公式資料をもとに整理

建設業許可の事業譲渡・合併・分割の認可(事前の認可が必要)

電気工事業の建設業許可を持つ会社を譲り受ける、または合併・分割する場合、許可を引き継ぐには、譲渡や合併の日より前に、許可行政庁から認可を受けておく必要があります(建設業法第17条の2)。認可を受けないまま事業だけを移すと、許可は引き継がれません。事前の認可が要る理由、引き継げる範囲、申請先の決まり方を、条文とガイドラインの記載で整理します。

公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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認可は譲渡・合併・分割の日より前に受ける

譲渡・合併・分割で建設業者としての地位が承継されるのは、あらかじめ許可行政庁の認可を受けたときです。対象は、許可に係る建設業の全部の譲渡と、法人の合併、建設業の全部を承継させる分割です。根拠はe-Gov法令検索「建設業法」第17条の2第1項から第3項です。

承継の効力が生じるのは、譲渡・合併・分割の日とされています。

認可を受ける時期の違い(建設業法第17条の2・第17条の3)
場面認可を受ける時期条文
事業の全部の譲渡・譲受け譲渡・譲受けの前(あらかじめ)第17条の2第1項
法人の合併合併の前(あらかじめ)第17条の2第2項
法人の分割分割の前(あらかじめ)第17条の2第3項
個人事業主の相続被相続人の死亡後30日以内第17条の3第1項

相続だけは死亡のあとに申請する形で、時期の決まりが異なります。相続の場合は建設業許可の相続の認可(死亡後30日以内)で整理しています。

国土交通省の建設業許可事務ガイドライン(最終改正 令和7年2月1日)は、国土交通大臣許可に係る事務の取扱いを定めたもので、認可申請が必要になると見込まれる建設業者に、なるべく早く申し出て事前に打ち合わせを行うよう、行政庁側へ指導を求めています。都道府県知事の許可の場合の窓口の運用は都道府県ごとに異なる場合があるため、日程が決まる前に許可行政庁へ相談しておくのが前提です。以下の「ガイドライン」はこの文書を指します。

引き継げるのは許可を受けている建設業の全部

被承継人が許可を受けている建設業のうち、一部の許可だけを事業承継することは認められません。ガイドラインの【第17条の2関係】は、「許可に係る建設業の全部」を許可を受けている建設業のすべてと説明しています。電気工事業のほかに内装仕上工事業などでも許可を受けている会社から、電気工事業の許可だけを引き継ぎたい場合は、次の流れになります。

どの順で、いつまでに進めるかは、許可行政庁の窓口で確認してください。

申請先の決まり方

申請先は、譲渡人(合併消滅法人・分割被承継法人)が受けている許可の種類と、承継する側の許可の有無で決まります。条文の定めを、譲渡の場合に絞って表にします。

事業の全部の譲渡の場合の認可権者(建設業法第17条の2第1項)
譲渡人の許可認可権者
国土交通大臣の許可国土交通大臣
都道府県知事の許可その都道府県知事。ただし、譲受人が国土交通大臣の許可を受けているとき、または別の都道府県知事の許可を受けているときは国土交通大臣

合併と分割にも同じ趣旨の定めがあり、合併消滅法人や分割被承継法人のいずれかが国土交通大臣の許可を受けている場合、または複数ある法人の全員が知事の許可で、その知事が同一でない場合は、国土交通大臣が認可権者になります(同条第2項・第3項)。国土交通大臣への申請は、承継人の主たる営業所がある地域を管轄する地方整備局等で受け付けるとガイドラインにあります。

認可の対象から除かれる場合

譲渡人が一般建設業の許可で、譲受人が同じ種類の特定建設業の許可を受けている場合は、認可の対象から除かれます。逆の場合も同様で、合併・分割にも同じ趣旨の括弧書きがあります(第17条の2第1項から第3項)。一般と特定の違いは一般建設業と特定建設業の違いで整理しています。

この除外に当たるかどうかで、必要な手続き自体が変わるため、申請の前に許可行政庁へ確認してください。

引き継がれるものと引き継がれないもの

ガイドラインによると、「建設業者としての地位を承継する」とは、建設業法第3条の許可(更新を含む)を受けたことで生じる権利と義務の総体を引き継ぎ、被承継人と同じ地位に立つことです。

事業承継で引き継がれる内容(ガイドライン【第17条の2関係】の記載)
項目扱い
建設業法に基づく監督処分承継人が承継する
経営事項審査の結果承継人が承継する
建設業法第45条から第55条までの罰則承継されない(違反行為をした被承継人そのものに科されるため)

認可の審査では、一般建設業の許可に係る場合は建設業法第7条・第8条、特定建設業の許可に係る場合は第8条・第15条の基準が準用され、承継人などが基準を満たしているかが見られます(第17条の2第4項)。営業所技術者や財産的基礎の考え方は建設業許可(電気工事業)の誠実性・財産的基礎要件が参考になります。

また、認可の際には、承継に係る許可などに付された条件を取り消し、変更し、または新たに条件を付すことができるとされています(同条第5項)。

認可後の許可の種類と有効期間

認可を受けた承継の日に、承継人が受けている許可の種類が変わる場合があります。たとえば、都道府県知事の許可を受けている承継人が、国土交通大臣の許可を受けている譲渡人の地位を承継したときは、承継人が受けていた都道府県知事の許可に係る建設業(大臣許可と同一の種類を除く)が国土交通大臣の許可を受けたものとみなされ、その知事の許可は効力を失います(同条第6項第2号。第1号・第3号から第5号に別の組み合わせの定めがあります)。

有効期間は、承継の日における残存期間にかかわらず、承継の日の翌日から起算します(同条第7項)。更新の準備は電気工事業で取得した建設業許可の更新手続きで確認してください。

認可申請書の様式として、ガイドラインは様式第二十二号の五、第二十二号の七、第二十二号の八を挙げています。どの様式が自社の場面に当たるかは、許可行政庁の案内で確認してください。

電気工事業の登録は別の手続き

建設業許可の事業承継の認可と、電気工事業法に基づく登録電気工事業者の地位の承継は、別の制度です。窓口も期限も異なります。電気工事業法側の考え方は電気工事業登録の承継(相続・事業譲渡・合併・分割)、個人事業から法人に切り替える場合は個人事業主が法人成りした場合の電気工事業登録と建設業許可で整理しています。

次に知りたいこと

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。認可の要否や必要書類は譲渡人・譲受人の許可の状況によって異なるため、譲渡や合併の日程を決める前に許可行政庁の公式案内で確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。