公式資料をもとに整理

建設工事紛争審査会(あっせん・調停・仲裁)と電気工事業法の苦情あっせん制度の違い

建設業法は、建設工事の請負契約に関する紛争を建設工事紛争審査会があっせん・調停・仲裁で処理する制度を定めています。電気工事業法第33条の苦情あっせん制度とは、対象になる紛争の当事者と手続きの内容が異なります。

公開日: 2026-09-24 / 最終更新: 2026-09-24 / 制度確認日: 2026-07-26

審査会の設置とあっせん・調停・仲裁

e-Gov法令検索「建設業法」第二十五条は、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るため建設工事紛争審査会を設置すると定め、審査会はこの法律の規定によりあつせん、調停及び仲裁(紛争処理)を行う権限を有するとしています。

審査会は、国土交通省に置かれる中央建設工事紛争審査会と、都道府県に置かれる都道府県建設工事紛争審査会の2種類です。

中央審査会・都道府県審査会の管轄

同法第二十五条の九は、中央審査会・都道府県審査会それぞれが管轄する場合を定めています。中央審査会は、当事者の双方が国土交通大臣の許可を受けた建設業者であるとき、当事者の双方が建設業者で許可をした行政庁を異にするとき、当事者の一方のみが建設業者で国土交通大臣の許可を受けたものであるときを管轄します。都道府県審査会は、当事者の双方が同じ都道府県知事の許可を受けた建設業者であるとき等を管轄します。

この管轄の規定にかかわらず、当事者は双方の合意によって管轄審査会を定めることができます(同条第3項)。紛争処理の申請は、政令の定めるところにより書面で、中央審査会へは国土交通大臣を、都道府県審査会へは当該都道府県知事を経由して行います(第二十五条の十)。

あっせん・調停・仲裁それぞれの違い

審査会が行う紛争処理は、あっせん・調停・仲裁の3種類で、開始の要件と担当する委員の人数が異なります。

建設工事紛争審査会が行う紛争処理の種類
手続き開始の要件担当委員手続きの内容
あっせん当事者の双方または一方からの申請、または公共性のある施設等について審査会が職権で必要と決議したとき(第25条の11)あっせん委員(審査会の会長が事件ごとに指名。第25条の12第1項・第2項。条文上、調停・仲裁のような具体的な人数の定めはない)当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、事件が解決されるよう努める(同条第3項)
調停あっせんと同じ要件(第25条の11)調停委員3人(第25条の13第1項・第2項)必要があれば当事者の出頭を求めて意見を聴き、調停案を作成して受諾を勧告できる(同条第3項・第4項)
仲裁当事者双方からの申請、または仲裁に付す合意に基づく当事者一方からの申請(第25条の18)仲裁委員3人、うち少なくとも1人は弁護士資格を有する者(第25条の19第1項〜第3項)この法律に別段の定めがある場合を除き、仲裁委員を仲裁人とみなして仲裁法の規定を適用する(同条第4項)

あっせん・調停は当事者の一方からの申請でも開始できますが、仲裁は双方の申請、または仲裁に付す合意に基づく申請が必要です。仲裁法の規定が適用される仲裁は、あっせん・調停と法的な性格が異なります。

電気工事業法の苦情あっせん制度との違い

電気工事に関する苦情のあっせん制度で整理した電気工事業法第33条のあっせん等は、経済産業大臣・都道府県知事が行うもので、逐条解説は対象になる場面の第一義的な当事者を一般需要家である注文者としています。同記事のとおり、注文者が下請発注した建設業者である場合は建設業者間の問題であり電気工事業法第33条の目的から逸脱することが多いとされ、調停・仲裁もこの「あっせん等」に含まれません。

元請・下請間や建設業者同士の請負契約に関する紛争は、電気工事業法第33条のあっせん等ではなく、建設業法の建設工事紛争審査会によるあっせん・調停・仲裁の対象になり得ます。どちらの制度に該当するかは、紛争の当事者と内容によって異なります。

建設工事紛争審査会(建設業法)と苦情あっせん制度(電気工事業法)の対比
区分建設工事紛争審査会(建設業法)苦情あっせん制度(電気工事業法第33条)
根拠条文第二十五条〜第二十五条の二十六第三十三条
実施主体中央建設工事紛争審査会(国土交通省)・都道府県建設工事紛争審査会経済産業大臣・都道府県知事
想定する当事者建設業者間、建設業者と注文者登録・通知電気工事業者(みなし含む)と、一般需要家である注文者
手続きの内容あっせん・調停・仲裁あっせん、助言、勧告、指導等(調停・仲裁を含まない)

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。建設工事の請負契約に関する紛争の申請先は建設業許可行政庁の建設工事紛争審査会窓口、電気工事業法上の苦情については登録・通知先の経済産業大臣(産業保安監督部)または都道府県知事の窓口へ確認してください。

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