公式資料をもとに整理

給料日前の賃金の支払い請求(非常時払)

従業員が出産、病気、災害などの費用のために請求したときは、給料日の前でも、すでに働いた分の賃金を支払う義務が使用者にあります(労働基準法第25条の非常時払)。対象になる場合は厚生労働省令で決まっており、請求できるのは働いた分までで、これから働く分の前払いではありません。電気工事業で従業員を雇う事業者向けに、条文と省令から整理します。

公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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非常時払の義務(第25条)

労働基準法第25条は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合は、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならないと定めています。

賃金は毎月1回以上、一定の期日に払うのが原則です(同法第24条第2項)。第25条はその例外にあたり、労働者から請求があったときに限って、給料日を待たずに払う義務が生じます。使用者が自分の判断で前倒しする制度ではありません。

請求できる「非常の場合」の範囲

第25条の「非常の場合」は、労働基準法施行規則第9条が次の3つを挙げています。

施行規則第9条が定める非常の場合
号場合
第1号労働者の収入で生計を維持する者が、出産し、病気にかかり、または災害を受けた場合
第2号労働者、またはその収入で生計を維持する者が、結婚し、または死亡した場合
第3号労働者、またはその収入で生計を維持する者が、やむを得ない事由で1週間以上帰郷する場合

第1号の条文は、従業員の収入で生計を維持されている家族の出産・病気・災害を挙げています。従業員本人の出産や病気の扱いは条文からは読み取れないため、所轄の労働基準監督署で確認してください。住宅ローンや趣味の費用のための請求は、この3つに含まれません。

支払う賃金は働いた分まで

条文が使用者に求めているのは「既往の労働に対する賃金」の支払いです。請求の時点までにすでに働いた日数や時間に対応する賃金が対象で、これから働く分を先に渡す義務はありません。

たとえば日給の職人が月の15日分を働いた時点で請求した場合、その15日分の賃金が対象です。支払うときも、賃金の全額払いの原則(同法第24条第1項)があるため、社会保険料などの控除は法令や労使協定に基づく範囲に限られます。控除の扱いは賃金の天引きのガイドを参照してください。

違反したときの罰則

第25条に違反すると、30万円以下の罰金の対象になります(同法第120条第1号)。同じ号に、第23条(退職時の金品の返還)、第24条(賃金の支払)、第26条(休業手当)、第27条も並んでいます。

賃金の支払いを早める・確保する条文の違い
条文場面期限
第25条(非常時払)出産・疾病・災害・結婚・死亡・1週間以上の帰郷の費用請求があれば支払期日前でも支払う(日数の定めなし)
第23条(金品の返還)労働者の死亡または退職で権利者が請求したとき請求から7日以内

退職時の7日以内の支払いと退職証明書は退職時の賃金支払のガイドで整理しています。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 請求の可否や支払う額は、所轄の労働基準監督署または総合労働相談コーナーで確認してください。条文はe-Gov法令検索「労働基準法」、 非常の場合の範囲はe-Gov法令検索「労働基準法施行規則」です。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、賃金の天引きの条件は賃金の天引きのガイド、最低賃金は最低賃金のガイド、賃金台帳は労働者名簿・賃金台帳のガイドです。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。