算定基礎届と月額変更届の違い(定時決定と随時改定)

算定基礎届は毎年1回、7月1日現在の全被保険者について4月・5月・6月の報酬を届け出て標準報酬月額を決め直す手続き(定時決定)です。月額変更届は、昇給や降給で固定的賃金が変わり、3か月後に標準報酬月額が2等級以上ずれたときに、年の途中で出す手続き(随時改定)です。ここでは、日本年金機構の案内から、2つの届出の違い、令和8年度の提出期間、対象外になる人、日給制の職人を雇う場合の支払基礎日数の数え方を整理します。

公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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算定基礎届と月額変更届の違い

算定基礎届は全員を対象に毎年7月に出す定例の届出で、月額変更届は報酬が大きく変わった人だけについて、そのつど出す届出です。どちらも、健康保険と厚生年金保険の保険料の基礎になる標準報酬月額を、実際の報酬に近づけるための手続きです。

算定基礎届(定時決定)と月額変更届(随時改定)の比較(日本年金機構の案内)
項目算定基礎届(定時決定)月額変更届(随時改定)
出す人7月1日現在の全被保険者と70歳以上被用者(対象外あり)固定的賃金が変わり、要件に当たった被保険者
見る報酬4月・5月・6月の3か月の報酬変動月から続く3か月の報酬
出す時期令和8年度は7月1日から7月10日速やかに
新しい標準報酬月額の適用9月から翌年8月まで変動後の報酬を初めて受けた月から数えて4か月目から
提出先事務センターまたは管轄の年金事務所(電子申請、郵送、窓口持参)

日本年金機構の随時改定の案内によると、6月までに随時改定で決まった標準報酬月額は、再び随時改定がない限り当年の8月まで、7月以降に改定された場合は翌年の8月まで適用されます。

算定基礎届(定時決定)の対象と期間

算定基礎届は、7月1日現在で使用しているすべての被保険者について、4月・5月・6月に受けた報酬の総額を月数で割った額を報酬月額として、標準報酬月額を決め直します。算定の基準は、3か月とも支払基礎日数が17日以上であることで、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上です(日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」)。決め直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。

17日未満の月がある人の算定は、短時間就労者の扱いを含めて同じページに別の定めがあるので、そちらで確認してください。

令和8年度の提出期間は、7月1日(水)から7月10日(金)です(日本年金機構「令和8年度の算定基礎届のご提出について」)。届出用紙は6月中旬から順次、事業所に送られます。例年の案内では、10日が土曜または日曜のときは翌営業日が期限になります。

翌年以降の期限は、その年の案内で確認してください。

次の4つのどれかに当たる人は、算定基礎届を出す必要がありません。

最後の2つの人について、紙の届出では報酬月額欄を空欄にし、備考欄の「3.月額変更予定」に〇を付けて出します。電子申請と電子媒体申請では、この2つの人を除いて作成します。8月または9月の随時改定に当たらないとわかったときは、速やかに算定基礎届を出します。

月額変更届(随時改定)の3つの要件

随時改定は、固定的賃金の変動、2等級以上の差、3か月とも支払基礎日数17日以上の3つがすべてそろったときに行います。1つでも欠けると、月額変更届の対象になりません(日本年金機構「随時改定(月額変更届)」)。

随時改定の3つの要件(日本年金機構の案内)
要件内容
(1)固定的賃金の変動昇給や降給など、支給額や支給率が決まっているものが変わった
(2)2等級以上の差変動月から続く3か月の報酬の平均から出した標準報酬月額と、従前の標準報酬月額に2等級以上の差が生じた
(3)支払基礎日数変動月から続く3か月とも、支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)

たとえば4月に支払う給与から固定的賃金が変わったときは、4月から6月の3か月の報酬の平均額で標準報酬月額を出し、従前と比べます。要件に当たると、変更後の報酬を初めて受けた月から数えて4か月目の7月分の標準報酬月額から改定されます。

固定的賃金が上がったのに残業代などが減って平均が下がり、2等級以上下がった場合や、固定的賃金が下がったのに残業代などが増えて2等級以上上がった場合は、要件の(1)と(2)の向きが合わないため、随時改定の対象になりません。

標準報酬月額の上限や下限にまたがる等級の変更は、1等級の差でも随時改定の対象です。厚生年金保険では、従前が31等級(620千円)で報酬の平均が665千円以上のとき、32等級(650千円)に改定される例が案内されています。休職給を受けた場合は固定的賃金の変動に当たらず、対象になりません。

日給の職人を雇うときの支払基礎日数と固定的賃金

支払基礎日数は、日給制や時給制では出勤日数、月給制や週給制では暦日数で数えます。日本年金機構の案内に、この数え方が示されています。

日給で職人を雇っている場合、3か月のうち現場に出た日数が17日に届かない月があると、随時改定の要件(3)は満たされません。定時決定では、17日未満の月があるときの算定が別に定められているので、出勤日数の少ない月がある人は、年金事務所の案内で確認してください。

日給や時間給の基礎単価(日当、単価)の変更は、固定的賃金の変動の例に挙がっています。日給を上げた月は、変動月として数えます。

請負給や歩合給の単価・歩合率の変更、住宅手当や役付手当など固定的な手当の追加・金額変更も同じ扱いです。給与体系を日給から月給に変えたときも、固定的賃金の変動に当たります。

さかのぼって昇給し、差額が後からまとめて支給された場合は、差額が支給された月が変動月です。差額を差し引いた3か月の報酬の平均で標準報酬月額を出して比べます。

両方に当たりそうなときの優先関係

7月、8月、9月の随時改定に当たるときは、算定基礎届で決まる標準報酬月額よりも、随時改定で決まる標準報酬月額が優先されます。算定基礎届を出したあとでも、7月・8月・9月の随時改定に当たるときは、月額変更届を出します(日本年金機構のよくある質問「算定基礎届と月額変更届(7月・8月・9月改定分)では、どちらの標準報酬月額が優先されますか」)。

7月は月額変更届を出すため、算定基礎届が不要になります。8月・9月に随時改定が見込まれる人は、その旨を申し出ると、算定基礎届を省略できます。

この整理で言えないこと

公式窓口で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社の従業員が算定基礎届の対象か、月額変更届が必要かは、管轄の年金事務所に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

社会保険の加入そのものは従業員を雇う電気工事業者の健康保険・厚生年金保険の記事、同じ時期の労働保険の申告は労働保険の年度更新の記事で整理しています。賞与を支給したときの届出は賞与支払届の記事、産休・育休中の保険料免除の扱いは産休・育休中の社会保険料免除の記事にあります。

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