公式資料をもとに整理

電気工事業の特定建設業許可の要件(特定営業所技術者・財産的基礎の数値基準)

電気工事業は建設業法施行令が定める指定建設業7業種の一つで、特定建設業許可を取得するには、特定営業所技術者の資格経路が国家資格保有者等に限定され、財産的基礎も欠損比率・流動比率・資本金・自己資本の4つの数値基準を満たす必要があります。建設業法第15条と同法施行令が定める基準を整理します。

公開日: 2026-09-25 / 最終更新: 2026-09-25 / 制度確認日: 2026-07-26

特定建設業許可の3つの基準(第15条)

e-Gov法令検索「建設業法」第15条は、特定建設業の許可を受けようとする者が満たすべき基準を3つ定めています。第1号は第7条第1号(経営業務の管理を適正に行うに足りる能力)・第3号(請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと)に該当する者であること、第2号は営業所ごとに専任の特定営業所技術者を置く者であること、第3号は発注者との請負契約を履行するに足りる財産的基礎を有することです。

第1号の経営業務管理責任者等の基準は経営業務の管理責任者等、誠実性の基準(一般建設業と共通の第7条第3号)は誠実性・財産的基礎要件で整理しています。一般建設業と特定建設業のどちらの許可が必要かを分ける基準(下請契約総額)は一般建設業許可と特定建設業許可の違いで確認できます。

電気工事業は指定建設業——特定営業所技術者の資格経路が限定される

建設業法施行令第5条の2は、第15条第2号ただし書の「指定建設業」を、土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種と定めています。電気工事業はこの指定建設業の一つです。

指定建設業以外の業種では、特定営業所技術者は次の3つの経路(イ・ロ・ハ)のいずれかに該当すれば足ります。

特定営業所技術者の資格経路(建設業法第15条第2号)
経路内容
イ技術検定その他の法令の規定による試験に合格した者、または法令の規定による免許を受けた者
ロ第7条第2号イ・ロ・ハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、請負代金の額が政令で定める金額(4,500万円、施行令第5条の3)以上であるものに関し2年以上指導監督的な実務の経験を有する者
ハ国土交通大臣がイまたはロと同等以上の能力を有すると認定した者

しかし電気工事業を含む指定建設業では、ロの実務経験ルートは使えず、イまたはハに該当する者に限定されます(第15条第2号ただし書)。一般建設業の営業所技術者の資格要件(第7条第2号のイ・ロ・ハ、実務経験ルートを含む)は建設業許可の営業所技術者で整理しています。イに該当する具体的な資格の種類や個別の該当判定は、許可行政庁の窓口で確認してください。

財産的基礎の4つの数値基準

第15条第3号は、発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額(8,000万円、施行令第5条の4)以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有することを求めています。国土交通省の許可事務ガイドラインは、この基準の判定にあたり、次のすべてを満たす者は倒産することが明白である場合を除きこの基準を満たしているものとして取り扱うとしています。

特定建設業許可の財産的基礎の基準(建設業法第15条第3号)
基準数値
欠損の額資本金の額の20%を超えていないこと
流動比率75%以上であること(流動資産を流動負債で除して百分率で表した数値)
資本金の額2,000万円以上であること
自己資本の額4,000万円以上であること

この判定は、既存の企業は申請時の直前の決算期における財務諸表により、新規設立の企業は創業時の財務諸表により行うのが原則です。財務諸表上は資本金の基準を満たさなくても、申請日までに増資を行って基準を満たすこととなった場合は、資本金の基準を満たしているものとして取り扱われます。

財産的基礎が問われる請負契約の金額基準と、許可の要否を分ける金額基準の違い

特定建設業許可がそもそも必要になるかどうかは、第3条第1項第2号が定める基準(発注者から直接請け負う一件の建設工事で、下請契約総額が政令で定める金額以上になる場合)で判定します。この金額は建築一式工事以外は5,000万円、建築一式工事は8,000万円です(施行令第2条)。電気工事業は建築一式工事ではないため5,000万円が境界で、一般建設業許可と特定建設業許可の違いで整理しています。

この記事で扱う第15条第3号の8,000万円(施行令第5条の4)は、財産的基礎の基準を判定する対象となる請負契約額の基準であり、特定建設業許可の要否を判定する上記5,000万円の基準とは別の規定です。いずれも「8,000万円」という数値が登場する場面がありますが(建築一式工事の許可要否基準と、財産的基礎の判定基準)、根拠条文と判定対象が異なるため、混同しないよう注意してください。

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。財務諸表の個別項目の該当判定、特定営業所技術者の資格の個別該当判定は、許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)の公式資料または窓口で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。