公式資料をもとに整理

電気工事業の未払い賃金・残業代の時効(3年・退職金5年)

従業員の未払い賃金(残業代を含む)を請求できる期間は、労働基準法の本則では支払期日から5年ですが、当分の間は3年とされています。退職金は5年、年次有給休暇を取る権利そのものは2年です。種類ごとの期間、いつから数えるか、付加金の請求期間、賃金台帳の保存期間との関係を、厚生労働省の資料で整理します。

公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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請求できる期間の早見表

労働基準法第115条は、この法律の規定による賃金の請求権は行使できる時から5年間、災害補償その他の請求権(賃金を除く)は2年間行わないと時効で消滅すると定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。

ただし厚生労働省は、2020年4月1日以降に支払期日が来る賃金について、賃金請求権の期間を5年に延ばしつつ、当分の間は3年としています(厚生労働省リーフレット「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」)。

電気工事業の従業員に関わる請求権の期間(厚生労働省の整理)
請求権期間
未払い賃金・割増賃金(残業代)5年(当分の間は3年)
退職金5年(変更なし)
年次有給休暇を取る権利2年(変更なし)
年休を取った日の賃金3年(以前は2年)
付加金の請求5年(当分の間は3年)

いつから数えるか

厚生労働省のQ&Aは、賃金請求権の時効を「賃金支払期日から」数えると説明しています(厚生労働省「労働条件Q&A 賃金請求権の消滅時効は、どのように変更されたのでしょうか?」)。

対象は、2020年4月1日以降に支払期日が到来する賃金です。毎月の賃金は、それぞれの支払期日から別々に数えます。

3年の対象になる賃金

同じQ&Aとリーフレットは、期間延長の対象を次のように挙げています。

Q&Aは、割増賃金の算定基礎に入れるべき手当が入っておらず、労働基準監督署から不足分をさかのぼって是正するよう勧告された場合、従来は2年だった期間が3年になり、金額が大きくなることがあると注意しています。割増賃金の計算は割増賃金のガイドで整理しています。

賃金台帳の保存期間と付加金

賃金台帳などの記録の保存期間(第109条)と付加金の請求期間(第114条)も、賃金請求権の時効と同じく、本則は5年で当分の間は3年とされています(上記リーフレット)。

付加金は、解雇予告手当、休業手当、割増賃金、年休の賃金を支払わなかった使用者に対し、裁判所が未払金と同額の支払を命じることができる制度です(労働基準法第114条)。

台帳の記載事項と保存の起算日は労働者名簿と賃金台帳のガイドで整理しています。

厚生労働省のQ&Aは、年次有給休暇の消滅時効は2年のままで、労基法上は前年度の年休権のみが繰り越されると説明しています。一方、年休を取った日の賃金を会社が払わなかった場合の賃金請求権と、その付加金の時効は、当分の間3年に延びています(厚生労働省「労働条件Q&A 年次有給休暇権の時効は?」)。

年休を取らせる義務は休業手当と有給のガイドで扱っています。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。未払い賃金の請求期間や是正の扱いは、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、賃金の下限は最低賃金のガイド、天引きの可否は給料の天引きのガイド、根拠法の全体像は労働基準法とは(目的・労働条件の明示・労働時間・割増賃金・有給休暇の条文ごとの内容)で確認できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。