公式資料をもとに整理

低圧幹線の許容電流と遮断器の定格(解釈第148条)

低圧幹線の電線は、供給する電気機械器具の定格電流の合計以上の許容電流が要り、電動機などがある場合は合計に加算します。幹線の電源側には、原則として幹線を保護する過電流遮断器を付けます。この記事は、電気設備技術基準の解釈の第147条(引込口の開閉器)と第148条(低圧幹線の施設)の第1項を、経済産業省の本文で整理します。

公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26

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先に結論:許容電流と遮断器の定格の2本立て

低圧幹線は、分電盤などへ電気を送る太い配線のことです。解釈第148条第1項は、低圧幹線を次の順で定めています(経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」)。

分岐回路側の遮断器と電線の組み合わせは分岐回路の遮断器と電線の太さのガイドで整理しています。幹線は、その分岐回路へ電気を送る手前の部分です。

引込口の開閉器(第147条)

第147条は、低圧屋内電路には、引込口に近い箇所で、容易に開閉できる箇所に開閉器を施設することを求めています。次のどちらかに当たる場合は、この限りではありません。

引込口の開閉器を施設しなくてよい場合(解釈第147条ただし書)
号内容
第一号使用電圧が300V以下で、他の屋内電路(15A以下の過電流遮断器、または15Aを超え20A以下の配線用遮断器で保護されたもの)に接続する、長さ15m以下の電路から供給を受ける場合です。
第二号電源側の電路に、その低圧屋内電路に専用の開閉器を、同じ構内の容易に開閉できる箇所に施設する場合です。電源側に架空部分や屋上部分があるときは、その部分より負荷側にある部分に限ります。

電線の許容電流の決め方

第148条第1項第二号は、電線の許容電流を、低圧幹線の各部分ごとに、その部分を通じて供給される電気使用機械器具の定格電流の合計値以上とします。幹線が枝分かれするなら、電源に近い太い部分ほど合計が大きくなります。

電動機またはこれに類する起動電流が大きい電気機械器具(条文では「電動機等」)の定格電流の合計が、他の電気使用機械器具の定格電流の合計より大きい場合は、次の値以上にします。

電動機等の定格電流の合計が他の機器より大きい場合の許容電流の下限(解釈第148条第1項第二号)
電動機等の定格電流の合計許容電流の下限
50A以下他の機械器具の定格電流の合計 + 電動機等の合計の1.25倍
50Aを超える他の機械器具の定格電流の合計 + 電動機等の合計の1.1倍

第三号は、これらの電流値を、需要率や力率などが明らかな場合には、それらで適当に修正した値としてよいと定めています。どの電線がどの許容電流になるかは、第146条第2項の表(146-1表・146-2表)と、周囲温度や電線管に収める本数による補正で決まります。

許容電流の計算例

次の数値は、条文の式に当てはめた計算例です。実在の現場の設計値ではありません。

幹線の許容電流の下限の計算例(解釈第148条第1項第二号の式)
条件計算許容電流の下限
電動機等の合計40A・他の機器の合計30A電動機等が他より大きく50A以下なので、30A + 40A×1.2580A
電動機等の合計60A・他の機器の合計10A電動機等が50Aを超えるので、10A + 60A×1.176A
電動機等の合計10A・他の機器の合計30A電動機等の方が小さいので加算なし、合計の40A40A

幹線を保護する過電流遮断器

第四号は、低圧幹線の電源側の電路に、その幹線を保護する過電流遮断器を施設することを原則とします。次のいずれかに当たる場合は、施設しなくてかまいません。

幹線を保護する過電流遮断器を施設しなくてよい場合(解釈第148条第1項第四号)
号条件
イ幹線の許容電流が、電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合です。
ロ過電流遮断器に直接接続する幹線、またはイの幹線に接続する長さ8m以下の幹線で、許容電流が電源側の他の幹線を保護する遮断器の定格電流の35%以上である場合です。
ハ過電流遮断器に直接接続する幹線、またはイ・ロの幹線に接続する長さ3m以下の幹線で、その負荷側に他の幹線を接続しない場合です。
ニ電気を供給する電源が太陽電池のみで、幹線の許容電流が通過する最大短絡電流以上である場合です。

たとえば電源側の遮断器が100Aなら、そこから分かれる幹線の許容電流が55A以上あれば(イ)、その幹線自体の遮断器は省略できる計算になります。許容電流が35A以上55A未満なら、長さ8m以下などロの条件を満たす場合に限られます。

遮断器の定格電流の上限

第五号は、幹線を保護する過電流遮断器の定格電流を、幹線の許容電流以下とします。電動機等が接続される幹線では、次のいずれかによることができます。

計算例では、電動機等40A・他の機器30A・許容電流80Aの幹線なら、イの値は40A×3+30A=150Aです。80Aの2.5倍は200Aで、150Aはそれを超えないので、ロの制限には当たらず、150A以下の遮断器まで選べます。電動機を含まない幹線は、原則どおり許容電流以下です。

遮断器を付ける極

第六号は、第四号の過電流遮断器を、各極(多線式電路の中性極を除く)に施設することを求めます。ただし、対地電圧が150V以下の低圧屋内電路の接地側電線以外の電線に付けた遮断器が動作したときに、各極が同時に遮断されるなら、その電路の接地側電線には付けないことができます。対地電圧150V以下の扱いは住宅の屋内電路の対地電圧150V以下のガイドに整理しています。

この整理で言えないこと

本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。個別の幹線の適否は、電気主任技術者や所轄の産業保安監督部、電力会社に確認してください。

まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。

次に知りたいことは、配線方法の選び方は場所別の屋内配線方法のガイド、漏電遮断器の設置条件は漏電遮断器のガイド、技術基準と解釈の関係は技術基準と解釈のガイドです。

一次資料の一覧は公式資料・根拠、判定ルールの検証記録は公開ルール台帳で確認できます。