公式資料をもとに整理
建設労働者技能実習コース助成金の額と申請期限
従業員に特別教育や技能講習を受けさせる電気工事業者は、建設事業主として人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コースを使える場合があり、中小建設事業主なら受講費用の一部と、受講日の賃金の一部が助成されます。ここでは、厚生労働省の令和8年度のリーフレットと冊子から、助成の額、対象になる実習、計画届と支給申請の期限、使えない事業者を整理します。
公開日: 2026-10-15 / 最終更新: 2026-10-15 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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経費助成と賃金助成の額
助成には、実習にかかった費用を対象にする経費助成と、受講日の賃金を対象にする賃金助成があります。賃金助成は、雇用保険の被保険者が20人以下の中小建設事業主で、条件を満たした受講日1日あたり9,500円です(厚生労働省「人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)」リーフレット)。
| 雇用保険の被保険者数 | 経費助成の割合 | 賃金助成(1人1日) | 増額分(賃金要件・資格等手当要件を満たしたとき) |
|---|---|---|---|
| 20人以下 | 対象経費の3/4 | 9,500円(建設キャリアアップシステムの技能者登録者は10,450円) | 経費は3/20、賃金は2,000円 |
| 21人以上 | 35歳未満の労働者は対象経費の7/10、35歳以上は9/20 | 8,550円(同じく技能者登録者は9,405円) | 経費は3/20、賃金は1,750円 |
経費助成は、一つの技能実習について建設労働者1人あたり10万円が上限で、経費の増額分(3/20)の上限は2万円です。助成額は100円未満が切り捨てになります(厚生労働省「建設事業主向け助成コース一覧(令和8年度)」)。
賃金助成の対象は、通学制または同時双方向型の通信訓練で、訓練時間が3時間以上ある日だけです。一つの技能実習につき1人20日分が上限で、中小建設事業主以外の建設事業主は賃金助成の対象になりません。
増額分は、実習が終わった後に賃金を5%以上上げる賃金要件、または資格等手当を就業規則に定めて賃金を3%以上上げる資格等手当要件を満たしたときに付きます。比べる期間は、改定前3か月と改定後3か月の賃金総額です。
対象になる技能実習
リーフレットは、特別教育・安全衛生教育・技能講習などの法令で決まった講習に加えて、建設工事の作業に直接関連する技能実習を対象としています。法令で決まった講習の例として、次が挙がっています。
- 労働安全衛生法に基づく特別教育(支給要領別表5に掲げるもの)
- 労働安全衛生法に基づく安全衛生教育(支給要領別表5-2に掲げるもの)
- 労働安全衛生法に基づく教習および技能講習(支給要領別表6に掲げるもの。冊子では登録教習機関が実施するものが対象)
- 技能検定の事前講習(支給要領別表7に掲げる技能検定職種)
- 建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習
- 技能継承に係る指導者養成講習
どの特別教育が別表に載っているかは、リーフレットには書かれていません。受けさせる講習が対象かどうかは、支給要領の別表と労働局で確認してください。電気工事で従業員が受ける特別教育の内容は低圧・高圧電気取扱の特別教育のガイド、高所作業の講習は高所作業の特別教育・講習のガイドで整理しています。
計画届から支給申請までの流れと期限
- 技能実習を始める日の3か月前から、原則1週間前までに「計画届」を出す。
- 技能実習を実施する(賃金助成の対象日も、通常どおり賃金を支払う)。
- 実習が終わった日の翌日から2か月以内に「支給申請書」と添付書類を出す。
- 労働局の審査を経て、助成金が支給される。
登録教習機関などが実施する技能実習を受けさせる場合は、計画届の提出は不要です。一方、支給申請の期限を過ぎると助成金は受けられません。賃金の支払日から期限まで2週間に満たないときは、支払日から2週間以内に出します。
助成金の支給のために出した書類は、支給(不支給)決定の日から5年間保存します。
使える事業主と使えない事業主
助成の対象は建設事業主で、労働者を雇わない一人親方と、同居の親族のみを使用して建設事業を行う事業主は建設事業主に当たりません。冊子は建設事業主を、建設の事業の雇用保険料率の適用を受けるA、または一般の事業などの料率の適用を受けて建設業の許可を持つBに分けています。電気工事は冊子が示す建設業の許可区分の一つですが、Bになれるのは建設業の許可を持つ事業主に限られます。
- 中小建設事業主は、資本金3億円以下、または常時雇用する労働者300人以下の建設事業主です。
- 賃金助成は中小建設事業主が対象です。中小でない建設事業主の経費助成は、女性建設労働者の技能実習に限られます。
- Bの中小建設事業主は、勤務場所がAの事業所である建設労働者を含めるなど、実施方法によって追加の条件があります。
- 建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づく雇用管理責任者を、事業所ごとに選任している必要があります。
- 前年度より前の保険年度の労働保険料の未納や、申請日の前日から1年前までの労働関係法令の違反があると、助成金は支給されません。
従業員を雇ったときの雇用保険の手続きは労災保険・雇用保険の加入手続きのガイドにまとめています。
申請前に押さえる注意点
- 受講を業務命令で行うので、受講日にも賃金の支払いが必要です。賃金台帳で支払いが確認できないと助成されません。
- 費用の負担、賃金の支払い、訓練の実施状況について、現地での確認や聞き取りが行われることがあります。
- うその記載で受給すると、全部または一部の返還が求められ、不支給決定や支給決定の取消しの日から5年間は各種助成金を受けられません。
この整理で言えないこと
- 特定の講習が別表に載っているかどうかは扱いません。
- 自社の雇用保険料率の区分(AかB)の判定は扱いません。
- 助成額は年度ごとに改定されます。申請の前に厚生労働省の最新のリーフレットと支給要領で確認してください。
- 特定の社会保険労務士や研修機関を推奨するものではありません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社が建設事業主に当たるか、予定している講習が対象か、計画届の要否は、都道府県労働局に確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。
新しく雇った従業員の安全衛生教育は雇入れ時の安全衛生教育のガイドにまとめています。