公式資料をもとに整理
電気工事の一人親方の健康保険と年金(国保・国保組合・国民年金)
従業員のいない電気工事の一人親方は、医療保険は一般に市区町村の国民健康保険か同業の国民健康保険組合に、年金は国民年金(令和8年度は月17,920円)に自分で入って払います。会社の健康保険や厚生年金のように、事業主が半分を負担してくれる仕組みはありません。ここでは、厚生労働省と日本年金機構の公式ページから、加入先の違い、届出の期限14日、保険料の決まり方、納付期限と免除制度を整理します。
公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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一人親方の医療保険と年金の組み合わせ
医療保険と年金は、別の制度で、届出先も別です。厚生労働省の案内では、国民健康保険の窓口は市区町村(国民健康保険組合の場合は組合)です。国民年金の加入手続きの窓口は、日本年金機構の案内で住所地の市区役所または町村役場とされています。
| 区分 | 加入先 | 届出の窓口 | 保険料の決め方 |
|---|---|---|---|
| 医療保険 | 市区町村の国民健康保険 | 住所地の市区町村の国保の窓口 | 市区町村の条例 |
| 医療保険 | 国民健康保険組合(同種の事業の組合) | 加入する組合 | 組合の規約 |
| 年金 | 国民年金(第1号被保険者) | 住所地の市区役所・町村役場 | 法令で全国一律(令和8年度は月17,920円) |
一人親方が自分で入る医療保険は、一般にこの2つが中心です(配偶者の健康保険の被扶養者になる場合などは別です)。国民健康保険組合は、組合の地区内に住み、同種の事業をしている人だけが入れる組合です。電気工事の一人親方が、どの組合に入れるかは、組合ごとの規約で決まります。
市区町村の国民健康保険(14日以内の届出・世帯ごとの保険料)
厚生労働省の「国民健康保険の加入・脱退について」によると、日本国内に住所があり、次のいずれにも当たらない人は国民健康保険の被保険者になります(厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」)。他の医療保険(健康保険)に入っている人とその被扶養者、生活保護を受けている人、後期高齢者医療制度に入っている人、短期滞在の在留外国人などです。
被保険者になったときと脱退するときは、14日以内に住所地の市町村の窓口へ書類を出します。提出する書類や申請方法は、市町村や組合のホームページで確認する扱いです。
保険料は、厚生労働省の「国民健康保険の保険料・保険税について」で、次のように説明されています(厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」)。算定方法や徴収期限・方法は、市町村の条例などで定められます。保険料は世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分を計算して合計します。
- 法令で決めた所得の基準を下回る世帯は、応益割(均等割・平等割)が7割、5割または2割減額されます。
- 未就学児の均等割は、令和4年4月から5割が公費で軽減されています。
- 災害など特別の事情で納めるのが難しいときは、減免や納付猶予を受けられる場合があります。
- 倒産などで職を失った人には、非自発的失業者に対する軽減措置があります。
保険料の金額は市町村ごとに違うため、全国共通の目安額はこの記事では示しません。同じ年収でも住む市町村で変わります。独立前に、市町村の窓口または公式ページの試算で、自分の世帯の保険料を確認してください。
国民健康保険組合(同種の事業・従業員5人未満)
日本年金機構の資料「国民健康保険組合の加入手続きについて」は、国民健康保険組合を、同種の事業または業務に従事し、組合の地区内に住所がある人で構成するものと説明しています(日本年金機構「国民健康保険組合の加入手続きについて」)。基本の構成員は、従業員5人未満の個人事業所の事業主とその従業員、または一人親方です。
国民健康保険組合の保険料は、組合の規約で定められ、市町村の国民健康保険とは別の窓口で手続きをします。厚生労働省の案内でも、国民健康保険組合の場合は、加入している組合または各都道府県の窓口に問い合わせるとされています。電気工事の一人親方が入れる組合の有無と加入条件は、地域と組合で異なるため、加入を考える組合または都道府県の窓口で確認します。
法人にしたり、従業員が5人以上の個人事業所になったりすると、その事業所は健康保険の適用事業所になります。ただし、組合に入っている人は、組合の理事長と厚生労働大臣の承認(適用除外承認)を受ければ、引き続き組合に入れます。申請は、事実が生じた日から14日以内に行います。
