公式資料をもとに整理

従業員を雇う電気工事業者の源泉所得税(開設届・納期の特例)

従業員に給与を支払う電気工事業者は源泉徴収義務者になり、給与支払事務所等の開設届出書を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に所轄の税務署へ提出します。ここでは、国税庁のタックスアンサーから、開設届出書の期限、毎月の税額の求め方、納付期限と納期の特例、年末調整の対象を整理します。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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給与を払うと源泉徴収義務者になる

人を雇って給与を支払う会社や個人は、支払の都度、支払金額に応じた所得税および復興特別所得税を差し引いて国に納める義務を負い、この義務者を源泉徴収義務者といいます。国税庁は、法人だけでなく個人も対象で、新たに給与の支払を始めて源泉徴収義務者になるときは「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出するとしています。提出先は、給与を支払う事務所や事業所の所在地を所轄する税務署長です(国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」)。

常時2人以下の家事使用人だけに給与を支払う個人は、その給与や退職金から源泉徴収をする必要がありません。工事のために雇う一人親方の最初の従業員は家事使用人ではないため、給与の支払を始めた時点で源泉徴収義務者になります。

開業時に出す開業届は別の届出なので、従業員を雇う時点で改めて確認します。開業届の仕組みは電気工事業の開業届と電気工事業登録・通知の違いの記事にまとめています。

毎月の源泉所得税を求める税額表の使い方

毎月差し引く税額は、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」の月額表(日給や週給の場合は日額表)に、社会保険料などを引いた後の給与額を当てはめて求めます。どの欄を使うかは、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出してもらっているか、給与の支払い方で決まります(国税庁「No.2511 税額表の種類と使い方」)。

税額表の欄の使い分け(国税庁タックスアンサー No.2511)
給与の支払い方使う表申告書を提出している人申告書を提出していない人
月ごと、半月ごと、10日ごと月額表甲欄乙欄
毎日、週ごと、日割日額表甲欄乙欄
日雇賃金(労働した日や時間で算定され、労働した日ごとに支払う給与)日額表丙欄

甲欄は扶養親族等の数に応じて使います。この数は、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数で、本人が障害者などに当たる場合は加算されます。

賞与は税額表ではなく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。ただし、前月中に給与の支払がない場合と、賞与の額が前月中の給与の10倍を超える場合は、月額表を使います。

パートやアルバイトを日給や時給で雇い、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決まっている場合は、日額表の丙欄を使うと国税庁は説明しています。電気工事の現場で短期の応援を雇うときは、契約期間を先に確認します。雇入れ時に書面で渡す労働条件は労働条件通知書と就業規則の記事で整理しています。

納付期限と納期の特例

差し引いた税額は、原則として給与を実際に支払った月の翌月10日までに納めます。給与の支給人員が常時10人未満なら、申請して半年分をまとめて納める「納期の特例」を使えます。

特例を受けると、1月から6月に差し引いた分は7月10日、7月から12月に差し引いた分は翌年1月20日が納付期限になります(国税庁「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」)。期限が日曜日、祝日などの休日や土曜日に当たる場合は、休日明けの日が期限です。

源泉所得税の納付期限(原則と納期の特例)
方法対象の支払月納付期限
原則毎月支払った月の翌月10日
納期の特例1月から6月に源泉徴収した分7月10日
納期の特例7月から12月に源泉徴収した分翌年1月20日

特例を受けるには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を、給与を支払う事務所の所在地を所轄する税務署長に提出します。却下の通知がなければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、申請書を提出した月の翌月に源泉徴収する分から特例の対象です。国税庁の例では、2月中に提出した場合、2月支給分の納期限は3月10日、3月から6月支給分は7月10日になります。

従業員が常時10人以上になって要件に当たらなくなったときは、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を出します。届出書を出すと、その日の属する納期の特例の期間から承認の効力が失われます。

年末調整の対象になる人

年末調整は、毎月の給与から差し引いた税額の合計と、その人が1年間に納めるべき税額との差額を精算する手続きで、対象は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を年末調整を行う日までに提出している人です。

12月に行う年末調整の対象は、1年を通じて勤務している人と、年の途中で就職して年末まで勤務している人です。青色事業専従者も含みます。次の2つのどちらかに当たる人は対象から除かれます(国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」)。

年の途中で退職した人は、海外転勤などで非居住者になった人、死亡退職、著しい心身の障害による退職、12月に支給される給与を受けた後の退職、年間の給与総額が136万円以下のパートタイマーなどの退職に当たる場合に限り、その時点で年末調整を行います。それ以外の中途退職者は年末調整の対象になりません。 なお、著しい心身の障害による退職と136万円以下の退職は、退職後にその年のうちに他の勤務先から給与を受ける見込みがある人は除かれます。

青色申告をする個人事業主が家族に払う給与は、事前の届出が必要です。手続きは青色申告承認申請書の記事で確認できます。

雇ってから1年の流れ

従業員を雇ってから年末調整までの源泉所得税の流れ
時期することの例この記事の根拠
給与支払事務所等を開設してから1か月以内給与支払事務所等の開設届出書を所轄税務署へ提出するNo.2502
給与を支払うたび扶養控除等申告書の有無を確かめ、税額表で税額を求めて差し引くNo.2511
支払った月の翌月10日(特例を受けていない場合)差し引いた税額を納めるNo.2505
常時10人未満で半年ごとにまとめたい場合納期の特例の承認に関する申請書を提出する(7月10日と翌年1月20日が期限になる)No.2505
12月扶養控除等申告書を出した人の年末調整を行うNo.2665

労働者を雇うと、源泉所得税のほかに労災保険と雇用保険の手続きも要ります。期限と提出先は労災保険・雇用保険の加入手続きの記事、社会保険は健康保険・厚生年金保険の記事で整理しています。毎年の労働保険料の申告は労働保険の年度更新の記事、給料の計算に使う帳簿は労働者名簿・賃金台帳の記事を参照してください。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。開設届出書や納期の特例の申請書の様式、自社の給与に当てはまる税額と納期は、所轄の税務署または税理士など税の専門家に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。