電気工作物の区分と保安

電気事業法とは(目的・電気工作物の区分・保安の条文ごとの内容)

電気事業法は、電気事業の運営を適正にするとともに、電気工作物の工事・維持・運用を規制して、公共の安全の確保と環境の保全を図る法律です。電気工事業を営む人にとっては、一般用電気工作物や自家用電気工作物の区分、設置者が行う保安規程や主任技術者の手続きの根拠になる法律です。 この記事では、目的、電気工作物の区分、保安に関する主な条文と、詳しいガイドへの行き先を一覧にします。

公開日: 2026-10-13 / 最終更新: 2026-10-13 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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法律の目的と、電気工事士法・電気工事業法との役割の違い

第1条は、電気事業の運営を適正かつ合理的にすることで電気の使用者の利益を保護し、電気事業の健全な発達を図ること、そして電気工作物の工事、維持及び運用を規制することで公共の安全を確保し、環境の保全を図ることを目的と定めています (e-Gov法令検索「電気事業法」)。 条文は電力会社などの事業の規制から始まりますが、電気工事業の開業で関わるのは、電気工作物の保安を定めた部分です。

3つの法律は、規制の相手が違います。電気事業法は電気工作物の設置者、電気工事士法は工事をする人、電気工事業法は電気工事を事業として営む人です。自家用電気工作物の主任技術者や保安規程は電気事業法、電気工事士の免状は電気工事士法、事業者の登録・通知は電気工事業法の話になります。

それぞれの全体像は電気工事士法とは、電気工事業法とはで整理しています。

電気工作物の4つの区分

第38条は、電気工作物を、一般用・事業用・小規模事業用・自家用の4つの言葉で定義しています。事業用電気工作物は「一般用電気工作物以外の電気工作物」で、小規模事業用電気工作物と自家用電気工作物は、事業用電気工作物に関わる別の区分で、条文によっては「小規模事業用電気工作物を除く」と書き分けています。

電気事業法第38条の電気工作物の区分と意味
用語意味条文
一般用電気工作物構内に設置する電気工作物のうち、低圧受電電線路以外の電線路で構外の電気工作物とつながっていない電気使用設備、出力が省令で定める値未満の小規模発電設備など。小規模発電設備以外の発電設備と同一の構内にあるもの、爆発性・引火性の物が存在する場所にあるものは除く第38条第1項
事業用電気工作物一般用電気工作物以外の電気工作物第38条第2項
小規模事業用電気工作物事業用電気工作物のうち、出力が省令で定める値以上の小規模発電設備など(構内に設置し、低圧受電電線路以外の電線路で構外とつながっていないもの)第38条第3項
自家用電気工作物一般送配電事業、送電事業、配電事業、特定送配電事業、一定の要件に該当する発電事業の用に供する電気工作物と、一般用電気工作物以外の電気工作物第38条第4項

電圧や出力の具体的な数値は経済産業省令に委ねられています。ここでは数値を書いていません。

電気工事士法の「一般用電気工作物等」は、この法律の一般用電気工作物と小規模事業用電気工作物を合わせたものです。区分ごとの目安は一般用と自家用の電気工作物の違い、小規模事業用の3要件は小規模事業用電気工作物の定義と届出で扱っています。

保安に関する条文ごとの内容と詳しいガイド

設置者の義務に当たる主な条文を、区分・維持・体制・工事と使用開始・一般用の順に並べました。右端の列から、その条文を掘り下げたガイドへ進めます。

電気事業法の保安に関する主な条文と、このサイトの詳しいガイド
項目条内容の要点詳しいガイド
電気工作物の区分第38条電気工作物を、一般用電気工作物、事業用電気工作物、小規模事業用電気工作物、自家用電気工作物に分けて定義する一般用と自家用の電気工作物の違い(600Vの目安・早見表)
小規模事業用電気工作物の届出第46条設置者は、使用の開始前に、氏名・住所などを記載した書類を添えて経済産業大臣に届け出る(省令で定める場合を除く)小規模事業用電気工作物とは(定義・出力の境目・設置者の届出)
技術基準への適合第39条・第40条事業用電気工作物の設置者は、省令の技術基準に適合するように維持する。適合しないときは、主務大臣が修理・改造・移転・使用の一時停止などを命じることができる電気設備技術基準の省令と解釈の違い(法的な位置づけ)
保安規程第42条小規模事業用電気工作物を除く事業用電気工作物の設置者は、保安規程を定め、使用の開始前に主務大臣へ届け出る。設置者と従業者は保安規程を守る自家用電気工作物の設置者の手続
主任技術者の選任第43条第1項・第3項設置者は、主任技術者免状の交付を受けている者から主任技術者を選任し、選任したとき・解任したときは遅滞なく届け出る電気主任技術者と主任電気工事士・電気工事士の違い
免状を持たない人の選任第43条第2項自家用電気工作物(小規模事業用を除く)の設置者は、主務大臣の許可を受けて、免状の交付を受けていない人を主任技術者に選任できる自家用電気工作物の外部委託承認制度(対象設備・委託先・申請書類)
主任技術者免状の種類第44条第一種〜第三種電気主任技術者、第一種・第二種ダム水路主任技術者、第一種・第二種ボイラー・タービン主任技術者の7種類。経済産業大臣が交付する電気主任技術者の第一種・第二種・第三種の監督範囲
工事計画の認可・届出第47条・第48条公共の安全の確保上特に重要な工事は認可、それ以外で省令の定める工事は届出。届出の場合は、受理から30日を経過してから工事を開始する自家用電気工作物の設置者の手続
自己確認・使用開始の届出第51条の2・第53条省令の定める事業用電気工作物は、使用の開始前に技術基準への適合を自ら確認し、結果を届け出る。自家用電気工作物は、第47条の認可や第46条・第47条第4項・第48条・第51条の2第3項の届出に係るもの、省令の定める場合を除き、使用の開始後に遅滞なく届け出る自家用電気工作物の設置者の手続
一般用電気工作物の調査第56条・第57条・第57条の2経済産業大臣は、技術基準に適合しない一般用電気工作物の所有者・占有者に修理などを命じることができる。電線路維持運用者は、その適合を調査し、登録調査機関へ委託することもできる一般用電気工作物の調査の頻度(4年・5年)と調査員の要件

事業用電気工作物の設置者には、技術基準の維持、保安規程、主任技術者の選任という3つの基本の義務があります。保安規程は、第42条が小規模事業用電気工作物を除いており、その代わりに第46条の届出があります。主任技術者の選任が不要になる範囲は省令で定められています。

ここに挙げたのは主な条文で、電気主任技術者試験、環境影響評価、電気事業者に関する条文は省いています。

この整理で言えないこと

この記事は条文の見取り図です。工事計画の届出が必要な工事の範囲、主任技術者の選任が必要な設備の規模、事故の報告先は省令で定められており、各ガイドで扱っています。 自分の設備がどの区分に当たるか、どの手続きが必要かは、この記事では判定できません。

次に知りたいこと:自家用電気工作物の設置者が行う届出、電気事故の報告義務、主任技術者と主任電気工事士の違い。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。電気工作物の区分や届出の要否は、経済産業省の産業保安監督部または所轄の窓口に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

電気事業法第26条が定める電圧の維持は供給電圧の許容範囲で整理しています。

一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。