労働安全衛生規則第518条・第526条〜第528条
脚立・移動はしごの法定基準(脚の角度75度以下・幅30cm以上)
脚立は、脚と水平面との角度を75度以下にし、折りたたみ式なら角度を確実に保つ金具等を備えたものでなければ使えません(労働安全衛生規則第528条)。移動はしごは、幅30cm以上で、すべり止め等の転位防止措置があるものに限られます(第527条)。天井の配線や照明の取付けで使う道具について、条文が決めている点と、条文にはない作業の目安を分けて整理します。
公開日: 2026-10-10 / 最終更新: 2026-10-10 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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脚立とはしごの条文の一覧
脚立と移動はしごの構造の基準は、労働安全衛生規則の第527条(移動はしご)と第528条(脚立)に、それぞれ4項目ずつ書かれています。どちらも主語は「事業者」で、基準に合わないものは使用してはならないという書き方です。条文はe-Gov法令検索「労働安全衛生規則」で確認できます。
| 項目 | 脚立(第528条) | 移動はしご(第527条) |
|---|---|---|
| 構造 | 丈夫な構造 | 丈夫な構造 |
| 材料 | 著しい損傷、腐食等がない | 著しい損傷、腐食等がない |
| 寸法・角度 | 脚と水平面との角度を75度以下 | 幅を30cm以上 |
| 転位・開き止め | 折りたたみ式は、角度を確実に保つ金具等を備える | すべり止め装置の取付けその他、転位を防止するために必要な措置 |
| 踏み面 | 作業を安全に行うため必要な面積 | (定めなし) |
脚立の4つの要件(第528条)
第528条は、脚立が満たす点として、丈夫な構造、材料に著しい損傷・腐食等がないこと、脚と水平面との角度が75度以下であること、踏み面が作業を安全に行うため必要な面積を持つことの4つを挙げています。折りたたみ式の脚立には、脚と水平面との角度を確実に保つための金具等を備えることが、角度の要件と合わせて求められています。
- 角度の条件は「75度以下」で、「75度以上」ではありません。
- 開き止めの金具(ロック)は、折りたたみ式のものについての要件です。
- 「著しい損傷、腐食等がない」は、ねじやピンの緩み、踏みさんの傷みなどを使用前に見る根拠になります。具体的な点検項目は条文には書かれていません。
厚生労働省の労働局は、造園などで使われる三脚脚立のうち、脚をチェーンで止めて開かないようにしているものは、脚が不意に閉じるのを防げず、第528条に違反している可能性があると周知しています(青森労働局・八戸労働基準監督署の資料)。現場で使う三脚脚立の開き止めの構造は、購入時や使用前に確認しておく点です。
移動はしごの4つの要件(第527条)
第527条は、移動はしごが満たす点として、丈夫な構造、材料に著しい損傷・腐食等がないこと、幅が30cm以上であること、すべり止め装置の取付けその他の転位防止措置を講じることの4つを挙げています。条文は「幅は、三十センチメートル以上とすること」とだけ書いています。
すべり止めは「取付けその他転位を防止するために必要な措置」とされているため、床面の状態や設置場所に応じて、どの措置が必要かが変わります。条文は措置の種類を限定していません。
2m以上と1.5m超で別に必要になること
脚立やはしごの構造が基準に合っていても、作業の高さによっては、別の条文の義務が加わります。次の2つは、道具の基準とは別に、作業そのものについての義務です。
- 高さ2m以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く)で、墜落により労働者に危険を及ぼすおそれがある作業は、足場を組み立てる等の方法で作業床を設けることが原則です。作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、要求性能墜落制止用器具を使用させる等の措置を講じます(第518条)。
- 高さ又は深さが1.5mを超える箇所で作業を行うときは、安全に昇降するための設備等を設けます。安全に昇降する設備等を設けることが作業の性質上著しく困難なときは、この限りではありません(第526条第1項)。昇降する労働者は、設備が設けられたときはそれを使う必要があります(第2項)。
群馬労働局のチェックリストも「高さ2m以上での作業時は、墜落制止用器具の使用も必要です」と注記しています。脚立の上で2m以上の高さの作業になる場合に、どの措置が条文に当たるかは作業の内容で変わるため、個別の判断は労働基準監督署で確認してください。フルハーネス型の墜落制止用器具を使う作業の特別教育は、電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習で整理しています。
条文にはない使い方の目安(労働局のチェックリスト)
天板に乗らない、作業は2段目以下の踏みさんで行うといった使い方は、労働局のチェックリストにある目安で、労働安全衛生規則の条文に書かれた義務ではありません。群馬労働局の「作業前10のチェック」には、次の項目が並んでいます。
- 脚立は安定した場所に設置している
- 開き止めに確実にロックをかけた
- ねじ、ピンの緩み、脱落、踏みさんの明らかな傷みはない
- ヘルメットを着用し、あごひもをしめている
- 靴は脱げにくく、滑りにくいものを履いている
- 身体を天板や踏みさんに当て、身体を安定させる
- 天板上や天板をまたいで作業をしない
- 作業は2段目以下の踏みさんを使用する(3段目以下がよりよい)
- 作業は頭の真上でしない
- 荷物を持って昇降しない
電気工事の天井まわりの作業は、頭の上に手を伸ばす姿勢になりやすい作業です。チェックリストの「作業は頭の真上でしない」「身体を天板や踏みさんに当て、身体を安定させる」は、そうした場面で姿勢を見直す目安として読めます。
従業員を雇う場合の安全衛生の体制づくりは安全衛生管理体制のガイド、停電作業や活線作業の安全は活線作業・停電作業の安全のガイドで扱っています。
この整理で言えないこと
- 個別の作業で、脚立やはしごを使ってよい高さや、作業床が必要かどうかは、この記事では判定しません。
- 条文の主語は事業者です。一人親方など労働者を使用しない場合の扱いは、この記事では断定せず、労働基準監督署で確認してください。
- メーカーの取扱説明書、JIS、製品ごとの使用可能な高さや荷重は対象外です。
- 建設現場の足場、高所作業車、ローリングタワーの基準は対象外です。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業床の要否、墜落制止用器具の使用場面、使っている脚立やはしごが基準に合うかは、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。