粉じん障害防止規則
電気工事のはつり・穿孔で粉じんの特別教育は要るか(粉じん則第22条)
粉じん障害防止規則(粉じん則)の特別教育は、常時、特定粉じん作業の業務につかせる労働者だけが対象です(第22条)。手持ちの工具で壁や天井に穴をあけたり、はつったりする作業は、別表の書き方からすると特定粉じん発生源に入らない形ですが、呼吸用保護具の決まりは別にあります。電気工事士の免状とは別の、労働安全衛生法令の決まりを条文で整理します。
公開日: 2026-10-19 / 最終更新: 2026-10-19 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
運営: 合同会社フューチャープロンプト。AIを活用して作成し、公開前に公式資料と照合しています。誤りのご報告は運営情報へ。
先に結論:特別教育は常時特定粉じん作業だけ
粉じん則第22条第1項は、事業者が「常時特定粉じん作業に係る業務」に労働者を就かせるときに、特別の教育を行うよう定めています。粉じん作業であっても、特定粉じん作業でなければ、この条文の特別教育は求められません (e-Gov法令検索「粉じん障害防止規則」)。
電気工事でよくある、ハンマードリルなど手持ちの工具で壁・床・天井に穴をあける作業やはつり作業は、後の節で見るとおり、別表第2では特定粉じん発生源から手持式動力工具によるものが除かれています。そのため、第22条の特別教育の対象にはなりにくい形です。
ただし、特別教育が要らないことと、粉じんを吸わないための措置が要らないことは別の話です。呼吸用保護具は第27条で別に決まっています。
粉じん作業と特定粉じん作業の違い
粉じん作業は別表第1に掲げる作業のどれかに当たるもの、特定粉じん作業は粉じん作業のうち粉じん発生源が別表第2の特定粉じん発生源であるものです(第2条第1項)。条文は、この3つを次のように分けています。
| 用語 | 意味 | 特別教育(第22条) |
|---|---|---|
| 粉じん作業 | 別表第1に掲げる作業のいずれかに該当するもの | これだけでは対象外 |
| 特定粉じん発生源 | 別表第2に掲げる箇所 | (作業の区分に使う) |
| 特定粉じん作業 | 粉じん作業のうち、粉じん発生源が特定粉じん発生源であるもの | 常時つく業務が対象 |
労働局長が、粉じんの発散の程度や作業の工程からみて措置が要らないと認めた作業は、粉じん作業から除かれます(第2条第1項第1号ただし書、非該当認定)。
手持ち工具の作業は別表第2から外れる
別表第1第6号の「岩石又は鉱物を裁断し、彫り、又は仕上げする場所における作業」のうち、別表第2第5号が特定粉じん発生源にするのは、屋内の、手持式又は可搬式の動力工具によるものを除いた箇所です。手持式の動力工具でこの作業をする場合は、特定粉じん作業の形になりません。
| 別表 | 内容(要約) | 電気工事での見方 |
|---|---|---|
| 別表第1第6号 | 岩石又は鉱物を裁断し、彫り、又は仕上げする場所における作業(火炎を用いるものなどを除く) | 粉じん作業の入口 |
| 別表第2第5号 | 第6号の作業の粉じん発生源のうち、屋内の、動力(手持式又は可搬式動力工具によるものを除く)で裁断し、彫り、仕上げする箇所 | 手持式は特定粉じん発生源にならない |
| 別表第3第4号 | 第6号の作業のうち、手持式又は可搬式の動力工具を用いて岩石又は鉱物を裁断し、彫り、仕上げする作業 | 呼吸用保護具の対象(第27条) |
同じ書き方は、別表第1第8号(鉱物等を動力で破砕し、粉砕する作業)の別表第2第8号にもあり、手持式動力工具によるものは特定粉じん発生源から除かれています。
呼吸用保護具の決まり(第27条)
別表第3に掲げる作業に労働者を従事させる事業者は、有効な呼吸用保護具を使用させます(第27条第1項)。別表第3第4号が、手持式又は可搬式の動力工具で岩石又は鉱物を裁断し、彫り、仕上げする作業を挙げているため、この形の作業は呼吸用保護具の対象に入ります。
- 例外:粉じんの発生源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置、発生源を湿潤な状態に保つ設備などで、粉じんの発散を防ぐのに有効な措置を講じたときは、この義務は適用されません(第27条第1項ただし書)。
- 作業の一部を請負人に請け負わせるときは、請負人に、有効な呼吸用保護具を使用する必要がある旨を周知します(第27条第2項)。
- 労働者は、使用を命じられた呼吸用保護具を使います(第27条第5項)。
電動ファン付き呼吸用保護具の使用を義務づける第27条第3項は、別表第3第1号の2(ずい道等内の動力による掘削)、第2号の2(ずい道等内の動力による積込み・積卸し)、第3号の2(ずい道等内のコンクリート等の吹付け)の作業だけが対象です。手持ち工具の穿孔・はつりは、この項の対象に入っていません。
特別教育の科目と記録
第22条第1項の特別教育の科目は、粉じんの発散防止及び作業場の換気の方法、作業場の管理、呼吸用保護具の使用の方法、粉じんに係る疾病及び健康管理、関係法令の5つです。科目ごとの時間などの細目は、第22条第2項により厚生労働大臣が定めるとされています。
特別教育を行ったときは、受講者と科目などの記録を作って3年間保存します(安衛則第38条)。記録の考え方はグラインダーの砥石の特別教育と同じで、グラインダーの砥石交換に特別教育は必要かで整理しています。
この整理で言えないこと
この記事は粉じん則の条文の読み方の整理で、現場のコンクリート壁やALC板などの穿孔・はつりが、別表第1第6号の「岩石又は鉱物」の作業に当たると断定するものではありません。どの号に当たるか、非該当認定の対象になるかは、作業の内容と材料によって変わります。
また、第22条の特別教育は、事業者が労働者を就かせるときの義務です。従業員を雇わない一人親方に、この義務がどう及ぶかは扱いません。アスベスト(石綿)を含む可能性のある建材の穿孔・はつりは石綿障害予防規則など別の決まりが関わるため、電気設備の改修で必要になる石綿の事前調査を先に確認します。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。作業が粉じん作業や特定粉じん作業に当たるか、特別教育や呼吸用保護具の対象になるかは、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局に確認してください。
次に知りたいこと:配線の工事方法を場所ごとに確認するなら電気工事の場所別の配線方法、高所での作業に必要な教育は電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習を確認します。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。