電気工作物の区分

高圧受電と低圧受電の境目(契約電力50kW)と電気工作物の区分

契約電力50kWは法令の線ではなく、電力会社の託送供給等約款が高圧の供給を原則として適用する範囲(50kW以上2,000kW未満)の下限です。法令側の線は別にあり、電気事業法では電圧600V、電気工事士法では最大電力500kWが出てきます。数字ごとに根拠が違うため、混ぜずに読み分けます。

公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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約款が定める低圧・高圧と50kWの線

約款は、低圧を標準電圧100Vまたは200V、高圧を標準電圧6,000V、特別高圧を標準電圧20,000V以上と定義しています。東京電力パワーグリッド・関西電力送配電・中部電力パワーグリッドの3社とも、定義の文言は同じです。

3社とも「高圧標準接続送電サービス」の適用範囲を、接続送電サービス契約電力が原則として50kW以上かつ2,000kW未満の場合と定めています。 供給電気方式と供給電圧は、交流3相3線式の標準電圧6,000Vです。契約電力は電力会社との契約で定める数字なので、建物の設備容量や機器の定格出力の合計と同じとは限りません。

各社の約款は、東京電力パワーグリッド、関西電力送配電、中部電力パワーグリッドの各社サイトで公開されています。 他の地域の一般送配電事業者も約款を公開しているため、地域ごとに最新版の確認が必要です。

50kW未満でも高圧になる場合

3社の約款には、特別の事情があり契約者の希望があるときは、契約電力が50kW未満でも高圧標準接続送電サービスを適用することがある、という但し書きがあります。50kW未満は必ず低圧、という読み方はできません。

この但し書きは、電力会社が個別に判断する扱いです。どの場合が「特別の事情」に当たるかは約款に例示がなく、このページでは判断できません。実際の契約種別は、電力会社または契約先の小売電気事業者に確認します。

法令の数字(600V・500kW)との違い

電気事業法の一般用電気工作物の条文では、低圧の上限を「経済産業省令で定める電圧」とし、電気事業法施行規則第48条第1項がそれを600Vと定めています。電気事業法第38条第1項は、小規模発電設備を「低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。)の電気に係る発電用の電気工作物」と定義しており、この600Vは、同項の「低圧」(一般用電気工作物の低圧受電電線路や小規模発電設備)の上限になる数字です。

電気工事士法第2条第2項では、自家用電気工作物から、小規模事業用電気工作物と、発電所、変電所、最大電力500kW以上の需要設備などが除かれています。 最大電力500kW以上の需要設備だけの工事は、電気工事士法の「電気工事」に当たらないという整理です。500kWは需要設備の「最大電力」で、契約電力の2,000kWとは別の数字です。

契約電力50kWの線は、電力会社の契約・料金の区分です。電気事業法上、一般用か自家用(事業用)かは構内の設備の電圧や発電設備の出力などで決まり、契約電力の大小だけで決まるわけではありません。

4つの数字の早見表

電圧・電力の区切りと根拠(条文・約款の要約)
数字根拠何の区切りか
600V電気事業法施行規則第48条第1項電気事業法第38条第1項ただし書の「経済産業省令で定める電圧」。同項の「低圧」(低圧受電電線路・小規模発電設備)の上限
50kW以上2,000kW未満一般送配電事業者の託送供給等約款高圧標準接続送電サービス(標準電圧6,000V)を原則として適用する契約電力の範囲
最大電力500kW電気工事士法第2条第2項自家用電気工作物から最大電力500kW以上の需要設備などを除く線。電気工事士法の「電気工事」の範囲に関わる
7,000V電気設備に関する技術基準を定める省令第2条高圧と特別高圧の線。低圧は直流750V以下・交流600V以下

電圧の3区分の読み方は低圧・高圧・特別高圧の電圧区分、一般用と自家用の違いは一般用電気工作物と自家用電気工作物の違いで整理しています。

この整理で言えないこと

この記事は、約款と条文の数字の根拠を分けて読む整理にとどまります。ある建物が高圧受電になるか、受電設備が自家用電気工作物に当たるかは、契約電力、受電電圧、設備の構成で決まるため、ここでは判定しません。

高圧受電設備を持つ場合の点検の頻度は高圧受電設備の点検頻度、電気主任技術者の選任や委託は自家用電気工作物の電気主任技術者の外部委託にまとめています。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の建物の受電区分や電気工作物の区分は、条文の原文と契約先の電力会社の約款で確認し、不明な点は所轄の産業保安監督部または電力会社の窓口にお問い合わせください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分のどれに当たりそうかを確認できます。

電気事業法、電気事業法施行規則、電気工事士法の条文はe-Govで確認できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。