労働基準法第107条〜第109条
電気工事業者の労働者名簿・賃金台帳(記載事項・保存期間)
従業員を雇う電気工事業者は、事業場ごとに労働者名簿と賃金台帳を作成します。労働者名簿は従業員の情報、賃金台帳は支払ごとの日数・時間・賃金を記録する帳簿です。保存期間は法律の本則が5年ですが、附則の経過措置により当分の間は3年です。
公開日: 2026-10-11 / 最終更新: 2026-10-11 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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労働者名簿と賃金台帳の違い
労働者名簿と賃金台帳は、どちらも各事業場で作りますが、記録する対象と更新する時点が異なります。労働基準法第107条は労働者名簿、第108条は賃金台帳を定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。
| 帳簿 | 主な記録 | 記入する時点 |
|---|---|---|
| 労働者名簿 | 氏名、生年月日、履歴、住所、雇入れ・退職の年月日など | 作成後、記載事項に変更があれば遅滞なく訂正 |
| 賃金台帳 | 賃金計算期間、労働日数・時間数、賃金の種類別の額など | 賃金を支払うたびに遅滞なく記入 |
労働者名簿は、日々雇い入れられる労働者を対象から除きます。賃金台帳は、常時使用する労働者と日々雇い入れられる労働者で、施行規則が別の様式を定めています。
労働者名簿の記載事項
労働者名簿には、法第107条の氏名・生年月日・履歴に、施行規則第53条の6項目を加えて記載します。記載事項は次のとおりです(e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第53条)。
- 氏名、生年月日、履歴
- 性別、住所
- 従事する業務の種類
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日と事由。解雇の場合は理由を含む
- 死亡の年月日と原因
常時30人未満の労働者を使用する事業では、「従事する業務の種類」の記入は不要です。人数による省略はこの項目に限られ、ほかの記載事項がなくなるわけではありません。
賃金台帳の記載事項
賃金台帳は労働者ごとに作り、氏名・性別に加え、賃金計算の基礎になる日数・時間と、支払う賃金を記録します。施行規則第54条第1項が定める8項目は次のとおりです。
| 区分 | 記載事項 |
|---|---|
| 氏名 | 労働者の氏名 |
| 性別 | 労働者の性別 |
| 計算期間 | 賃金計算期間 |
| 労働日数 | 賃金計算期間中に労働した日数 |
| 労働時間数 | 賃金計算期間中に労働した時間数 |
| 時間外など | 時間外労働、休日労働、深夜労働の時間数 |
| 支給 | 基本給、手当、そのほかの賃金の種類ごとの額 |
| 控除 | 法第24条第1項により賃金の一部を控除した場合の額 |
日々雇い入れられる労働者は、1か月を超えて引き続き使用される場合を除き、賃金計算期間の記入を省略できます。管理監督者など法第41条各号に該当する労働者と高度プロフェッショナル制度の対象労働者は、労働時間数など一部の項目を記入しない扱いがあります。個々の従業員が該当するかは、労働基準監督署へ確認してください。
作成・訂正・記入の時点
労働者名簿は雇用した労働者ごとに作成し、変更があれば遅滞なく訂正します。賃金台帳は賃金支払の都度、遅滞なく記入します。月末にまとめて確認する帳簿ではなく、それぞれ法第107条・第108条が定める時点に合わせて更新します。
施行規則第55条の2は、年次有給休暇管理簿、労働者名簿、賃金台帳を合わせて作ることを認めています。1つの様式にまとめる場合も、それぞれに必要な事項と保存の起算日を確認します。
保存期間と起算日
法第109条の本則は5年保存ですが、附則第143条により、当分の間は「3年間」と読み替えます。「5年」と「3年」の表示が混在するのは、本則と現在の経過措置をどちらも示しているためです。
| 記録 | 起算日 |
|---|---|
| 労働者名簿 | 労働者の死亡、退職、解雇の日 |
| 賃金台帳 | 最後に記入した日。賃金支払期日が後なら、その支払期日 |
| 雇入れ・退職に関する書類 | 労働者の退職または死亡の日 |
| 災害補償に関する書類 | 災害補償を終えた日 |
| 賃金そのほか労働関係の重要書類 | 書類が完結した日。賃金支払期日が後なら、その支払期日 |
労働条件通知書・電気工事業の帳簿との違い
労働者名簿・賃金台帳は、労働条件通知書や電気工事業法上の工事帳簿とは目的が異なります。労働条件通知書は雇入れ時に労働条件を明示する書面です。労働者名簿と賃金台帳は、雇入れ後も記載事項を更新して保存する帳簿です。
雇入れ時の明示事項は労働条件通知書と就業規則のガイド、施工した電気工事の注文者・場所・作業者などを記録する帳簿は電気工事業の帳簿のガイドで整理しています。
作成・保存をしなかった場合の罰則
法第107条から第109条までの規定に違反した場合は、30万円以下の罰金の対象として第120条第1号に列挙されています。実際の違反や罰則の適用は個別の事実関係で判断されます。記載漏れや保存期間の判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署へ確認してください。
この整理で言えないこと
- 個々の契約が労働契約か請負契約かは判定しません。
- 日々雇い入れられる労働者や法第41条の対象に当たるかは判定しません。
- 賃金、割増賃金、控除額の具体的な計算は扱いません。
- 帳簿の様式や給与計算ソフトの選び方は扱いません。
- 特定の社会保険労務士や帳簿作成サービスを推奨するものではありません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。対象となる労働者、記載事項、省略できる項目、保存期間の起算日は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局に確認してください。
従業員を雇ったときの保険手続きは労災保険・雇用保険のガイドで確認できます。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。