公式資料をもとに整理
責任分界点・財産分界点と電気工事の施工区分
低圧の電気では、東京電力パワーグリッド・関西電力送配電・中部電力パワーグリッドの3社とも、電力会社と需要家の境目は「引込線取付点」です。境目より需要場所側の配線や設備が需要家側で、その工事には電気工事士法の資格が関わります。高圧では受電の方式によって境目の位置が変わり、呼び名も会社と資料の版で異なります。
公開日: 2026-10-14 / 最終更新: 2026-10-14 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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低圧は3社とも引込線取付点が境目
一般の住宅や小規模な店舗が受ける低圧の電気では、公開資料のうえで次のように境目が示されています。
| 会社 | 境目の呼び方 | 資料の記載 |
|---|---|---|
| 東京電力パワーグリッド | 保安責任・財産の分界点 | 「引込線取付点が、お客さまの設備と東京電力の設備の境目」 |
| 関西電力送配電 | 供給地点 | 託送供給等約款は「引込線取付点までは、当社が施設」と定める |
| 中部電力パワーグリッド | 財産および責任の境界 | 「引込線取付点がお客さまと中部電力パワーグリッドとの財産および責任の境界」 |
東京電力パワーグリッドの新増設申込の資料は、境目より電源側を「配電設備-引込柱-引込線」の外線、境目より需要場所側を「引込線取付点(支持点)-引込口配線-分電盤-コンセント」の内線として図示し、計器などを除く内線部分は需要者の財産としています。出典は、東京電力パワーグリッドの引込線の基礎知識のページ、新増設申込の資料(PDF)、関西電力送配電の 託送供給等約款(PDF、2024年10月1日実施)、中部電力パワーグリッドの電気の基礎知識のページです。
高圧は受電の方式で境目が変わる
キュービクルなどで高圧を受ける場合、境目は引込みの方式で決まります。公開資料の記載は次のとおりです。
| 会社 | 引込みの方式 | 境目 |
|---|---|---|
| 東京電力パワーグリッド | 架空引込 | お客さまが設置した引込線取付点における、東京電力の架空引込線との接続点 |
| 東京電力パワーグリッド | 地中引込(東京電力が施設する場合) | お客さま設置の開閉器・断路器・接続装置の電源側端子のうち、最も電源側に近い接続点 |
| 中部電力パワーグリッド | 構内の第一柱に引き込む | 構内引込第一柱の柱上開閉器の系統側接続点 |
| 中部電力パワーグリッド | 建造物へ直接引き込む | 第一支持点の支持がいしの受電設備側接続点 |
| 中部電力パワーグリッド | 変電室へ直接引き込む | 変電室内の引込口開閉器の系統側接続点 |
東京電力パワーグリッドの高圧受電設備の資料(PDF)では、架空引込の場合、引込線取付点の支持物から受電室の断路器までの引込口配線もお客さま側で設置します。
中部電力パワーグリッドの記載は、同社の配電系統アクセス指針(PDF、2026年10月1日実施)にあります。この指針は発電設備や需要設備を系統につなぐ手続の資料ですが、「需要設備の財産分界点」を定めています。関西電力送配電の託送供給等約款は、地中引込で、お客さま側の開閉器等の接続点か同社の計量器の接続点のうち最も電源側に近い点までを同社が施設すると定めています。
同じ高圧でも、柱から引き込むのか、建物や変電室へ直接引き込むのかで位置が違います。新築のキュービクルでは、図面を引く前に、受電方式と境目の位置を電力会社に確認する必要があります。
会社ごとに呼び名と「内線工事」の意味が違う
- 東京電力パワーグリッドは、「保安責任・財産の分界点」「財産・責任分界点」という呼び方を資料で使っています。
- 中部電力パワーグリッドの配電系統アクセス指針は、「財産分界点」を設備所有上の境界、「施工区分」を設備施工上の境界と区別して定義しています。
- 関西電力送配電の託送供給等約款は「供給地点」を使い、本文に「責任分界点」「財産分界点」の語は出てきません。供給地点は、同社の供給設備と需要者の電気設備との接続点です。
- 関西電力送配電の工事案内のページは、「内線工事」を「電柱から需要場所への引込線工事や計量器工事」と説明しています。電気工事士が行う屋内配線の工事を指す一般的な使い方とは意味が異なるため、資料を読むときは、どちらの意味で書かれているかを確かめる必要があります。
この関西電力送配電の説明は、同社の 工事の案内のページ にあります。資料の版が変わると表記も変わることがあるため、使う時点の最新の資料を開いて確かめてください。
境目の手前と先で誰が何をするか
関西電力送配電の託送供給等約款は、供給地点に至るまでの供給設備を同社の所有とし、引込線取付点までは同社が施設すると定めています。同じ約款は、供給地点から引込開閉器までの引込口配線は契約者(小売電気事業者)がその負担で施設するとし、引込小柱などの補助支持物も契約者が施設するとしています。保安の責任についても、同社は供給地点に至るまでの供給設備と、需要場所内にある同社の電気工作物(計量器など)について負うと定めています。
低圧の境目より電源側は電力会社の設備、需要場所側は需要家の設備という分け方は、上の表の3社で共通しています。需要家側の設備の保安を約款がどう定めているかは、今回確認した資料の範囲では分かりませんでした。
需要家側の工事に関わる資格と登録
境目より需要家側の工事に、どの資格が要るかは、その設備が一般用電気工作物(低圧受電の住宅・小規模店舗など)か、自家用電気工作物(高圧受電のキュービクルなど)かで決まります。
- 電気工事士法第2条第3項は、電気工事を「一般用電気工作物等又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事」とし、政令で定める軽微な工事を除いています。
- 同法第3条第1項は、第一種電気工事士でなければ、自家用電気工作物の電気工事(特殊電気工事を除く)の作業に従事できないと定めています。
- 同法第3条第2項は、第一種または第二種電気工事士でなければ、一般用電気工作物等の電気工事の作業に従事できないと定めています。
- 電気工事業法第3条は、電気工事業を営むには、営業所の所在に応じて経済産業大臣または都道府県知事の登録を受けることを求めています(通知で足りる場合は同法第17条の2に別の定めがあります)。
条文はe-Govの電気工事士法で確認できます。引込口配線の工事を誰が請け負えるかを、境目の位置だけで判断することはできません。登録・通知・みなしの区分の違いは電気工事業の登録が必要かどうか、一般用と自家用の分かれ目は一般用と自家用の違いを整理した記事、作業ごとの資格は家庭の電気工事の作業別の資格で確認できます。
高圧設備を設置するときは、消防署への届出が別に必要になることがあります。キュービクルを設置するときの消防署への届出で、届出をする人や時期を整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。境目の位置、工事の分担、費用の負担は、受電する場所を担当する一般送配電事業者と、契約する小売電気事業者の最新の資料で最終確認してください。
扱う工事の範囲に応じた4区分の目安は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと表示できます。