公式資料をもとに整理
電気工事業の就業規則(作成・届出が必要な人数と記載事項)
就業規則の作成と労働基準監督署長への届出が必要なのは、パートタイム労働者なども含めて常時10人以上の労働者を使う事業場です。10人未満なら法律上の義務はありませんが、労働条件を明確にするために作ることが望ましいとされています。書く事項、意見聴取、周知、減給の制裁の上限、罰則を、労働基準法と公的資料で整理します。
公開日: 2026-10-20 / 最終更新: 2026-10-20 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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作成・届出が必要になる人数
労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけています。記載事項を変更したときも同じです(e-Gov法令検索「労働基準法」)。
| 確認点 | 公的資料の整理 |
|---|---|
| パート・契約社員 | 含めて数える(厚生労働省のパートタイム労働者向けリーフレット、東京都の資料) |
| 数える単位 | 事業所(事業場)ごと。届出も事業場ごとが原則で、条件を満たせば本社の一括届出も認められる(東京都の資料) |
| 10人未満 | 法律上の義務はない。作成は望ましいとされる(東京都の資料) |
| 10人以上になったとき | 遅滞なく所轄労働基準監督署長へ届け出る(労働基準法施行規則第49条第1項) |
出典は、厚生労働省「パートタイム労働者についても労働基準関係法令が適用されます」と東京都「パートタイム・有期雇用労働ガイドブック」(就業規則の節)です。会社に営業所が複数あるときは、営業所ごとの人数で考えます。
就業規則に書く事項
第89条は、必ず書く事項と、その定めをする場合に書く事項を分けています。
| 区分 | 事項 |
|---|---|
| 必ず書く事項(第1号〜第3号) | 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制の就業時転換/賃金の決定・計算・支払の方法、締切りと支払の時期、昇給/退職(解雇の事由を含む) |
| 定めをするなら書く事項(第3号の2〜第10号) | 退職手当/臨時の賃金(賞与など)と最低賃金額/食費・作業用品などの負担/安全・衛生/職業訓練/災害補償と業務外の傷病扶助/表彰と制裁の種類・程度/その他、全労働者に適用される定め |
電気工事業では、現場への直行直帰、工具や作業服を会社が貸すか自己負担か、高所作業や停電作業の安全ルールなどを定めるなら、該当する項目に書くことになります。厚生労働省は、作成の参考として「モデル就業規則」(令和7年12月版)の規程例と解説を公開しています(厚生労働省「モデル就業規則について」)。
就業規則は法令に反してはならず、法令に触れる就業規則の変更は、行政官庁が命じることができます(第92条)。雇い入れ時の労働条件の明示は労働条件通知書のガイドで整理しています。
意見聴取から届出までの順序
- 就業規則案を作る。
- 労働者の過半数で組織する労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴く(第90条第1項)。
- 意見を記した書面(意見書)を添えて、所轄労働基準監督署長に届け出る(第90条第2項)。意見書には、労働者を代表する者の氏名を書く(施行規則第49条第2項)。
- 従業員に周知する(次の節)。
過半数代表者は、管理監督者でないことに加え、投票や挙手など、代表者を選ぶことを明らかにした手続で選ばれた人で、使用者の意向で選ばれた人ではないことが必要です。使用者は、代表者になったことや正当な行為をしたことを理由に不利益な取扱いをしてはなりません(施行規則第6条の2)。
第90条が求めるのは「意見を聴く」ことで、同意を得ることではありません。届出書と意見書の様式は、厚生労働省の「労働基準法関係主要様式」で配布されています(高知労働局「就業規則の作成・変更・届出」)。
従業員への周知
使用者は、就業規則を労働者に周知させなければなりません(第106条第1項)。周知の方法は、施行規則第52条の2が次の3つを挙げています。
- 常時、各作業場の見やすい場所へ掲示するか、備え付ける。
- 書面を労働者に交付する。
- パソコンなどのファイルに記録し、各作業場に、労働者がいつでも内容を確認できる機器を設置する。
いずれか1つを満たせば足ります。現場が日々変わる従業員が多い事業場では、書面の交付を選ぶと、現場にいる従業員にも渡せます。
減給の制裁の上限
就業規則に遅刻や無断欠勤への減給の制裁を定める場合、第91条は上限を決めています。1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、制裁の総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1までです。
たとえば1賃金支払期の賃金総額が30万円なら、1回の額が上限内でも、その期の制裁の合計は3万円までです。賃金から差し引く扱い全体は給料の天引きのガイド、懲戒の種類と減給の計算例は懲戒処分と減給の制裁のガイドで整理しています。
違反したときの罰則
第120条は、第89条(作成・届出)、第90条第1項(意見聴取)、第91条(減給の上限)などの違反に、30万円以下の罰金を定めています。作成義務のある事業場が作らないまま、または変更を届け出ないままにすることが対象です。
この整理で言えないこと
- 本社の一括届出が認められる具体的な条件は、この記事では扱いません。所轄の労働基準監督署で確認してください。
- 就業規則の個別の条文案、懲戒の有効性、労働契約との優劣は判断できません。
- 一人親方や、請負・委託で働く人は労働者の人数に入るかの個別判断は扱いません。偽装請負との区別は請負と派遣のガイドを参照してください。
- 定年や再雇用の定めは定年と継続雇用のガイドで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。人数の数え方や届出の方法は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、残業の上限と届出は時間外労働の上限と36協定のガイド、台帳の整備は労働者名簿と賃金台帳のガイド、根拠法の全体像は労働基準法とは(目的・労働条件の明示・労働時間・割増賃金・有給休暇の条文ごとの内容)で確認できます。