公式資料をもとに整理
電気工事業の退職時の給料7日以内と退職証明書
従業員が退職し、本人から請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金や保証金など本人の権利に属する金品を返さなければなりません。賃金の額に争いがある場合も、異議のない部分は7日以内に支払います。あわせて、本人が請求したときに交付する退職証明書の記載事項、離職票との違い、退職金の支払時期、罰則を、労働基準法と厚生労働省の資料で整理します。
公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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退職後7日以内に支払うもの
労働基準法第23条第1項は、労働者の死亡または退職の場合に、権利者の請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称にかかわらず労働者の権利に属する金品を返還するよう定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。7日の期限が動き出すのは、権利者から請求があった場合です。
| 種類 | 条文の言い方 | 電気工事業での例 |
|---|---|---|
| 賃金 | 賃金を支払う | 未払の月給・日当・残業代 |
| 積立金・貯蓄金 | 積立金、貯蓄金を返還する | 社内預金など、会社が預かっている労働者の金銭 |
| 保証金 | 保証金を返還する | 入社時に預かった金銭があれば |
| その他の金品 | 名称の如何を問わず権利に属する金品 | 本人の資格証や私物など、本人のものを会社が預かっている場合 |
表の右の列は、条文の言い方を電気工事業にあてはめた例で、条文や厚生労働省の資料に載っている例ではありません。賃金を別の理由で差し引けるかは、給料の天引きのガイドで整理しています。
金額に争いがあるとき
第23条第2項は、賃金または金品に争いがある場合でも、使用者は異議のない部分を第1項の期間(7日以内)に支払い、または返還しなければならないと定めています(同上)。たとえば、残業代の計算で労使の見解が分かれていても、争いのない基本給の分は期限内に払います。
退職金はいつ払えばよいか
沖縄労働局のQ&Aは、就業規則などに「退職金は退職後1か月後に支給する」という定めがある場合について、あらかじめ特定された支給期日が到来するまでは支払わなくても第23条第1項の趣旨に反しないと考えられている、と説明しています(沖縄労働局「賃金・賞与・退職金Q2」)。同じ資料は、就業規則等で支給条件があらかじめ定められている退職金は、使用者に支払い義務があるものの、請求権は特定された支給時期が来るまで発生しない、としています。
退職金の制度を置くかどうか、置く場合の支給時期は、就業規則の記載事項とも関わります。支給時期を就業規則に書いていない場合の扱いは、この記事では判定できません。
退職証明書の記載事項と離職票との違い
労働基準法第22条第1項は、労働者が退職の場合に、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金、退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)について証明書を請求したとき、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています。厚生労働省のQ&Aは、次の点を整理しています(厚生労働省「労働条件Q&A 自己都合の退職の際、退職勤務証明書を請求できますか?」)。
| 論点 | 扱い |
|---|---|
| 記載する事項 | 使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由のうち、本人が請求した事項 |
| 請求していない事項 | 記載してはならない(第22条第3項) |
| 退職の事由 | 自己都合退職、勧奨退職、解雇、定年退職など。解雇の場合は解雇の理由も含む |
| 見解が分かれるとき | 使用者が自らの見解を記載して遅滞なく交付すれば違反とはならないが、虚偽であれば義務を果たしたことにならない |
| 離職票との関係 | 離職票は退職時の証明書に代えられない。離職票を受け取っていても、別に証明書を請求できる |
| 請求の回数と時効 | 回数の制限はない。請求権の時効は退職時から2年 |
同じQ&Aは、退職事由に係る証明書のモデル様式を厚生労働省が示していると案内しています(厚生労働省「退職証明書モデル様式」)。解雇の予告がされた日から退職日までの間に、解雇の理由の証明書(解雇理由証明書)を請求された場合の扱いは、解雇予告のガイドで整理しています。
違反したときの罰則
第22条第1項から第3項まで、および第23条に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられると定められています(労働基準法第120条第1号)。
この整理で言えないこと
- 退職金の支給時期が就業規則に無い場合や、退職金が労働基準法の「賃金」に当たるかの個別の判断は、この記事では扱いません。
- 雇用保険の離職証明書、健康保険・厚生年金保険の資格喪失の手続きは扱いません。
- 退職の申し出の時期、有期契約の途中退職、懲戒解雇の手続きは扱いません。
- 会社が貸与した工具・作業着・車両などの返却を求める扱いは扱いません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。退職時の賃金や金品の扱い、証明書の記載は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、賃金の記録の保存は労働者名簿と賃金台帳のガイド、退職後の保険は労働保険のガイド、根拠法の全体像は労働基準法とは(目的・労働条件の明示・労働時間・割増賃金・有給休暇の条文ごとの内容)で確認できます。