| 番号 | 申請できる場合 |
|---|---|
| 1 | 組合の被保険者を使う事業所が、法人または従業員5人以上の事業所になり、現に組合の被保険者である人 |
| 2 | 組合の被保険者が、法人または従業員5人以上の事業所を設立するなどして、健康保険の適用事業所になる場合のその人 |
| 3 | 1または2で適用除外の承認を受けた人を使う事業所に、新たに使われることになった人 |
| 4 | 組合の被保険者が、健康保険の適用事業所に勤務した場合のその人 |
手続は、加入している組合または最寄りの年金事務所に問い合わせる扱いです。電気工事の法人化そのものの手続きは法人化したときの電気工事業の登録・通知の整理にまとめています。
国民年金(月17,920円・納付期限・付加保険料)
日本年金機構の「国民年金に加入するための手続き」によると、日本国内に住む20歳以上60歳未満で、厚生年金保険に入っていない人は、すべて国民年金の第1号被保険者か第3号被保険者になります(日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」)。第3号被保険者は配偶者の扶養に入る人の区分で、扶養に入らない一人親方は、第1号被保険者として毎月保険料を納めます。
会社を辞めて第1号被保険者になる届出の期限は、退職日の翌日から14日以内です。提出先は住所地の市区役所または町村役場で、書類は国民年金被保険者関係届書(申出書)です。マイナンバーカードなど本人確認の書類が要ります。
保険料は、日本年金機構の「国民年金保険料」のページで次のように案内されています(日本年金機構「国民年金保険料」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保険料の月額 | 1カ月あたり17,920円(令和8年度) |
| 付加保険料 | 月額400円を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金の額を増やせる |
| 納付期限 | 納付対象月の翌月末日(末日が土日祝・年末年始なら翌月最初の金融機関等の営業日) |
| 納付方法 | 納付書、口座振替、クレジットカード、スマートフォンアプリ、ねんきんネット。口座振替が一番おトクと案内されている |
| 前納 | まとめて前払いすると割引が適用される |
| 税の扱い | 納付した保険料は、所得税・個人住民税の計算で全額が社会保険料控除の対象 |
仕事が少ない時期に払うのが難しいときは、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を使える場合があります。条件は一人親方の国民年金保険料の免除・納付猶予のガイドで整理しています。納付期限までに払われないと、公式ページの「納付期限までに納付されないとき」の案内に従う扱いです。
一人親方が自分で積み立てる退職金の制度は小規模企業共済のガイド、所得税の確定申告に関わる青色申告は青色申告承認申請のガイドで整理しています。
従業員を雇う・法人にするときの変わり目
一人親方でも、従業員を雇う、または法人にすると、社会保険の入り方が変わります。法人の事業所は、代表者1人だけでも原則として健康保険・厚生年金保険の対象です。個人事業の電気工事業は、常時5人以上の従業員を使うと対象になります。
対象になる場合の届出と期限、保険料の負担は電気工事業者の健康保険・厚生年金保険のガイドで整理しています。労災保険は、一人親方が自分で入る特別加入が別にあり、一人親方の労災保険の特別加入のガイドで確認できます。
この整理で言えないこと
- 市区町村の国民健康保険料と、国民健康保険組合の保険料の具体的な金額は、市町村や組合ごとに違うため示していません。
- 電気工事の一人親方が入れる国民健康保険組合の名称、加入条件、保険料は扱いません。
- どちらの医療保険が得か、国民年金の付加保険料や免除を使うべきかは判断しません。
- 会社の健康保険の任意継続、傷病手当金などの給付の有無は扱いません。
- 年金の受取額の計算は扱いません。国民年金基金とiDeCoの加入条件と掛金の上限は一人親方の国民年金基金とiDeCoのガイドで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。加入先の選択、保険料、免除の可否は、住所地の市区町村の国民健康保険の窓口、加入を考える国民健康保険組合、市区役所・町村役場の国民年金の窓口または年金事務所へ確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。