公式資料をもとに整理
1年単位の変形労働時間制の要件と限度
1年単位の変形労働時間制は、労使協定を結び、労働基準監督署へ届け出ることで、1か月を超え1年以内の期間を平均して週40時間以内なら、忙しい時期に1日8時間・週40時間を超えて働かせられる制度です。従業員を雇う電気工事業者が、繁忙期と閑散期の差に合わせて使えるかを検討するときの、決まりと限度を条文と労働局の案内で確認します。
公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:協定と届出で、期間を平均して週40時間以内にする
労働基準法第32条の4は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定で必要な事項を定めたときは、対象期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲で、特定した週や日に法定労働時間を超えて働かせられると定めています。対象期間は1か月を超え1年以内の期間に限られます(e-Gov法令検索「労働基準法」)。厚生労働省の労働局の案内でも、この協定は所定の様式(労働基準法施行規則様式第4号)で所轄の労働基準監督署長に届け出るとされています(厚生労働省 兵庫労働局「1年単位の変形労働時間制」)。
- 協定と届出が要ります。就業規則や口頭の取り決めだけでは足りません。
- 労働日と労働日ごとの労働時間を、期間の前にあらかじめ特定します。特定した日や時間は、任意に変更できません。
- 日・週・連続勤務の限度があり、無制限に長く働かせられる制度ではありません。
労使協定に定める5つの事項
| 事項 | 決まり |
|---|---|
| 対象労働者の範囲 | 範囲の制限はありませんが、明確に定める必要があります。 |
| 対象期間と起算日 | 1か月を超え1年以内の期間です。期間で定める場合は起算日も必要です。 |
| 特定期間 | 対象期間中の特に忙しい期間を定められます。連続勤務の限度に関係します。対象期間の相当部分を特定期間とするのは、法の趣旨に反するとされています。 |
| 労働日と労働日ごとの労働時間 | 対象期間を平均して週40時間を超えないように定めます。 |
| 協定の有効期間 | 対象期間より長い期間にします。適切に運用するには、対象期間と同じ1年程度が望ましいとされています。 |
労働日数・労働時間・連続勤務の限度
限度は労働基準法施行規則第12条の4に定められています(e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」)。数字は次のとおりです。
| 項目 | 限度 |
|---|---|
| 労働日数(対象期間が3か月を超える場合) | 1年あたり280日。1年未満なら、案内の計算式で日数を出して端数を切り捨てます。 |
| 1日の労働時間 | 10時間 |
| 1週間の労働時間 | 52時間 |
| 週48時間を超える週(対象期間が3か月を超える場合) | 連続させられるのは3週以下。3か月ごとに区切った各期間で、週の初日で数えて3回以下。 |
| 連続して働かせる日数 | 対象期間は6日。特定期間は、1週間に1日の休日が確保できる日数。 |
すでに対象期間が3か月を超える協定があり、新しい協定で1日の最長時間が旧協定または9時間のいずれか長い時間を超える(または1週間の最長時間が旧協定または48時間のいずれか長い時間を超える)場合は、労働日数の限度が1日減るなどの例外があります。例として、旧協定が最長9時間・48時間・260日で、新協定で1日10時間にするときの労働日数の限度は259日です。
対象期間を区切って定める特例
対象期間を1か月以上の期間ごとに区切る場合は、協定で、最初の期間の労働日と労働時間、それ以外の各期間の労働日数と総労働時間を定めます。そのうえで、各期間の初日の30日以上前に、過半数労働組合または労働者の過半数代表者の同意を得て、書面で具体的な労働日と労働日ごとの労働時間を定めます。協定で定めた労働日数と総労働時間の範囲内でなければなりません(労働基準法第32条の4第2項、施行規則第12条の4第2項)。
途中入社・途中退職の人への割増賃金
対象期間より短い期間しか働かなかった人(途中で入社・退職・配置転換した人など)を平均して週40時間を超えて働かせたときは、超えた時間について、通常の割増賃金の規定の例により割増賃金を払う必要があります(労働基準法第32条の4の2)。 割増賃金の割合や時間外労働の上限は残業代の割増賃金のガイドと36協定と時間外労働の上限のガイドで確認できます。
導入前の確認チェックリスト
- 労働者の過半数で組織する労働組合、または過半数代表者と、書面で協定を結んだか
- 対象労働者の範囲、対象期間と起算日、労働日と労働日ごとの労働時間、協定の有効期間を協定に書いたか
- 対象期間を平均して週40時間以内で、1日10時間・週52時間・労働日数・連続勤務の限度を守れる予定か
- 様式第4号で、所轄の労働基準監督署へ届け出たか
- 就業規則に変形労働時間制を定める必要があるか、所轄の労働基準監督署に確認したか(就業規則の作成・届出のガイド)
- 途中入社・途中退職の人の割増賃金の清算を、賃金の計算に含めたか
- 育児や介護を行う人などに、必要な時間を確保できる配慮をしたか
この整理で言えないこと
- 自社の仕事の繁閑に、この制度が合うかどうかは判定しません。
- 1か月単位の変形労働時間制とフレックスタイム制は扱いません。事業場外みなし労働時間制は事業場外みなし労働時間制のガイドで確認できます。
- 具体的な労働日や労働時間のカレンダーの作り方、協定届の記入は扱いません。
- 休憩と休日の基本は休憩・法定休日のガイドで確認してください。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。協定の内容や届出は、所轄の労働基準監督署で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、残業の上限は36協定のガイド、労働時間の記録は労働時間の把握義務のガイドです。