国土交通省の積算基準をもとに整理
電気工事の見積の費目(直接工事費・共通費の内訳)
電気工事の見積に入れる費用は、「直接工事費」「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の4つに分けて考えると、入れ忘れを減らせます。この4区分は国土交通省官庁営繕部が公共建築工事向けに定めた積算基準の分け方です。民間工事の見積に使う義務はありませんが、費目を漏れなく並べる手本として参考になります。
公開日: 2026-10-17 / 最終更新: 2026-10-17 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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工事費の4つの区分と並び方
公共建築工事積算基準は、工事費を「直接工事費」「共通費」「消費税等相当額」に区分し、共通費をさらに「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」に分けるとしています。電気設備工事は、建築工事や機械設備工事と並ぶ工事種別の1つです。
| 区分 | 内容(基準の定義) |
|---|---|
| 直接工事費 | 工事目的物を造るために直接必要とする費用(直接仮設に要する費用を含む) |
| 共通仮設費 | 各工事種目に共通の仮設に要する費用 |
| 現場管理費 | 工事現場を管理運営するために必要な費用で、共通仮設費以外のもの |
| 一般管理費等 | 受注者の継続運営に必要な費用で、一般管理費と付加利益等からなる |
| 消費税等相当額 | 工事価格に消費税及び地方消費税相当分の税率を乗じて算定 |
基準の図では、直接工事費と共通仮設費の合計が「純工事費」、これに現場管理費を加えたものが「工事原価」、さらに一般管理費等を加えたものが「工事価格」です。
直接工事費(材料・労務・機械器具)
直接工事費の算定方法として、基準は3つを挙げています。材料や機器の価格に個別の数量を掛ける方法、単位施工当たりの材料費・労務費・機械器具費等でできた単価に数量を掛ける方法、これらによりがたい場合に施工に必要な全ての費用を「一式」とする方法です。
電気設備工事の数量は、基準では「公共建築設備数量積算基準」によると定められています。労務費の単価の根拠になる公的な資料は公共工事設計労務単価と電気工事の関係、電気工事の労務費の目安で扱っています。
共通仮設費に入る費目
共通費の積算基準(令和8年改定)は、共通仮設費を次の項目の内容を一式として計上するとしています。
| 項目 | 内容の例(基準の記載) |
|---|---|
| 準備費 | 敷地測量、道路占有のための準備及び現状復旧など |
| 仮設建物費 | 現場事務所、倉庫、作業員施設など |
| 工事施設費 | 仮囲い、工事用道路、場内通信設備など |
| 環境安全費 | 安全標識、消火設備、交通誘導・安全管理の要員、安全用品等(墜落制止用器具(フルハーネス型)を含む)、隣接物等の養生など |
| 動力用水光熱費 | 工事用電気設備・給排水設備に要する費用と、工事用の電気・水道料金 |
| 屋外整理清掃費 | 屋外・敷地周辺の跡片付けと、これに伴う発生材の処分など |
| 機械器具費 | 測量機器、揚重機械器具、雑機械器具などの共通的な工事用機械器具 |
| 情報システム費 | 情報共有、遠隔臨場、BIMなどのシステム・アプリケーション |
| その他 | 材料及び製品の品質管理試験など、上記のどれにも属さない費用 |
基準は、共通仮設費を「積み上げ」か、過去の実績に基づく直接工事費に対する比率(共通仮設費率)のどちらかで算定するとしています。率を使う場合、率に含まれない内容は別に積み上げて加算します。
現場管理費に入る費目
現場管理費には、現場で働く人の給与だけでなく、保険料、印紙代などの租税公課、施工図の作成費、法定福利費も入ります。基準の表-2の主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容の例(基準の記載) |
|---|---|
| 労務管理費 | 安全・衛生に要する費用、研修訓練等の費用、作業用具・作業用被服など |
| 租税公課 | 工事契約書等の印紙代、申請書の証紙代、諸官公署手続き費用など |
| 保険料 | 火災保険、工事保険、自動車保険、組立保険、賠償責任保険、法定外の労災保険など |
| 従業員給料手当 | 現場従業員及び現場雇用従業員等の給与、諸手当、賞与、外注人件費(施工図等作成費を除く) |
| 施工図等作成費 | 施工図・完成図等の作成に要する費用 |
| 法定福利費 | 労災保険料、雇用保険料、健康保険料及び厚生年金保険料の事業主負担額など |
| 建設業退職金共済 | 建設業退職金共済制度に基づく証紙購入代金 |
| 事務用品費 | 事務用消耗品、OA機器等、工事写真・完成写真代など |
| 通信交通費 | 通信費、旅費及び交通費 |
| 補償費 | 騒音、振動、工事用車両の通行等に対して近隣の第三者に支払われる補償費(電波障害等に関する補償費を除く) |
契約書の印紙代の扱いは電気工事の請負契約書と印紙税、賠償責任保険の種類は電気工事の賠償責任保険の種類で説明しています。
一般管理費等と付加利益
一般管理費は、本店・支店など現場以外で会社を続けるために必要な費用です。基準の表-3には、役員報酬、本店・支店従業員の給与や法定福利費、修繕維持費、事務用品費、通信交通費、動力用水光熱費、広告宣伝費、交際費、地代家賃、減価償却費、租税公課、保険料、契約保証費などが並びます。
これとは別に、表-4の「付加利益等」として、法人税・住民税等、株主配当金、役員賞与、内部留保金、支払利息などが挙げられています。一般管理費等は、この2つを合わせたものです。工具や車両の減価償却は個人事業の電気工事の工具・車両の減価償却で扱っています。
個人・小規模の見積で使うときの見方
- この4区分は公共建築工事の積算の基準で、民間工事や小規模な工事の見積書の様式を定めるものではありません。見積の様式や費目の名前は取引先との合意で決まります。
- 基準には共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率の表もありますが、公共建築工事の予定価格を作るための率です。自分の見積にそのまま当てはめず、実際にかかる費用を積み上げて確認してください。
- 見積書に「一式」と書く場合も、手元で材料・労務・諸経費に分けた根拠を持っておくと、後の変更や精算の話し合いで説明しやすくなります。
- 保険料、印紙代、安全用品、車両や工具の費用のように、現場ごとの費用と会社全体の費用のどちらに入れるかを、先に決めておくと見積の揺れが減ります。
参照した資料
次に知りたいこと
- 建設工事の見積期間と注文前の見積(見積を出すまでの日数の定め)
- 見積書・請求書の電子保存(見積書の保存のしかた)
- 建設工事の請負契約書に書く事項(契約書に必要な記載事項)
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の金額の算定もしていません。見積の様式や金額は取引先との契約で決まり、公共工事の積算の取り扱いは発注者の案内で確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。