電気工事業法
電気工事の下請に出せる相手(電気工事業法第22条)
電気工事業者が請け負った電気工事を下請に出せる相手は、その工事に係る電気工事業を営む電気工事業者(登録・みなし登録・通知・みなし通知の手続を済ませた事業者)だけです。下請に出すこと自体は禁じられていません。無登録の人や、手続の種類が合わない事業者に出すと、出した側が罰則と行政処分の対象になります。
公開日: 2026-10-12 / 最終更新: 2026-10-12 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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第22条が定めていること
電気工事業法第22条は「電気工事業者は、その請け負った電気工事を、その電気工事に係る電気工事業を営む電気工事業者でない者に請け負わせてはならない」と定めています。経済産業省の逐条解説は、電気工事業者は請け負った工事を必ずしも自分で行う必要はなく、下請に行わせること自体は禁止していないと説明しています。そのうえで、下請に出す場合は、必ずその工事に係る電気工事業を営む電気工事業者に出すことを義務づけた規定だと整理しています (経済産業省「電気工事業法の逐条解説」、e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」)。
同じ解説は、この条が電気工事業者以外の人が電気工事を請け負うことを禁じる条文ではない点も述べています。電気工事の請負契約は電気工事業者でなくても結べますが、その工事を施工できるのは電気工事業者だけです。
1件の請負金額が500万円以上の工事は、建設業法の許可を受けた建設業者が行うべきとの付記もあります。この金額の境目は建設業許可が不要な軽微な工事の範囲で整理しています。
下請先として確認する手続の種類
条文の「その電気工事に係る電気工事業」という書き方のとおり、下請先が何らかの手続を済ませているだけでは足りず、手続の種類が工事の種類に合っている必要があります。電気工事業者とは、登録電気工事業者と、自家用電気工事のみの事業を始めるときに通知をした通知電気工事業者の総称です(法第2条第3項)。
電気工事業を営む建設業者は登録電気工事業者とみなされ、自家用電気工事のみなら通知電気工事業者とみなされます。そのうえで、事業の開始時には届出または通知をする義務があります(法第34条)。
| 下請先の立場 | 手続の根拠 | 電気工事業の範囲 |
|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 法第3条の登録 | 一般用電気工事・自家用電気工事 |
| みなし登録電気工事業者 | 建設業者の届出(法第34条第2項・第4項) | 一般用電気工事・自家用電気工事 |
| 通知電気工事業者 | 法第17条の2の通知 | 自家用電気工事のみ |
| みなし通知電気工事業者 | 建設業者の通知(法第34条第3項・第5項) | 自家用電気工事のみ |
| 手続をしていない事業者 | なし | 下請に出せない |
通知は「自家用電気工事のみに係る電気工事業」を営もうとする人が行う手続(法第17条の2)で、一般用電気工事を営むには第3条の登録が要るため、通知電気工事業者は住宅など一般用電気工事の下請先には当たらないと読めます。各手続の違いは通知電気工事業者の概要と登録電気工事業者の概要にまとめています。
電気工事士の免状を持っていることは、電気工事業者であることとは別です。作業をする人の資格は電気工事士法の問題で、事業者としての手続は電気工事業法の問題です。個人で事業として電気工事を請け負う人も、営利の目的で電気工事業を営むなら、逐条解説の説明では自然人と法人のどちらも対象です。
違反したときの罰則と行政処分
第22条に違反して電気工事を請け負わせた者は、法第37条第2号により3月以下の拘禁刑もしくは3万円以下の罰金、またはその併科の対象です。あわせて、行政庁は登録電気工事業者について登録の取消し、または6月以内の事業の全部もしくは一部の停止を命じることができます。通知電気工事業者に対しては、6月以内の事業の停止命令ができます(法第28条第1項第3号・第2項第3号)。
建設業者のみなし登録には登録の取消しの規定が適用されないため(法第34条第1項)、取消しの対象になるのは手続上の登録業者です。
下請として受けた側が手続をしていない場合は、その側にも別の問題が生じます。登録を受けないで電気工事業を営んだ者は、法第36条第1号で1年以下の拘禁刑もしくは10万円以下の罰金、またはその併科です。
全体の罰則と監督は電気工事業法の罰則と監督で整理しています。個別の事案で罰則がどう適用されるかは、この記事では判断しません。
立入検査で見つかった違反の実例
近畿産業保安監督部の令和6年度の立入検査では、検査した電気工事業者18者のうち12者に違反があり、第22条の違反は3件でした。検査対象18者の内訳は、登録電気工事業者1者、みなし登録電気工事業者16者、みなし通知電気工事業者1者です (近畿産業保安監督部「令和6年度電気工事業立入検査結果について」)。
同じ資料は、請負業者の管理では登録(届出)の有無の確認に加えて、電気工事業の種類も確認する必要があると指摘しています。さらに、建設業の許可を「電気工事業」で受けていても、電気工事業の開始の届出がされているかの確認が必要だとしています。建設業許可の業種欄だけを見て下請先を選ぶと、この点で漏れが出ます。
下請に出す前の確認項目
- 下請先が、登録電気工事業者・みなし登録・通知・みなし通知のどれに当たるか、書面や公開情報で確かめたか
- 工事が一般用電気工事を含む場合、下請先の手続が通知(自家用のみ)になっていないか
- 下請先が建設業者なら、建設業許可とは別に、電気工事業の開始の届出がされているか
登録の有無を調べる方法は電気工事業者の登録の確認方法、登録後に営業所ごとに求められる義務の全体は登録後の義務にあります。建設業法の側で下請に出すときの制限は一括下請負の禁止で扱っています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。特定の下請先や工事が第22条に当たるかは、登録行政庁(経済産業大臣または都道府県知事)の窓口で確認してください。
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一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。