公式資料をもとに整理
試用期間の長さ・解雇・保険加入の決まり
試用期間の長さに労働基準法上の定めはなく、試用期間中でも労働契約は成立しています。雇って14日以内なら解雇予告は不要ですが、14日を超えると原則30日前の予告か、平均賃金30日分以上の解雇予告手当が必要です。従業員を雇う電気工事業者が、試用期間を設けるときに押さえる決まりを、条文と厚生労働省の資料で確認します。
公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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先に結論:試用期間でも労働契約は成立している
厚生労働省の労働紛争の事例集は、通常の試用期間中の契約関係は、解約権を留めた労働契約がすでに成立していると解されるとしています(最高裁の昭和48年12月12日の判決)。つまり試用期間は「採用前のお試し」ではなく、働き始めた時点で労働契約が成り立っている期間です(厚生労働省「試用期間中の解雇」)。
- 期間の長さを決める法律上の定めはありません。
- 14日以内は解雇予告が不要で、14日を超えると予告または手当が要ります。
- 解雇にも、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が求められます。
試用期間の長さと就業規則への書き方
厚生労働省のモデル就業規則の解説は、試用期間の長さに関する定めは労働基準法上ありませんが、労働者の地位を不安定にするので、あまりに長い期間を試用期間とすることは好ましくないとしています(厚生労働省「モデル就業規則」第2章 採用、異動等)。同じモデル就業規則の第6条の条文例は、試用期間を採用した日から一定の月数とし、会社が特に認めたときは短縮または設けないことがあり、試用期間は勤続年数に通算する、という形です。
厚生労働省の関西の相談窓口(雇用労働相談センター)のよくある質問では、試用期間は一般的に3か月程度とされることが多く、必要以上に長いと無効と判断される可能性があると案内されています(雇用労働相談センター「よくあるご質問」)。期間の長さに労働基準法上の定めがない以上、3か月は法律上の基準ではなく、よくある目安です。
14日以内の解雇と14日を超えた解雇
労働基準法第21条は、試みの使用期間中の者について、解雇の予告の規定を適用しないとしています。ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、この例外に当たらず、予告の規定が適用されます(e-Gov法令検索「労働基準法」)。
| 雇ってからの期間 | 解雇予告 |
|---|---|
| 最初の14日間以内 | 予告も手当も不要で、即時に解雇できるとされています。 |
| 14日を超えた後 | 原則として30日以上前に予告するか、予告の代わりに平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります。 |
予告の日数と手当の関係、予告が不要になる例外は解雇予告と予告手当のガイドで整理しています。14日以内であっても、次の節の理由の要件は別に求められます。
本採用を拒否するときに求められる理由
労働契約法第16条は、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利を濫用したものとして無効とすると定めています(e-Gov法令検索「労働契約法」)。厚生労働省の事例集は、試用期間中の解約権の行使には、通常の解雇より広い範囲で解雇の自由が認められるが、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当と是認されるものでなくてはならないとしています。
同じ事例集は、採用当初は知ることができなかった事実が試用期間中に判明し、その人を引き続き雇うことが適当でないと判断することに客観的な合理性が認められる場合に、解約権の行使が相当とされる、と整理しています。雇用労働相談センターの案内も、能力不足や勤務態度を理由とする場合に、客観的で合理的な判断と、事前の指導や改善の機会が求められるとしています。
試用期間中の保険と労働条件の明示
雇用労働相談センターの案内では、試用期間中であっても、加入要件を満たす場合は社会保険や労働保険への加入が必要です。また、試用期間の有無、期間、試用期間中の賃金や労働条件は、雇用契約を結ぶときに書面で明示する必要があり、本採用後と条件が異なるならその内容を明確にしておくことが重要とされています。保険の加入の基本は労働保険のガイド、明示する事項は労働条件通知書のガイドで確認できます。
試用期間を設ける前の確認チェックリスト
- 試用期間の有無と長さ、期間中の賃金や条件を、雇うときに書面で示したか
- 就業規則に試用期間と、本採用しない場合の扱いを書いたか(就業規則の作成・届出のガイド)
- 14日を超えた後に解雇する場合は、30日前の予告か、平均賃金30日分以上の手当を用意したか
- 本採用を拒否する理由が、客観的で合理的か。事前の指導や改善の機会を設けたか
- 試用期間中でも、加入要件を満たす保険に加入させたか
この整理で言えないこと
- 個別の本採用拒否が有効か無効かは判定しません。
- 試用期間の延長、見習い期間の賃金の減額、有期雇用の試用は扱いません。
- 社会保険や雇用保険の具体的な加入要件は扱いません。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の解雇や雇用契約は、所轄の労働基準監督署や総合労働相談コーナーで最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、解雇の予告は解雇予告と予告手当のガイド、就業規則は作成・届出のガイドです。