従業員を雇う電気工事業の社会保険
パート・アルバイトの社会保険加入要件と適用拡大の時期
2026年10月1日に、短時間労働者の社会保険の加入要件のうち「月額8.8万円以上」の賃金要件が撤廃されました。いま残っている要件は、週の所定労働時間が20時間以上、学生でないこと、勤め先が従業員51人以上の企業であることなどです。企業規模の要件も2027年10月から段階的に下がります。
公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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短時間労働者が加入する要件
日本年金機構は、賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)が令和7年年金制度改正法に基づき2026(令和8)年10月1日に撤廃されたと案内しています(日本年金機構「賃金要件が撤廃されました」)。これにより、パート・アルバイトの従業員が健康保険・厚生年金保険に加入するかどうかは、次の要件で決まります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること(就業規則や雇用契約書に書かれた、通常の週の勤務時間)
- 学生ではないこと(主に高校生、大学・短大の学生、専修学校の生徒などが該当)
- 勤め先が従業員51人以上の企業等であること(令和9年10月から段階的に下がる)
- フルタイムの従業員と同じく、2か月を超えて雇用される見込みがあること
要件の出典は厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトです。労働時間と労働日数がフルタイムの3/4以上の従業員は、この要件に関係なく以前から社会保険の対象です。
例外として、最低賃金法第7条の最低賃金減額の特例許可を受けていて所定内賃金が月額8.8万円未満の人(特定減額特例対象者)は、原則として加入対象外です。この人は申し出により加入できます。
厚生労働省は、最低賃金が時給1,016円以上になれば、週20時間以上働くと同時に賃金要件も満たすため、要件の意味がなくなると説明しています(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方」)。賃金要件がなくなった後は、年収の額ではなく週の所定労働時間が判断の中心になります。
企業規模要件が下がる時期
企業規模の要件は、令和7年の改正で撤廃が決まっています。ただし、小さな事業所の負担に配慮して段階的に下がります。厚生労働省の資料に書かれた時期は次の表のとおりです(厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 被用者保険の適用拡大」)。
| 時期 | 短時間労働者が対象になる企業等 |
|---|---|
| 現在(2024年10月から) | 従業員51人以上(50人超) |
| 2027年10月1日から | 35人超 |
| 2029年10月1日から | 20人超 |
| 2032年10月1日から | 10人超 |
| 2035年10月1日 | 企業規模要件を撤廃(人数にかかわらず対象) |
基準を超えるかどうかは、1年のうち6か月以上、厚生年金保険の加入対象者の総数が基準を超えることが見込まれるかで判断します(厚生労働省の特設サイト)。数える対象は、フルタイムの従業員と、労働時間・労働日数がフルタイムの3/4以上の従業員で、法人は法人全体で数えます。週20時間以上30時間程度の短時間労働者そのものは、この人数に含めません。
職人を数人から10人ほど雇う電気工事業の会社は、2029年10月か2032年10月に、この人数が基準を超えているかを確認します。
個人事業所の適用対象の拡大
個人事業の電気工事業でも、常時5人以上の従業員を使用しているなら、すでに社会保険の加入対象になりうる業種に入っています。現在は、個人事業所のうち常時5人以上の者を使用する法定17業種の事業所が、社会保険に必ず加入することとされています。この17業種には「土木・建設」が含まれます。
電気工事業がどの業種に当たるかは、事業の実態によるため年金事務所に確認してください。
令和7年の改正で、法定17業種に限らず、常時5人以上の者を使用する全業種の個人事業所が対象になります。2029年10月の施行時点ですでにある事業所は、当分の間は対象外です(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。
保険料負担を軽くする調整措置
企業規模要件の見直しなどで新たに加入対象になる短時間労働者のうち、従業員50人以下の企業などで働き、標準報酬月額が12.6万円以下の人には、3年間の保険料調整の措置があります。社会保険料は原則として労使折半ですが、この措置を使いたい事業主は、事業主の負担割合を増やして、被保険者の負担を軽くできます。
事業主が追加で負担した分は、その全額を制度全体で支援するとされています(厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」)。
雇用契約書と人数の確認事項
- パート・アルバイトの週の所定労働時間を、雇用契約書や就業規則で確認したか(20時間以上かどうか)
- 学生のアルバイトを雇っている場合、学生に当たるかを年金事務所の案内で確認したか
- 2026年10月以降、月額8.8万円未満でも週20時間以上なら対象になる点を、契約を見直す際に反映したか
- フルタイムと、その3/4以上働く従業員の合計(法人全体)が51人以上かを数えたか
- 2027年10月(35人超)・2029年10月(20人超)・2032年10月(10人超)に自社の人数が当たるかを見込んだか
- 個人事業の場合、常時5人以上を使用しているかを確認したか
- 新たに加入対象になる従業員に、保険料の本人負担と手取りの変化を説明したか
加入手続は健康保険・厚生年金の加入手続のガイド、扶養に入る家族の収入の見方は被扶養者の範囲と収入要件のガイドで確認できます。
この記事で扱わないこと
- 特定の従業員が加入対象になるかどうかの判定はしません。
- 保険料の金額の試算や、手取りの具体的な変化は扱いません。
- 配偶者の扶養(第3号被保険者)の取扱いは扱いません。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の加入要否は、事業所を管轄する年金事務所で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
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