低圧の系統連系の施設要件
低圧連系の保護装置と3極遮断器(解釈第226条・第227条)
低圧の電力系統に太陽光発電や蓄電池などの分散型電源をつなぐときは、異常時に自動で系統から切り離す保護装置を付けます(解釈第227条)。単相3線式では3極の遮断器、逆変換装置を用いない連系では逆潮流を生じさせない対策が、それぞれ条件つきで定められています(第226条)。この記事は、電気設備技術基準の解釈の第220条・第226条・第227条の本文を整理します。
公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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用語:分散型電源・解列・逆潮流(第220条)
第8章の用語は第220条が定め、蓄電池にあたる電力貯蔵装置も「発電設備等」に含まれます。発電設備等は、発電設備または電力貯蔵装置のうち、停電時や電圧低下時にだけ使う非常用予備電源以外のものです(第220条第1号)。
分散型電源は、電気事業法第38条第4項の一般送配電事業・配電事業・発電事業を営む者以外が設置する発電設備等のうち、電力系統に連系するものです(解釈第220条第2号)。
- 解列:電力系統から切り離すこと(第3号)
- 逆潮流:分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ(第4号)
- 単独運転:連系している電力系統が事故等で系統電源と切り離された状態でも、分散型電源が発電を続け、線路負荷に有効電力を供給している状態(第5号)
- 逆充電:連系している電力系統が事故等で系統電源と切り離された状態で、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ有効電力を供給していない状態(第6号)
条文は経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」で確認できます。
低圧連系の施設要件(第226条)
第226条は2つの項に分かれ、単相3線式の3極遮断器と、逆変換装置を用いない連系の逆潮流を扱います。
| 項 | 当たる場合 | 求められること |
|---|---|---|
| 第1項 | 単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系し、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるとき | 分散型電源を施設した構内の電路で、負荷と分散型電源の並列点よりも系統側に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設する |
| 第2項 | 低圧の電力系統に、逆変換装置を用いずに分散型電源を連系するとき | 逆潮流を生じさせない。ただし、逆変換装置を用いる連系と同等の単独運転検出と解列ができる場合は除く |
第1項の遮断器は、系統側(電力会社側)に置く点が条文の要点です。遮断器は3極のもので、過電流引き外し素子を有するものです。
保護装置と自動解列(第227条)
第227条第1項は、次の異常を保護リレー等で検出し、分散型電源を自動的に解列することを求めています。検出する異常は、第1号のイからハにまとめられています。
- 分散型電源の異常または故障(イ)
- 連系している電力系統の短絡事故、地絡事故、高低圧混触事故(ロ)
- 分散型電源の単独運転または逆充電(ハ)
第2号は、一般送配電事業者または配電事業者が運用する電力系統で再閉路が行われる場合に、再閉路のときには分散型電源が電力系統から解列されていることを求めています。
第3号イは、227-1表に規定する保護リレー等を、受電点その他の異常を検出できる場所に設置するよう定めています。表は、逆変換装置を用いるか、逆潮流があるかによって、必要なリレーの種類(過電圧リレー、不足電圧リレー、周波数リレー、逆電力リレー、単独運転検出装置など)が分かれます。省略できる条件も注記に付くため、設備ごとに原文の表を確認してください。
第3号ロは、設置する保護リレーの設置相数を227-2表で定めており、単相2線式・単相3線式・三相3線式の受電の別で決まります。
解列の方法
第227条第1項第4号イは、次のいずれかで解列することを求めています。
- 受電用遮断器
- 分散型電源の出力端に設置する遮断器、またはこれと同等の機能を有する装置
- 分散型電源の連絡用遮断器
複数の相に保護リレーを設置する場合は、いずれかの相で異常を検出したときに解列します(第4号ロ)。
解列用の遮断装置は、系統の停電中と、復電後に確実に復電したとみなされるまでの間、投入を阻止し、分散型電源が系統へ連系できないものとします(第4号ハ)。
- 逆変換装置を用いて連系する場合:2箇所の機械的開閉箇所を開放するか、1箇所を開放して逆変換装置のゲートブロックを行う(第4号ニ)。受動的方式の単独運転検出装置が動作したときは、不要動作を防ぐため、ゲートブロックだけにできる
- 逆変換装置を用いずに連系する場合:2箇所の機械的開閉箇所を開放する(第4号ホ)
一般用電気工作物または小規模事業用電気工作物で自立運転を行う場合は、第2項で、2箇所の機械的開閉箇所を開放して解列した状態で行い、連系復帰時の非同期投入を防ぐ装置を付けます。細かな除外条件は原文で確認してください。
施工前の確認点
連系の保護装置は、機器の仕様と構内の配線の両方に関わります。次の点を、図面や仕様書の段階でそろえておくと、後から保護リレーや遮断器の追加が必要になる事態を減らせます。
- 系統が単相3線式か、負荷の不平衡で中性線に大きな電流が生じるおそれがあるか
- 逆変換装置(パワーコンディショナ等)を用いる連系か、用いない連系か
- 逆潮流があるか、ないか(227-1表の列が変わる)
- 227-1表の保護リレーのうち、機器自体の保護用リレーで検出できて省略できるものはどれか
- 解列に使う遮断器は、第4号イの3つのうちどれか
一般送配電事業者への連系の申込みは、解釈とは別の手続きです。申込みの流れは系統連系の申込み、太陽光の工事の資格と登録は太陽光発電設備の設置と登録で整理しています。
次に知りたいこと
- 蓄電池の工事の資格は家庭用蓄電池の設置と登録
- 幹線の遮断器の選び方は低圧幹線の許容電流と過電流遮断器の定格
- 設備ごとの区分は設備別の電気工作物の区分早見表
よくある質問
単相3線式の低圧系統に太陽光をつなぐと、必ず3極の遮断器が要りますか
解釈第226条第1項は、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときに、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を求めています。条件が付いているため、不平衡のおそれがあるかどうかを設備ごとに確認します。
蓄電池も連系の保護装置の対象ですか
解釈第220条第1号は、発電設備等を「発電設備又は電力貯蔵装置」と定めています。電力貯蔵装置は発電設備等に含まれるため、第8章の定義上は、蓄電池も分散型電源になり得ます。個別の機器が当たるかは、所轄の窓口や一般送配電事業者に確認してください。
逆潮流とは何ですか
解釈第220条第4号は、分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れと定義しています。余剰電力を電力会社へ流すことが典型です。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の設備に必要な保護装置は、解釈の原文と、一般送配電事業者・所轄の産業保安監督部の窓口で確認してください。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。