墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン(基発0622第2号)
フルハーネスと胴ベルトの使い分け(6.75m超・5m以下)
墜落制止用器具は、ガイドライン上フルハーネス型が原則で、6.75mを超える箇所ではフルハーネス型を使用しなければなりません。胴ベルト型は、墜落時に着用者が地面に届くおそれがある場合に認められるもので、使える高さの目安は一般的な条件で5m以下です。 電気工事で高所に上がるときの選び方を、厚生労働省のガイドラインの文言で整理します。
公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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法令の義務とガイドラインの選び方
高さ2m以上で作業床を設けにくいときの措置は労働安全衛生規則が定め、フルハーネス型か胴ベルト型かの選び方は厚生労働省のガイドラインが示しています。条文(第518条第2項)は器具の型までは決めていません。
型の選び方を示しているのは、平成30年6月22日付けの基発0622第2号「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」です(厚生労働省の通達本文(PDF))。フルハーネス型を使う作業の特別教育は、電気工事の高所作業で必要な特別教育と技能講習で整理しています。
高さ別の使い分け(6.75mと5m)
ガイドラインは、フルハーネス型を原則とし、胴ベルト型は高さの目安以下で、かつ墜落時に地面に届くおそれがある場合に使えるとしています。作業する高さごとの扱いを表にまとめます。
| 作業する箇所の高さ | ガイドラインの扱い |
|---|---|
| 6.75mを超える | フルハーネス型を使用しなければならない(いかなる場合にも守る最低基準) |
| 5mを超えて6.75m以下 | 建設作業等の一般的な条件では、5mより高い箇所はフルハーネス型を使用する(条件が異なる場合の目安はガイドラインの算定による) |
| 5m以下 | 一般的な条件では、胴ベルト型を使える高さの目安。原則はフルハーネス型 |
- 「6.75mを超える」はガイドラインが最低基準として書いた数字で、「5m以下」は一般的な使用条件を想定した目安です。
- 胴ベルト型は、フルハーネス型を使うと墜落時に着用者が地面に到達するおそれがある場合に認められる、という位置づけです。
- 器具の選択は、フック等の取付設備の高さ、ショックアブソーバの種類、ランヤードの長さ、使用者の体重と装備の質量を合わせて行います。事業者がこれを確認して選ぶ必要があるとされています。
6.75mと5mの数字はどこから来るか
6.75mは、ショックアブソーバの自由落下距離の最大値4mと、伸びの最大値1.75mの合計5.75mに、1mを加えた高さです。胴ベルト型を使える高さの目安は、フルハーネス型を使うと仮定したときの自由落下距離とショックアブソーバの伸びの合計に、1mを加えた値以下とされています。
5mは、建設作業等での一般的な条件を当てはめた目安の高さです。条件は、取付高さ0.85m、ランヤード長さ1.7m、自由落下距離2.3m、第一種ショックアブソーバの伸びの最大値1.2m、ハーネス等の伸び1m程度です。 これより高い箇所では、フルハーネス型を使うよう書かれています。
第一種ショックアブソーバは自由落下距離1.8mで衝撃荷重4.0kN以下、第二種は自由落下距離4.0mで6.0kN以下のものです。
ガイドラインは、腰の高さ以上にフック等を掛けて作業できるときは第一種、足下にフック等を掛ける必要があるときや両方が混在するときは、フルハーネス型にして第二種を選ぶとしています。 天井の配線のように腰より高い位置に掛けられる作業と、足下に掛ける作業では、選ぶ種類が変わる点が、電気工事で確認する箇所です。
柱上作業などのワークポジショニング
ロープの張力で体を保持するU字つりのような作業(ワークポジショニング作業)では、保持用の器具とは別に、墜落を制止する器具を併用する必要があります。ガイドラインは、ワークポジショニング用の器具は実質的に墜落を防ぐ効果があるものの、墜落したときに制止するバックアップとして墜落制止用器具を併用するとしています。
- ワークポジショニング作業では、足下にフック等を掛ける作業は通常ないため、第一種ショックアブソーバを選びます。足下に掛ける作業が含まれる場合は第二種です。
- ワークポジショニング用のロープは、移動時の掛替えには使えますが、作業中は別に、墜落制止用器具の要件を満たすランヤードを使います。
取付設備と器具の点検
高さ2m以上で要求性能墜落制止用器具等を使わせるときは、安全に取り付けるための設備等を設け、器具と取付設備の異常の有無を随時点検することが事業者の義務です(労働安全衛生規則第521条)。ガイドラインは、日常点検のほかに定期点検を行い、定期点検の間隔は半年を超えないこととしています。
この整理で言えないこと
- ガイドラインは通達で示された基準で、条文そのものではありません。6.75mや5mを超えたときの法的な扱いは、所轄の労働基準監督署で確認してください。
- 個別の作業で、どの型・どのショックアブソーバ・どのランヤード長が適切かは判定しません。
- 製品の規格適合や、メーカーごとの使用可能質量は、各製品の取扱説明書で確かめてください。
- 条文の主語は事業者です。一人親方など労働者を使用しない場合の扱いは、この記事では断定しません。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。ガイドラインの最新の内容、器具の選び方、点検の頻度は、所轄の労働基準監督署または都道府県労働局で確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。