公式資料をもとに整理

電気工事業の求人票に書く労働条件と追加3項目

従業員の募集では、求人票や広告の段階で、業務内容・賃金・労働時間などの労働条件を明示する義務があります。2024年4月からは、業務と就業場所の変更の範囲、有期契約の更新基準の3つが明示事項に加わりました。電気工事業の求人で書く項目、固定残業代や試用期間の書き方、内容が変わったときの扱いを、条文と厚生労働省のリーフレットで整理します。

公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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募集時の明示義務の根拠

職業安定法第5条の3第1項は、労働者の募集を行う者に、従事すべき業務の内容と賃金、労働時間その他の労働条件を明示するよう求めています(e-Gov法令検索「職業安定法」)。明示すべき具体的な事項は、同法施行規則第4条の2が定めています(e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」)。

採用が決まって労働契約を結ぶ段階では、別に労働基準法に基づく労働条件の明示が必要です。そちらは労働条件通知書と就業規則のガイドで整理しています。

求人で明示する項目

厚生労働省のリーフレットは、求人で最低限記載が必要な項目として、次の例を挙げています(厚生労働省リーフレット「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」)。

求人で記載が必要な項目(厚生労働省リーフレットの記載例)
項目記載例(リーフレット)
業務内容雇入れ直後の業務と、変更の範囲
契約期間期間の定めあり(期間)、更新の有無、更新上限
試用期間試用期間あり(3か月)
就業場所雇入れ直後の場所と、変更の範囲
就業時間・休憩・休日9:30~18:30、休憩12:00~13:00、土日・祝日(年末年始を含む)
時間外労働あり(月平均20時間)
賃金月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)
加入保険雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険
受動喫煙防止措置屋内禁煙
募集者の氏名または名称会社名

派遣労働者として雇用する場合は、その旨の明示も必要です。求人広告などで情報を提供するときは、掲載した時点を明示するなどして、正確で最新の内容に保つ義務があるとリーフレットは説明しています。

2024年4月に加わった3項目

2024年4月から、次の3つが求職者への明示事項に加わりました。労働基準法に基づく労働契約締結時の明示にも、同様の改正が入っています(上記リーフレット)。

「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中の変更の範囲のことです。電気工事業で言えば(記事側の例示です)、配線工事から高圧設備の保守まで業務が広がる場合や、本社の工事部から別の営業所へ配属が変わる場合の範囲を、求人に書いておく必要があります。

更新上限の記載例は、「通算契約期間は4年を上限とする」「契約の更新回数は3回を上限とする」です。

固定残業代と試用期間の書き方

時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を払ういわゆる固定残業代を採用する場合、リーフレットは次の3点の記載を求めています。

割増賃金の計算は割増賃金のガイドで整理しています。

試用期間は明示事項のひとつで、期間中と期間後で労働条件が違う場合は、それぞれを示す必要があります。リーフレットの例は、月給25万円で試用期間中だけ月給20万円とする書き方です。

求人の内容が変わるとき

求人広告のスペースが足りないなど、やむを得ない場合は「詳細は面談時にお伝えします」と付して、一部を別のタイミングで明示できます。この場合でも、原則として面接などで求職者と最初に接触する時点までに、すべての労働条件を明示する必要があります(上記リーフレット)。

面接などの過程で当初明示した労働条件が変わるときは、その変更内容を明示します。リーフレットは、この明示を速やかに行うよう求めています。

違反したときの扱い

職業安定法第48条の2は、厚生労働大臣が募集を行う者に必要な指導と助言をできると定め、第48条の3は、法令に違反した場合に必要な措置を命じ、従わなければその旨を公表できると定めています(上記e-Gov)。

第65条は、第48条の3の命令に違反した場合や、虚偽の広告をし、または虚偽の条件を提示して募集した場合を、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象にしています。固定残業代や試用期間も、実態と異なる条件で書かないようにします。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。求人票の記載事項は、ハローワークまたは都道府県労働局で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、雇入れ後の書面は労働条件通知書のガイド、雇入れ時の教育は安全衛生教育のガイド、賃金の下限は最低賃金のガイドで確認できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。