公式資料をもとに整理

パート・有期雇用の待遇差の禁止と雇入れ時の明示5項目

パートや有期契約の従業員の基本給・賞与・手当は、通常の労働者(正社員など)との間に不合理な差を設けてはいけません。雇い入れたときは、昇給・退職手当・賞与の有無などの5項目を文書で伝える義務もあります。従業員を雇う電気工事業者が確かめる点を、パートタイム・有期雇用労働法の条文と厚生労働省の資料で整理します。

公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:確かめる3点

  1. 基本給、賞与、手当などの待遇ごとに、通常の労働者との相違が不合理でないか(第8条)。
  2. 雇い入れたときに、昇給・退職手当・賞与の有無、説明を求められる旨、相談窓口を文書で伝えているか(第6条)。
  3. 待遇の相違の内容と理由を聞かれたときに、説明できる状態か(第14条第2項)。

労働条件通知書の基本の項目は労働条件通知書のガイドで確認できます。この記事は、その上乗せとなるパート・有期雇用の従業員向けの決まりを扱います。

不合理な待遇差の禁止と差別的取扱いの禁止

第8条は、事業主が短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、通常の労働者の待遇との間に、不合理と認められる相違を設けることを禁じています(e-Gov法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)。不合理かどうかは、業務の内容と責任の程度、職務の内容と配置の変更の範囲、その他の事情のうち、その待遇の性質と目的に照らして適切なものを考慮して判断します。

第8条と第9条の違い
条文禁じること対象
第8条待遇ごとの、不合理な相違短時間・有期雇用労働者
第9条短時間・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取扱い職務の内容が通常の労働者と同一で、雇用関係が終わるまでの全期間、職務の内容と配置の変更の範囲も同一と見込まれる人

厚生労働省のパンフレットによると、第9条の対象になった人には、賃金、教育訓練、福利厚生施設、解雇など、すべての待遇で差別的取扱いが禁止されます。賃金の額は、所定労働時間が短いことに基づく合理的な差や個人の勤務成績による差は許されますが、通勤手当のように一般に労働時間の長短に関係なく支給されるものは、通常の労働者と同様に支給する必要があります。労働時間が短いことだけを理由に、通常の労働者より先にパートの人を解雇の対象にすることも禁止です(厚生労働省「パートタイム・有期雇用労働法の概要」)。

指針が示す手当ごとの考え方

厚生労働省の指針(平成30年厚生労働省告示第430号)は、待遇ごとに、問題となる例とならない例を挙げています(厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン(指針)」)。電気工事の現場でも関わりやすい手当を、指針の記載から抜き出します。

指針が示す手当ごとの考え方(短時間・有期雇用労働者)
手当指針の考え方
精皆勤手当通常の労働者と業務の内容が同一なら、同一の手当を支給する
時間外労働の手当通常の労働者の所定労働時間を超えて同一の時間外労働をしたなら、同一の割増率等で支給する
深夜労働・休日労働の手当同一の深夜労働・休日労働をしたなら、同一の割増率等で支給する

指針は、通常の労働者との待遇の決め方の違いを理由にする場合、「将来の役割期待が異なる」といった主観的または抽象的な説明では足りないとしています。

なお、パンフレットによると、改正された指針が令和8年10月から適用されます。改正で新たに明確化された部分があるため、運用する前に最新の指針で確認してください。割増率の基本は割増賃金のガイドで確認できます。

雇い入れたときに文書で伝える5項目

第6条は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたとき、速やかに、特定事項を文書の交付などで明示することを求めています。厚生労働省のパンフレットは、この特定事項を次の5つとしています。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 待遇の相違の内容や理由の説明(第14条第2項)を求められる旨(令和8年10月1日から施行)
  5. 相談窓口

「雇い入れたとき」には、初めて雇うときだけでなく、労働契約を更新するときも含まれます。昇給は、一つの契約期間の中での賃金の増額を指し、あるかないかをはっきり示す必要があります。支給されない場合がある制度は、「有」としたうえで、「業績により不支給の場合あり」のように書くよう、パンフレットは求めています。

違反して、行政指導でも改善されないときは、1人につき10万円以下の過料の対象になります(第31条)。5項目以外の労働条件も、文書で明示する努力義務があります(第6条第2項)。

待遇差の説明を求められたとき

第14条第2項は、従業員から求めがあったとき、通常の労働者との待遇の相違の内容と理由、決めるときに考慮した事項を説明するよう事業主に求めています。第3項は、その求めをしたことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁じています。

また、第14条第1項は、雇い入れたときに、講じている措置の内容を説明する義務を定めています。説明の根拠になる賃金の決め方は、就業規則のガイドの定めと合わせて整理しておきます。

点検チェックリスト

この整理で言えないこと

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の待遇差の判断は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で最終確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、契約を繰り返し更新した場合は有期契約の無期転換のガイド、最低賃金との関係は最低賃金のガイド、年休の比例付与は年次有給休暇の付与日数のガイドです。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。