電気設備の技術基準の解釈 第143条・電路の対地電圧の制限
住宅の対地電圧150V以下の規定と例外(解釈第143条)
住宅の屋内電路の対地電圧は、原則として150V以下と決められています。ただし、定格消費電力2kW以上の機器の専用回路などは300V以下まで認められます。経済産業省の「電気設備の技術基準の解釈」第143条で、原則と例外の条件を整理します。
公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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原則は150V以下(住宅の屋内電路)
解釈第143条第1項は、住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く)の対地電圧を150V以下と定めています。そのうえで、第一号から第五号までのいずれかに当たる場合は、この限りでないとしています。条文の見出しは「電路の対地電圧の制限」で、省令の第15条、第56条第1項、第59条、第63条第1項、第64条に対応する解釈です。
同じ条は、第2項で住宅以外の場所の家庭用電気機械器具、第3項で白熱電灯の対地電圧も定めています(後の節で整理します)。
対地電圧とは何の電圧か
対地電圧は、接地式電路では電線と大地との間の電圧、非接地式電路では電線間の電圧を指します。この定義は、省令第58条の表の中で書かれています(e-Gov法令検索)。
つまり、接地式の電路では「電線間の電圧」と「対地電圧」が一致するとは限りません。機器の銘板に書かれた電圧と、この条文で見る対地電圧は、電路の接地のしかたを確かめたうえで分けて考えます。
住宅で300V以下まで認められる例外
| 号 | 対象 | 認められる対地電圧 |
|---|---|---|
| 第一号 | 定格消費電力2kW以上の電気機械器具と、これに電気を供給する屋内配線 | 300V以下 |
| 第二号 | 当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線 | 300V以下 |
| 第三号 | 太陽電池モジュールに接続する負荷側の屋内配線 | 直流450V以下 |
| 第四号 | 燃料電池発電設備または常用電源として用いる蓄電池に接続する負荷側の屋内配線 | 直流450V以下 |
| 第五号 | 第132条第3項の規定により屋内に電線路を施設する場合 | この号自体には電圧の数値なし(第132条第3項による) |
各号には、電圧のほかに施設の条件が付いています。たとえば第二号は、人が触れるおそれがない隠ぺい場所に、合成樹脂管工事、金属管工事またはケーブル工事で施設することが条件です。
第三号と第四号は、地絡が生じたときに自動で電路を遮断する装置の施設が原則です。第三号は直流電路が非接地などで合計出力20kW未満の場合、第四号は直流電路が非接地で逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を置く場合など、条文の条件に合えば省略できます。
定格消費電力2kW以上の機器の条件
第一号は、2kW以上の機器とその屋内配線を、次の条件をすべて満たして施設する場合に300V以下まで認めます。条文の書き方どおりに並べると、次のとおりです。
- 屋内配線は、その機器のみに電気を供給するものであること(イ)。
- 機器の使用電圧と、これに電気を供給する屋内配線の対地電圧は、300V以下であること(ロ)。
- 屋内配線に簡易接触防護措置を施すこと(ハ)。
- 機器にも簡易接触防護措置を施すこと。ただし、絶縁性のある材料で堅ろうに作られた機器の場合などは除く(ニ)。
- 機器は屋内配線と直接接続して施設すること(ホ)。
- 電路に専用の開閉器および過電流遮断器を施設すること。過電流遮断器が開閉機能を持つものなら、過電流遮断器のみでよい(ヘ)。
- 電路に、地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、容量3kVA以下の絶縁変圧器を電源側に置き、その負荷側を非接地にするなど、条文の条件に合う場合は除く(ト)。
簡易接触防護措置は、解釈第1条の定義で、屋内では床上1.8m以上の高さで人が通る場所から容易に触れない範囲に設備を施設するか、さく・へいや金属管などで人が接近・接触しないようにする措置を指します。
条件の「ホ」は、機器を屋内配線と直接接続して施設すると書いています。コンセントやプラグを介して使う機器がこの号に当たるかどうかは、条文だけでは判断できないため、個別の機器と工事は所轄の電力会社や設計者、電気保安の専門家に確認してください。
エアコンやIH調理器、電気温水器など個別の機器の設置工事で必要な資格や区分は、エアコン設置工事の登録の要否、IH調理器の設置工事の登録の要否で整理しています。
住宅以外の場所・白熱電灯の場合
- 第2項: 住宅以外の場所の屋内に施設する家庭用電気機械器具に電気を供給する屋内電路は、対地電圧150V以下が原則です。条件を満たせば300V以下とすることもできます。
- 第3項: 白熱電灯(特別低電圧照明回路の白熱電灯を除く)に電気を供給する電路も、対地電圧150V以下が原則です。住宅以外の場所で、白熱電灯と電線に接触防護措置を施すなど条文の条件を満たすと300V以下にできます。
- 第3項第三号: 白熱電灯の電球受口は、キーその他の点滅機構のないものとされています。
電圧の区分や、屋内配線・屋側配線の区別は、低圧・高圧・特別高圧の電圧区分、屋内配線・屋側配線・屋外配線の区別で確認できます。
この整理で言えないこと
- 個別の住宅や機器が第143条のどの号に当たるか、工事が適合するかは判定しません。
- 電力会社の供給条件、内線規程、メーカーの施工説明書が求める追加の条件は扱いません。
- 第132条第3項(第五号が参照する規定)の内容は、この記事では整理していません。
- 引用した条文は、記事の確認日に公開されている解釈の本文です。解釈は改正されるため、最新の本文は経済産業省のページで確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 個別の工事の適否は、所轄の産業保安監督部や電力会社、電気主任技術者などの専門家に確認してください。条文は経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(第143条、第1条第三十七号)、e-Gov法令検索「電気設備に関する技術基準を定める省令」(第58条)です。
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次に知りたいことは、100V・200Vの電圧の許容範囲は供給電圧の許容範囲、分岐回路の遮断器と電線は分岐回路の遮断器・電線の太さ・コンセント、技術基準の位置づけは省令と解釈の違いです。