公式資料をもとに整理
電気工事業の名義貸しと罰則(関わる条文の整理)
電気工事業法と電気工事士法の条文に、「名義」を貸すことそのものを禁じた規定は見当たりません。ただし、名義だけで実態のない状態は、主任電気工事士の設置、無資格者を作業に従事させる禁止、登録を受けずに営む禁止などの条文に触れることがあり、罰則や登録の取消し・事業停止につながります。 ここでは、場面ごとにどの条文が関わるかを整理します。
公開日: 2026-10-15 / 最終更新: 2026-10-15 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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「名義貸し」と書いた条文はあるか
e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」とe-Gov法令検索「電気工事士法」の本則を2026年10月15日に検索したところ、電気工事業法に「名義」を含む条はありませんでした。電気工事士法には「貸与」を含む条もありませんでした。
そのため、「名義貸しを禁止する第○条」と言い切れる条文はありません。名義を貸す・借りるという行為が問題になるのは、その結果として次の項で見る義務に反する状態が生じたときです。
場面ごとに関わる条文と罰則
| 場面 | 関わる条文 | 罰則・処分 |
|---|---|---|
| 主任電気工事士を置いていない・欠けたのに選任しない | 電気工事業法第19条第1項・第3項 | 3万円以下の罰金(第39条第1号)。登録の取消しまたは6月以内の事業停止の対象(第28条第1項第3号) |
| 電気工事士でない人を一般用電気工事の作業に従事させる | 電気工事業法第21条第2項 | 3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金(第37条第1号)。登録の取消しまたは6月以内の事業停止の対象(第28条第1項第3号) |
| 免状のない人が電気工事士の作業に自ら従事する | 電気工事士法第3条 | 3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金(第14条) |
| 登録を受けずに電気工事業を営む | 電気工事業法第3条第1項 | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金、併科もあり(第36条第1号) |
| 請け負った電気工事を、電気工事業者でない者に請け負わせる | 電気工事業法第22条 | 3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金(第37条第2号) |
法人の代表者や従業者がその法人の業務に関して第36条から第40条までの違反をしたときは、行為者のほか、その法人または人にも罰金刑が科されます(第41条)。ここに挙げたのは条文上の最高限度で、個別の事案でどの条文が適用されるかは、この記事では判断できません。
主任電気工事士を名義だけで置く場合
登録電気工事業者は、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに、一般用電気工事の作業を管理させるため、第一種電気工事士、または免状の交付を受けた後3年以上の実務経験を持つ第二種電気工事士を、主任電気工事士として置かなければなりません(電気工事業法第19条第1項)。主任電気工事士が欠けたときなどは、知った日から2週間以内に選任します(同条第3項)。
主任電気工事士は、一般用電気工事による危険や障害が発生しないよう、作業の管理の職務を誠実に行わなければならず、作業に従事する者は、その必要があると認めてする指示に従わなければなりません(第20条)。 条文が求めているのは、資格者の名前を届けることではなく、営業所で作業を管理させることです。
名前だけを借りて管理の実態がない状態は、この趣旨に合いません。第20条の違反そのものに罰則を置いた規定は、本則第36条から第40条には出てきません。罰則や処分の対象として明記されているのは、選任をしなかったこと(第19条第3項)です。
主任電気工事士の要件と職務は主任電気工事士の要件・職務、登録後の義務の全体は電気工事業登録後に確認する義務で整理しています。
免状を持たない人が作業する場合
一般用電気工作物等に係る電気工事の作業は、第一種電気工事士または第二種電気工事士の免状の交付を受けている者でなければ従事できません(電気工事士法第3条第2項。保安上支障がないと認められる軽微な作業として経済産業省令で定めるものを除く)。電気工事士は作業に従事するときに免状を携帯していなければなりません(同法第5条第2項)。
他人の免状で作業をするといった行為を直接取り上げた条文は、上のとおり見当たりません。免状のない人を電気工事業者が作業に従事させれば第21条、本人が従事すれば電気工事士法第3条の問題になります。
免状の取得条件は電気工事士の義務、個人の免状と事業者の登録の違いは電気工事士免状と電気工事業登録・通知の違いが参考になります。
この整理で言えないこと
- 個々の事案が上の条文のどれに当たるか、処分や刑事責任の有無は、この記事では判定できません。
- 建設業法など、電気工事業法・電気工事士法以外の法令での扱いは扱いません。
- 名義を貸す側・借りる側それぞれの民事上の責任や、契約の効力は扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。主任電気工事士の選任の方法や、個別の状態が違反に当たるかは、登録を受けている都道府県または経済産業局などの所轄行政庁へ確認してください。
監督処分と罰則の全体像は電気工事業法の監督処分と罰則で整理しています。 自分の事業が登録・通知のどの区分に当たるかは、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと目安を表示できます。