自家用電気工作物の工事前

自家用の工事計画届出が要る工事(受電電圧1万V以上)

受電設備の工事計画の事前届出は、受電電圧が1万V以上の需要設備を設置する場合が中心で、6,600Vで受電するキュービクルの新設は別表第二の需要設備の欄に挙がっていません。届出が要る工事は着工の30日前までに届出が受理されている必要があります。この記事では、法第48条から施行規則第65条・別表第二へたどる順と、受電電圧による手続の違い、発電設備を足すときの見方を整理します。

公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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受電電圧1万V未満と1万V以上の違い

受電電圧1万V以上の需要設備を新設する場合は工事計画の届出が手続に含まれ、1万V未満の新設では、需要設備そのものの工事計画届出は手続の流れに出てきません。経済産業省の中国産業保安監督部の案内は、受電電圧1万V以上の需要設備、ばい煙発生施設などを設置する場合に工事計画の事前届出等が必要になると説明しています。 6,600Vの高圧で受電する一般的なキュービクルは1万V未満、22,000Vや33,000Vで受電する設備は1万V以上です。

需要設備を新設するときの工事計画届出の考え方
受電電圧工事計画の事前届出例
1万V未満別表第二の需要設備の欄の対象外。国の手続図にも、需要設備そのものの工事計画届出は出てこない(環境関連設備の別表第四は別)6,600Vで受電するキュービクル
1万V以上設置の工事が別表第二に挙がる。届出から30日を経過してから着工22,000V・33,000Vで受電する工場の受電設備

1万V未満でも手続が無いわけではありません。保安規程の届出、電気主任技術者の選任と届出、使用開始届は別に必要です。それぞれの期限は自家用電気工作物の設置者の手続で整理しています。

条文のたどり方(法第48条→規則第65条→別表第二)

電気事業法第48条第1項は、事業用電気工作物の設置・変更の工事のうち主務省令で定めるものについて、工事の計画を事前に届け出ることを求めています。届出が受理された日から30日を経過した後でなければ、その工事は始められません(同条第2項)。

どの工事が対象かは、電気事業法施行規則第65条第1項が示します。第1号は別表第二に挙がる工事、第2号は別表第四(ばい煙発生施設など環境関連)の工事です。届出書は様式第49の工事計画(変更)届出書で、添付書類は第66条と別表第三が定めます。

条文はe-Gov法令検索「電気事業法」と同法施行規則で確認しました。施行規則は2026年9月28日に取得した条文で照合しています。工事計画の事前届出が必要な場合は施行規則別表第二と別表第四で定められている、という整理は、経済産業省の自家用電気工作物設置者の申請等手続にも書かれています。

別表第二の需要設備の欄に挙がる工事

別表第二の需要設備(鉱山保安法が適用されるものを除く)の欄は、設置の工事と、変更の工事のうち次の設備に係るものです。設置・遮断器・電力貯蔵装置の行は受電電圧1万V以上の需要設備に属するものが対象で、受電電圧1万V未満の需要設備は設置の行に当たりません。

別表第二の需要設備の欄(要点)
工事の種類条文上の範囲
設置の工事受電電圧1万V以上の需要設備の設置
遮断器他の者が設置する電気工作物と接続するための遮断器(受電電圧1万V以上の需要設備に属し、電圧1万V以上のもの)の設置、遮断電流が20%以上変わる改造、取替え
電力貯蔵装置受電電圧1万V以上の需要設備に属し、容量8万kWh以上のものの設置、容量が20%以上変わる改造
上記以外の機器(計器用変成器を除く)電圧1万V以上で、容量1万kVA以上または出力1万kW以上のものの設置、改造(電圧・容量・出力が20%以上変わるもの)、取替え
電線路電圧5万V以上の電線路の設置、電圧10万V以上の電線路の1km以上の延長など

数値は施行規則別表第二の条文から転記したもので、改造・取替えの細かい条件は条文の記載が優先します。実際の工事が行に当たるかは、設備の構成を見て所轄の産業保安監督部に確認してください。

受電電圧別の手続の流れ

経済産業省の手続図は、受電電圧1万V未満と1万V以上を別の図にしています。 1万V未満の図は、電力会社への申込、需給契約、保安規程の作成と届出、電気主任技術者の選任と届出の流れで、工事計画の届出は書かれていません。 1万V以上の図には工事計画届出があり、届出から30日経過後でなければ工事を開始できない旨が添えられています。

  1. 電力会社への申込と需給契約(共通)
  2. 保安規程の作成・届出、電気主任技術者の選任・届出(共通)
  3. 1万V以上のみ:工事計画届出→受理から30日を経過→工事着手
  4. 1万V以上の図は、完成後に使用前自主検査と使用前安全管理審査を経て使用開始へ進みます(例外や詳細は国の手続図で確認)
  5. 使用開始後:使用開始届(法第53条。工事計画の届出に係る設備は対象外となる定めがあります)

使用前自己確認は別の仕組みで、施行規則別表第六に挙がる発電設備が対象です。工事計画の届出をした設置の工事は自己確認が適用されません。仕組みの違いは使用前自己確認の対象と届出で確認できます。

一時的な工事と軽微な変更

施行規則第65条第1項第1号は、事業用電気工作物が滅失・損壊した場合や災害その他非常の場合の、やむを得ない一時的な工事を届出の対象から除いています。 第2項は、届け出た工事計画の軽微な変更を、別表第二の下欄に掲げる変更の工事または別表第四の下欄の工事を伴う変更以外の変更としています。 除外や軽微変更に当たるかの判断は、工事の事情に左右されるため、着工前に所轄へ確認する扱いが安全です。

発電設備を足す場合

受電電圧が1万V未満の事業場でも、自家発電や太陽電池を足す工事は別表第二の発電所・発電設備の欄で見ます。この欄は電圧ではなく出力などで区分されています。

需要設備の欄に当たらないことと、発電所の欄(発電設備の設置・変更を含む)に当たらないことは別々に確認が必要です。蓄電所は別の行があります。

ディーゼル発電機などのばい煙発生施設や、騒音・振動の特定施設などの環境関連設備は、電圧とは関係なく別表第四で別に確認します。出力の区分は水力・火力・燃料電池・太陽電池・風力など設備の種類ごとに異なるため、本記事では転記しません。

所轄の産業保安監督部で確認する事項

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。工事計画の届出は設備の設置者が行う手続で、対象かどうかは所轄の産業保安監督部へ確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、届出の種類の全体像(設置者の手続)、 受電設備を更新する時期(キュービクルの更新時期と手続)、 主任技術者の選任(許可主任技術者制度)、 設備の持ち主が替わったときの届出(設置者変更の届出)です。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。