公式資料をもとに整理
電気工事会社の設立初年度の消費税と新設法人の判定
資本金(出資金)が1,000万円以上の新設法人は、設立の最初の事業年度から消費税の納税義務が免除されず、税務署へ「新設法人に該当する旨の届出書」を速やかに出します。1,000万円未満の会社は、設立後の最初の2事業年度は原則として基準期間がないため、第9条の2の特定期間の判定に当たらない限り原則として免税ですが、親会社などに支配されていて一定の売上規模があると、特定新規設立法人として課税事業者になります。電気工事の会社を設立するときの判定の順番を、消費税法の条文で整理します。
公開日: 2026-10-22 / 最終更新: 2026-10-22 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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設立した会社が消費税を納めるかの判定の順番
消費税は、前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の事業者の納税義務を免除する仕組みで、設立直後の会社は前々事業年度がないため、資本金などの別の基準で判定します。消費税法第9条第1項が免除の原則を定め、第2条第1項第14号が、法人の基準期間を「その事業年度の前々事業年度」としています(e-Gov法令検索「消費税法」)。設立1期目と2期目には前々事業年度がないため、第12条の2と第12条の3が例外を設けています。
| 順番 | 確認すること | 当てはまるとき | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 1 | 事業年度開始の日の資本金・出資金が1,000万円以上か | 新設法人。免税にならない | 第12条の2 |
| 2 | 他の者に発行済株式の50%超などを支配され、その者の売上が一定額を超えるか | 特定新規設立法人。免税にならない | 第12条の3 |
| 3 | 上の2つに当たらない | 基準期間がなく、第9条により原則として免税(第9条の2の特定期間の判定は別に確認) | 第9条 |
資本金が1,000万円未満の会社は、順番2の特定新規設立法人に当たらないかを確認します。
資本金1,000万円以上の新設法人(第12条の2)
その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上の法人は、基準期間がない事業年度の各課税期間について、第9条第1項本文の免除が適用されません。消費税法第12条の2第1項が定めています。判定する日は事業年度開始の日で、設立1期目なら設立の日、2期目なら2期目の開始の日です。
たとえば設立1期目の資本金が500万円で、1期目の途中に増資して1,000万円になっても、1期目は新設法人になりません。一方、2期目の開始の日に資本金が1,000万円以上になっていれば、2期目は新設法人です。増資の時期が判定に響くため、資本金の額を決めるときは、事業年度の開始の日に何円になるかで見ます。
新設法人が、基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を仕入れた場合は、同条第2項により、その仕入れ等の日の属する課税期間から、その課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間まで、免除が適用されない扱いが続く場合があります。高額な工事車両や機械を買うときは、税務署か税理士に確認してください。
特定新規設立法人(第12条の3)
資本金が1,000万円未満でも、他の者に発行済株式などの50%超を保有されるなど支配され、その者の基準期間相当の課税売上高が5億円を超える会社は、特定新規設立法人として免税にならない場合があります。消費税法第12条の3第1項が定めています。支配している側の総収入金額が50億円を超える場合も対象です。
判定の基礎になる「他の者」には、その者と政令で定める特殊な関係にある法人も含まれ、売上のいずれかが基準を超えれば足ります。個人が一人で設立する会社では、その個人が他に大きな法人を経営していないかが確認点です。政令で定める関係の範囲は、税務署で確認してください。
届出書の提出(第57条第2項)
新設法人または特定新規設立法人に該当することになった事業者は、その旨を記載した届出書を速やかに納税地の所轄税務署長に出さなければなりません。消費税法第57条第2項が定めています。第12条の2と第12条の3は、判定の結果として免除が適用されなくなる規定ですが、該当した事実を税務署に知らせる届出は別に必要です。
条文は提出期限を日数でなく「速やかに」としています。法人設立届出書など、設立後に税務署へ出す他の届出の期限は設立後に税務署へ出す届出のガイドで整理しています。
インボイスの登録をした場合は免税にならない
消費税法第9条第1項のかっこ書きは、適格請求書発行事業者を免除の対象から除いています。登録を受けた会社は、基準期間の売上にかかわらず消費税を納める側になります。個人事業主の登録の考え方はインボイス登録のガイドで整理しています。
この整理で言えないこと
- 課税事業者になった場合の納税額の計算、簡易課税の選択、届出書の様式と記入方法は扱いません。
- 前事業年度の前半などの特定期間の課税売上高による第9条の2の判定、社会福祉法人など政令で除外される法人は扱いません。
- 特定新規設立法人の「特殊な関係」や課税売上高の計算方法は政令に委ねられており、細かな判定は扱いません。
- 都道府県・市区町村への法人設立の届出(法人住民税・法人事業税)は、提出期限を自治体ごとに定めているため扱いません。設立した地域の自治体の案内で確認してください。
- 資本金をいくらにするべきかは判断しません。資本金は融資や許可の要件にも関わるため、税務署、税理士、各行政庁で確認してください。
- 個人事業から法人にする手続と電気工事業登録・建設業許可の引き継ぎは法人成りのガイドで整理しています。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。自社が新設法人や特定新規設立法人に当たるか、届出書の提出時期は、所轄の税務署または税理士に確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。