公式資料をもとに整理
建設業許可の大臣許可・知事許可の区分と、営業所を他県へ増やしたときの許可換え新規
建設業許可は、営業所が2以上の都道府県にまたがれば国土交通大臣、1つの都道府県の区域内にのみあれば当該都道府県知事の許可です。営業所を他県へ増やすなどしてこの区分が変わる場合、建設業法は「許可換え新規」という新規許可と同様の手続きを求めます。建設業法第3条・第9条と国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」から要件を整理し、電気工事業法の都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣という3段階の提出先ルールと対比します。
公開日: 2026-09-23 / 最終更新: 2026-09-23 / 制度確認日: 2026-07-26
建設業許可は営業所の配置で大臣許可・知事許可に分かれる
e-Gov法令検索「建設業法」第3条第1項は、建設業を営もうとする者について、2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合は国土交通大臣の許可を、1の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合は当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと定めています。政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う者は、この許可を要しません。
ここでの「営業所」は、見積り・入札・契約締結等の実体的な行為を行う事務所を指し、施工場所の数とは別に数えます。同じ許可(一般建設業許可)の中でも、この営業所の配置だけで、許可行政庁が国土交通大臣になるか都道府県知事になるかが決まります。
営業所を他県へ増やすなど区分が変わると許可換え新規が必要になる
建設業法第9条第1項は、いったん許可を受けた建設業者が、次のいずれかに該当して引き続き同じ建設業を営もうとする場合、新たな許可行政庁の許可を受けたときに従前の許可はその効力を失うと定めています。
| 該当号 | 営業所の変化 | 許可区分の変化 |
|---|---|---|
| 第9条1項1号 | 国土交通大臣の許可を受けた者が、1の都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき | 大臣許可 → 知事許可 |
| 第9条1項2号 | 都道府県知事の許可を受けた者が、当該都道府県内の営業所を廃止して他の1の都道府県内に営業所を設置することとなったとき | 知事許可 → 別の都道府県の知事許可 |
| 第9条1項3号 | 都道府県知事の許可を受けた者が、2以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき | 知事許可 → 大臣許可 |
1つの都道府県のみに営業所を持つ事業者が、他県へ営業所を増やして2以上の都道府県にまたがると、3号に該当し、国土交通大臣の許可へ切り替える手続きが必要になります。逆に大臣許可の事業者が営業所を集約して1都道府県のみになった場合(1号)や、知事許可のまま県境をまたいで営業所を移した場合(2号)も、同様に新たな許可行政庁の許可を受け直します。
許可換え新規の審査は新規許可と同様に行われる
国土交通省「建設業許可事務ガイドラインについて」は、この第9条第1項各号に該当することにより新たな許可行政庁へ申請する場合を「許可換え新規」と呼び、許可申請書の「申請の区分」欄でも、現在有効な許可をどの行政庁からも受けていない「新規」とは区別して扱うとしています。
許可換え新規の申請の取扱いは、新規の許可の申請の場合と同様に行われます。工事経歴書・直前3年の工事施工金額を記載した書面・使用人数を記載した書面の添付は省略できますが、これは従前の許可行政庁が保有するこれらの書類が、許可後に新しい許可行政庁へ移管される仕組みによるものです。
建設業法第9条第2項は、第3条第4項(有効期間の満了日までに更新の処分がされない場合、処分がされるまで従前の許可がなお効力を持つとする規定)を、許可換え新規の申請にも準用しています。このため、許可換え新規の審査中に従前の許可の有効期間が満了しても、不許可処分がされるまでの間は従前の許可がなお効力を持ちます。
電気工事業法の3段階の提出先との対比
複数営業所がある場合の電気工事業の提出先で整理しているとおり、電気工事業法上の登録・通知の提出先は、建設業法の大臣・知事の2段階とは異なり、営業所配置に応じて都道府県知事・産業保安監督部長・経済産業大臣の3段階に分かれます。これは経済産業大臣の権限の一部が、政令の定めるところにより産業保安監督部長に委任されているためです(e-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」第35条)。
提出先が変わる区分変更の手続きも、両法で構造が異なります。建設業法は「許可換え新規」という新規許可と同水準の審査を経る手続きを設け、その審査中は従前の許可の効力が(有効期間満了後も)不許可処分まで継続する仕組みを条文上明記しています(前節)。一方、電気工事業法では、複数営業所がある場合の電気工事業の提出先が整理しているとおり、経済産業大臣の登録を受けた事業者が1つの都道府県のみに営業所を減らした場合は30日間従前登録がなお効力を持つ明文の規定がありますが、逆に1つの都道府県のみだった事業者が営業所を他県へ増やして複数県にまたがる場合は、新たな経済産業大臣(または産業保安監督部長)の登録を受けるまで、増設した営業所を本拠にした電気工事を行えないとされています。
建設業許可と電気工事業の登録・通知をあわせて持つ事業者が営業所を他県へ増やす場合、この2つの手続きは別の法令・別の行政庁に対するものであり、審査中の効力の扱いも同一ではありません。建設業許可側の許可換え新規と、電気工事業側の新たな行政庁への登録は、それぞれ別々に準備・申請する必要があります。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。許可換え新規の具体的な提出書類・審査期間は許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)の窓口で、電気工事業の登録・通知の提出先は複数営業所がある場合の電気工事業の提出先で示す公式窓口で、それぞれ最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。