の提出期限は日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」で案内されています。健康保険の保険者が健康保険組合である場合の窓口は、組合の案内に従ってください。

保険料の負担と納付

保険料は、被保険者と事業主がそれぞれ半額を負担し、事業主が被保険者の分と自分の負担分をまとめて納める義務を負います。根拠は厚生年金保険法第82条と健康保険法第161条です。健康保険の任意継続被保険者は、全額を自分で負担します。

保険料の額は報酬の額(標準報酬)と保険料率で決まり、料率は協会けんぽの都道府県ごとの案内や年度で変わります。この記事では数値を載せません。

個人事業主本人と一人親方の場合

従業員がおらず、事業を1人で営む個人事業主や一人親方は、適用事業所に使用される人ではないため、一般に健康保険・厚生年金保険ではなく国民年金(第1号被保険者)の対象になります。日本年金機構は、第1号被保険者を、日本国内に住む20歳以上60歳未満の自営業者、農業者、学生、無職の人などで、厚生年金保険や共済組合に加入しておらず第3号被保険者でない人と案内しています (日本年金機構「国民年金の第1号被保険者・第3号被保険者とは」)。

法人にして役員報酬を受ける場合は、役員が法人に使用される人として被保険者になるかどうかを年金事務所に確認します。個人事業から法人に変える場合の登録・許可の扱いは個人事業主が法人成りした場合の電気工事業登録と建設業許可で整理しています。一人親方の労災保険は一人親方の労災保険特別加入が別の制度です。

届出をしなかったときの罰則

事業主が正当な理由なく届出をしない、または虚偽の届出をした場合、厚生年金保険法第102条第1項第1号と健康保険法第208条第1号が、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を定めています。保険料を督促状の期限までに納めない場合も、同じ条文が対象にしています。罰則の適用は個別の事情で判断されるため、届出の漏れに気づいたときは、早めに年金事務所へ相談してください。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社が適用事業所に当たるか、従業員が加入の対象かは、管轄の年金事務所または健康保険の保険者に確認してください。

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一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。

従業員を雇った後の労災保険・雇用保険の手続きは従業員を雇った電気工事業者の労災保険・雇用保険の加入手続き、従業員の健康診断は従業員を雇う電気工事業者の健康診断で確認できます。