公式資料をもとに整理

第二種電気工事士が自家用電気工作物の工事で従事できる範囲

第二種電気工事士の免状だけでは、ビルや工場など自家用電気工作物の電気工事の作業に従事できません。例外は、法令で軽微な作業とされるものと、第一種電気工事士の作業の補助、そして認定電気工事従事者として行う電圧600V以下の簡易電気工事です。電気工事士法と同法施行規則の条文で、その線引きを整理します。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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第二種の免状で従事できる工作物は一般用電気工作物等まで

e-Gov法令検索「電気工事士法」第3条は、工作物の種類ごとに作業に従事できる資格を分けています。自家用電気工作物に係る電気工事の作業は、第一種電気工事士でなければ従事してはならないと定められ(第1項)、第二種電気工事士にも従事を認めているのは、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業です(第2項)。

つまり、高圧で受電するキュービクル式などの受電設備を含む自家用電気工作物の工事は、第二種の免状だけでは従事できません(例外は次節以降)。

ここでいう自家用電気工作物は、電気事業法上の自家用電気工作物から、発電所・変電所・最大電力500kW以上の需要設備などを除いたものです(同法第2条第2項)。500kW以上の需要設備はこの法律の対象外のため、本記事の「第一種が必要」という整理は最大電力500kW未満の需要設備を前提にしています。対象外になる設備は電気工事士法の対象外になる電気工作物で整理しています。

自家用電気工作物でも資格が要らない軽微な作業

法第3条第1項のかっこ書きは、自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業で経済産業省令に定めるものを、資格が必要な作業から除いています。e-Gov法令検索「電気工事士法施行規則」第2条第1項第1号は、これを「次に掲げる作業以外の作業」という形で定めています。つまり、次の作業は自家用電気工作物でも資格が必要で、これ以外の作業が軽微な作業として資格不要になります。

条文にはこのほか、金属製の防護装置の取付け、メタルラス張り部分への金属製電線管の取付け、接地線・接地極に関する作業も列記されています(接地線の作業には、最大電力500kW未満の需要設備で600V以下の電気機器に関するものを除くという条件が付きます)。全項目と細かい除外は施行規則第2条第1項の原文で確認してください。

この線引きは作業ごとの列記で決まり、電線の接続や配線器具の取付けのような配線の中心になる作業は列記側(資格が必要な側)に入ります。個々の作業がどちらに当たるか迷う場合は、施工前に所轄の産業保安監督部へ確認するのが確実です。

第一種電気工事士の作業を補助する場合

施行規則第2条第1項第2号は、第一種電気工事士が従事する、上の列記作業を補助する作業も資格不要の作業としています。第二種電気工事士が、第一種電気工事士が従事する自家用電気工作物の作業の補助として加わる場合の根拠はここになります。

ここで資格不要とされているのは「補助する作業」であり、列記作業そのものを第二種電気工事士が単独で行うことまで認めるものではありません。補助の範囲に収まるかどうかも、作業の内容で判断されます。

認定電気工事従事者になれば600V以下の簡易電気工事ができる

法第3条第4項は、自家用電気工作物に係る電気工事のうち経済産業省令で定める簡易なもの(簡易電気工事)について、認定電気工事従事者認定証の交付を受けた人が従事できると定めています。施行規則第2条の3は、簡易電気工事を「電圧600ボルト以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く)」としています。

第二種電気工事士は、施行規則第4条の2第2項第2号により、免状の交付を受けた後に電気に関する工事で3年以上の実務経験を積むか、経済産業大臣が定める認定電気工事従事者認定講習を修了すれば、認定の対象になります。

認定電気工事従事者が従事できるのは電圧600V以下の簡易電気工事までで、600Vを超える高圧部分の工事は、認定を受けても第一種電気工事士が必要です。認定基準と申請窓口は特種電気工事資格者・認定電気工事従事者の認定基準と申請手続きで整理しています。電圧の区分は低圧・高圧・特別高圧の電圧区分を参照してください。

資格別に従事できる自家用電気工事の早見表

資格別に従事できる電気工事の範囲(電気工事士法第3条・同法施行規則第2条・第2条の2・第2条の3)
資格一般用電気工作物等自家用電気工作物(500kW未満)
第一種電気工事士従事できる(第3条第2項)従事できる(第3条第1項)。ネオン工事・非常用予備発電装置工事は特種電気工事資格者が必要(同条第3項)
第二種電気工事士のみ従事できる(第3条第2項)従事できない。軽微な作業と、第一種の作業の補助だけが資格不要(施行規則第2条第1項)
第二種電気工事士+認定電気工事従事者従事できる(第3条第2項)電圧600V以下の簡易電気工事(電線路を除く)に従事できる(第3条第4項、施行規則第2条の3)。高圧部分は不可

資格なしで従事した場合の罰則

法第3条第1項から第3項までの規定に違反した人は、3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金に処されます(同法第14条)。第二種電気工事士の免状しかない人を自家用電気工作物の作業に就かせる場合は、作業内容がどの資格に当たるかを事前に整理しておく必要があります。

事業者の登録・通知との関係

ここまでの整理は作業に従事する個人の資格の話です。自家用電気工作物の電気工事を業として行う事業者は、免状とは別に電気工事業の登録または通知が必要になります。

個人の資格と事業者の手続きの違いは電気工事士免状と電気工事業登録・通知の違いに、営業所ごとの主任電気工事士の要件は主任電気工事士の要件・選任・変更手続きにまとめています。第二種の免状で主任電気工事士になるための実務経験の数え方は、3年の実務経験と証明書の解説を確認してください。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個々の作業が資格を要する作業に当たるか、認定電気工事従事者の認定要件に該当するかは、管轄の産業保安監督部または経済産業省の公式窓口で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。