公式資料をもとに整理
電気工事業者が使える補助金・助成金3制度の違い
開業後の電気工事業者が使いやすい公的な支援は、商工会議所・商工会が窓口の「小規模事業者持続化補助金」、労働局が窓口の「人材開発支援助成金」と「業務改善助成金」の3つです。3制度の対象・窓口・条件の違いと、申請前に押さえる注意点を、公募要領と厚生労働省のページから整理します。融資は別の記事で扱っています。
公開日: 2026-10-17 / 最終更新: 2026-10-17 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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3制度の違い(対象・窓口・条件)
一人で開業した事業者が検討できるのは、従業員がいなくても申請できる持続化補助金です。人材開発支援助成金と業務改善助成金は、雇用する従業員がいることが前提です。どの制度も、申請の前に窓口へ確認が必要です。
| 制度 | 何に使うか | 窓口 | 従業員が必要か |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓や業務効率化の取組の経費(広報費・ウェブサイト関連費・機械装置等費など) | 地域の商工会・商工会議所(事業支援計画書の発行)と補助金事務局 | 必須ではない(小規模事業者の従業員数の上限がある) |
| 人材開発支援助成金 | 雇用する労働者に職務に関連した訓練を受けさせる費用や訓練中の賃金 | 管轄の労働局 | 雇用する労働者が対象 |
| 業務改善助成金 | 生産性向上の設備投資等と、事業場内最低賃金の引上げをセットで行う費用 | 管轄の労働局(雇用環境・均等部室) | 従業員がいない場合は対象外 |
小規模事業者持続化補助金
補助上限は50万円、補助率は3分の2です。インボイス特例・賃金引上げ特例の対象になると上限が上乗せされます。第20回公募の公募要領(第8版)では、インボイス特例対象事業者は50万円、賃金引上げ特例対象事業者は150万円、両方の特例対象事業者は200万円が上乗せされると定められています(賃金引上げ特例のうち赤字事業者の補助率は4分の3)。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 申請受付の開始 | 2026年11月5日(木) |
| 事業支援計画書(様式4)の発行受付の締切 | 2026年12月4日(金) |
| 申請受付の締切 | 2026年12月15日(火)17時 |
| 補助事業の実施期限 | 2028年3月31日(金)まで(交付決定日から) |
申請に必要な事業支援計画書は商工会・商工会議所が発行し、締切後の発行依頼は理由を問わず受け付けられません。申請は電子申請システムのみで、郵送では受け付けられません。審査があるため、不採択になる場合があります。
対象は、日本国内に居住する個人または本店のある法人で、小規模事業者であることが条件です。小規模事業者の定義は商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律第2条にあり、常時使用する従業員の数が、製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下です。電気工事業がどちらの区分で判断されるかは、申請前に商工会・商工会議所へ確認してください。
開業したばかりの人は、開業日に注意が必要です。公募要領は、申請時点で開業していない創業予定者を対象外としており、税務署に開業届を出していても、届出上の開業日が申請日より後なら対象外と定めています。開業届の書き方は開業届と事業開始の手続きで整理しています。
人材開発支援助成金
事業主が雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。厚生労働省の人材開発支援助成金のページによると、コースは次の7つです。
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
- 障害者職業能力開発コース
電気工事業の事業主に関わりが深いのは、建設業向けの「建設労働者認定訓練コース」「建設労働者技能実習コース」です。技能実習コースの内容は建設労働者技能実習コースの記事で整理しています。
コースごとに支給要件・提出書類が異なり、令和8年度に入ってからも複数のコースで改正が掲載されています。訓練を始める前に、どのコースが使えるか、いつまでに何を出すかを、管轄の労働局へ確認してください。
業務改善助成金
生産性向上に資する設備投資等を行い、あわせて事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資等の費用の一部を助成する制度です。厚生労働省の業務改善助成金のページは、次の点を示しています。
- 最低賃金の引上げ計画と設備投資等の計画を立てて申請し、交付決定後に計画どおり進めて結果を報告すると支給される
- 引上げや設備投資は「これから実施するもの」が助成の対象
- 助成額は、設備投資等の費用に助成率をかけた金額と、助成上限額のいずれか安い方
- 最低賃金を引き上げるための制度なので、労働者(従業員)がいない場合は対象外
助成上限額と助成率は、引上げ額・引き上げる労働者数・引上げ前の事業場内最低賃金で変わります。区分は年度で更新されるため、申請の前に上記のページと労働局で最新の区分を確認してください。
申請前の注意点
- 持続化補助金の公募要領は、他の補助金を受給中または受給予定の場合に、受け取れるかどうかを双方の事務局等へあらかじめ確認するよう求めています。複数の制度を使う前に確認してください。
- 厚生労働省の業務改善助成金のページは、厚生労働省から委託を受けたと装って助成金の活用を勧誘する事業者がいるとして注意を呼びかけています。持続化補助金は、補助金事務局のサイトで、事務局が個人へ個別に補助金を紹介・斡旋することはないと案内されています。
- 3制度とも採択や支給が保証されるものではありません。審査や要件の確認があります。
- 購入した工具・車両の税務上の扱いは個人事業主の工具・車両の減価償却の記事で整理しています。
この整理で言えないこと
- 自社が各制度の要件を満たすか、採択や支給の可否は判断しません。
- 人材開発支援助成金の各コースの助成額・助成率と、業務改善助成金の助成上限額・助成率の数値は、年度や改正で変わるため、この記事には載せていません。
- この3制度以外の、都道府県・市区町村独自の補助金は扱っていません。
- 申請書類の作成や申請の代行は行いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。補助金・助成金の対象になるか、日程、金額、必要書類は、地域の商工会・商工会議所、補助金事務局、管轄の労働局へ申請前に確認してください。
開業前後の区分をまだ確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。