従業員を雇うときの健康保険

健康保険法とは(被保険者・届出・保険料・給付の条文)

健康保険法は、会社員など労働者とその家族の、仕事以外のけが・病気・出産・死亡に対して保険給付を行う健康保険の根拠法です。電気工事業者が法人になったり、従業員が増えたりすると、事業主として被保険者の資格の取得・喪失の届出や保険料の納付が必要になります。 この記事では、目的、被保険者、適用事業所、保険者、届出、保険料、保険給付の種類、罰則までの主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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法律の目的と、労災保険との違い

第1条は、労働者またはその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷、死亡、出産に関して保険給付を行い、国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的と定めています (e-Gov法令検索「健康保険法」)。

健康保険は仕事以外のけがや病気、労災保険は仕事中や通勤中のけがや病気の保険で、対象になる場面が分かれています。電気工事で感電や墜落のけがをしたときは、労災保険の側が先に問題になります。 労災保険の根拠法は労働者災害補償保険法の条文ごとの内容で整理しています。

事業主に関わる条文と詳しいガイド

従業員を雇う事業主が押さえる条文を、被保険者・適用事業所・保険者・届出・保険料の順に並べました。右端の列から、掘り下げたガイドへ進めます。

健康保険法の事業主に関わる主な条文と、このサイトの詳しいガイド
項目条内容の要点詳しいガイド
被保険者第3条第1項被保険者は、適用事業所に使用される者と任意継続被保険者。臨時に使われる者(日々雇い入れられる者で1か月以内、2か月以内の期間を定めて使われ、その期間を超えて使われる見込みがない者など)は、原則として被保険者になれない電気工事業者の労働条件通知書と就業規則
適用事業所第3条第3項土木・建築その他工作物の建設・改造・修理などの事業所で常時5人以上の従業員を使うもの、または国・地方公共団体・法人の事業所で常時従業員を使うもの。個人経営の事業所は、業種と常時使う従業員数で決まる電気工事業者の健康保険・厚生年金保険の加入条件
保険者第4条〜第6条保険者は全国健康保険協会と健康保険組合。協会は健康保険組合の組合員でない被保険者の保険を管掌する電気工事の一人親方の健康保険と年金(国保・国保組合・国民年金)
任意の適用事業所第31条適用事業所以外の事業所の事業主は、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得て申請し、厚生労働大臣の認可を受けると適用事業所にできる電気工事の一人親方の健康保険と年金(国保・国保組合・国民年金)
資格の取得と喪失第35条・第36条被保険者の資格は、適用事業所に使用されるに至った日から取得する。事業所に使われなくなったときなどは、その日の翌日に喪失する電気工事業者の労働者名簿・賃金台帳(記載事項・保存期間)
事業主の届出第48条適用事業所の事業主は、被保険者の資格の取得と喪失、報酬月額と賞与額に関する事項を、厚生労働省令に従って保険者等に届け出る電気工事業者の健康保険・厚生年金保険の加入条件
保険料の負担と納付第161条被保険者と事業主が保険料額の2分の1ずつを負担する(任意継続被保険者は全額負担)。事業主は、使用する被保険者の分と自己負担分を納付する義務を負う電気工事業者の健康保険・厚生年金保険の加入条件

被保険者の資格の取得・喪失の届出をしないことや、虚偽の届出をすることには、罰則があります(第208条第1号)。届出の期限や様式は厚生労働省令と保険者の案内で決まるため、加入の記事で確認してください。

電気工事業の事業所は適用事業所になるか

法人の事業所は、常時従業員を使っていれば、業種にかかわらず適用事業所です(第3条第3項第2号)。個人事業の場合は、土木・建築その他工作物の建設・改造・修理などの事業所で、常時5人以上の従業員を使うものが適用事業所です(同項第1号ロ)。 これに当たらない個人事業の事業所は、事業主が被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得て認可を申請すれば、適用事業所にできます(第31条)。

条文に事業主本人についての明記はなく、被保険者になるかは「適用事業所に使用される者」に当たるかで判断されます。個人事業の事業主本人や一人親方は通常これに当たらず、法人の代表者は当たることがあります。 個人事業主が入る国民健康保険と国民年金は、別のガイドにまとめています。

保険給付の種類

第52条は、被保険者の保険給付を、療養の給付、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、被扶養者の給付、高額療養費などと定めています。被扶養者は、被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている者などをいいます(第3条第7項)。

健康保険法の主な保険給付(第52条ほか)
区分主な内容根拠
療養の給付など診察、薬剤・治療材料の支給、処置・手術その他の治療、居宅での療養上の管理、入院。このほか入院時食事療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費など第52条第1号、第63条
傷病手当金療養のため労務に服することができないとき、労務に服せなくなった日から3日を経過した日から支給。支給期間は、同一の疾病・負傷について支給を始めた日から通算1年6か月。任意継続被保険者は対象外第99条
出産・埋葬に関する給付出産育児一時金、出産手当金、埋葬料第52条第3号〜第5号
被扶養者の給付家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料、家族出産育児一時金第52条第6号〜第8号
高額療養費など高額療養費、高額介護合算療養費第52条第9号

ここに挙げたのは主な条文で、標準報酬月額、自己負担の割合、任意継続被保険者の手続き、保険料率は省いています。 協会が管掌する健康保険の一般保険料率は、支部ごとに協会が決め、千分の30から千分の130までの範囲内です(第160条第1項)。

主な罰則

この法律の罰則は、届出、保険料の納付、報告・検査への違反が中心です。届出をしない、虚偽の届出をする、保険料を納付しない、立入検査を拒むといった行為が、第208条の罰則の対象です。

健康保険法の主な罰則
条罰則主な違反行為
第208条6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金事業主が、正当な理由がなく、被保険者の資格の取得・喪失などの届出をしない・虚偽の届出をしたとき、保険料を納付しないとき、帳簿を備え付けないとき、文書の提出や立入検査の質問・検査に応じないとき

法人の代表者や代理人、使用人その他の従業者が違反行為をしたときは、行為者のほか、その法人や人にも罰金刑が科されます(第214条)。 罰則の対象になる条文の全体は、e-Govの本文で確認してください。

この整理で言えないこと

この記事は条文の見取り図です。個別の従業員が被保険者になるか、短時間労働者が加入対象になるか、いくら給付されるかは、働き方や保険者の定めで決まり、この記事では判定できません。 従業員を雇った後の加入手続きは従業員を雇った電気工事業者の健康保険・厚生年金の加入で扱っています。

次に知りたいこと:健康保険・厚生年金の加入、雇用保険法とは、労災保険・雇用保険の加入手続き。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。適用事業所に当たるか、被保険者になるかどうか、届出の手続きは、所轄の年金事務所または加入する健康保険組合に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。