主任電気工事士が欠けたときの手続き
主任電気工事士が欠けたときの後任選任と変更届
主任電気工事士が退職・死亡・欠格になったときは、知った日から2週間以内に後任を選任し、変更の日から30日以内に変更届を出します。2つの期限は、根拠の条文も起算日も別です。この記事は、電気工事業法第19条・第10条・第28条・第39条と、同法施行規則第7条の本文を、時間の順に整理します。
公開日: 2026-10-23 / 最終更新: 2026-10-23 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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条文はe-Gov法令検索「電気工事業の業務の適正化に関する法律」で確認できます。
主任電気工事士が「欠ける」場合
第19条第3項は、後任の選任が必要になる場合を4つの号で定めており、主任電気工事士が退職・死亡した場合は第2号に当たります。
| 号 | 場合 | 具体例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 主任電気工事士が、第6条第1項第1号から第4号までのいずれかに該当するに至ったとき | 欠格事由に当たる場合(第6条第1項第1号から第4号は、この法律などに違反して罰金以上の刑を受け2年を経過していない者、登録の取消しから2年を経過していない者など) |
| 第2号 | 主任電気工事士が欠けるに至ったとき(第2項の特定営業所について、第1項が適用されるに至った場合を含む) | 退職・死亡・異動。第2項により第1項が適用されなかった営業所で、第1項が適用されるようになった場合も含む |
| 第3号 | 営業所が特定営業所となったとき | これまで一般用電気工事を扱わなかった営業所が扱い始めた |
| 第4号 | 新たに特定営業所を設置したとき | 営業所の増設(営業所の増設・移転の手続き) |
特定営業所は、一般用電気工作物等に係る電気工事(一般用電気工事)の業務を行う営業所です(第19条第1項)。登録電気工事業者自身(法人は役員のいずれか)が資格を満たし、自ら主としてその営業所の業務に従事する場合は、別に主任電気工事士を置かなくてよいと定められています(第2項)。
後任の選任(2週間以内)
第19条第3項の期限は、各号の場合に該当することを知った日から2週間以内です。起算日は「辞めた日」や「届出を受けた日」ではなく、「知った日」と書かれています。
条文は、期限内に選任することを求めています。この2週間のあいだ、営業所で一般用電気工事の作業をどう扱うかは条文に書かれていないため、登録した経済産業大臣または都道府県知事の窓口に確認してください。
後任になれる人の要件
後任は、第19条第1項の主任電気工事士の要件を満たす人です。
- 第一種電気工事士、または
- 第二種電気工事士免状の交付を受けた後、電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士
- 第6条第1項第1号から第4号までに該当しないこと(罰金以上の刑・登録取消し・事業停止中の廃止などから一定期間を経過していること)
登録申請時と同じ書面が、変更届にも必要になります。施行規則第7条第2号は、変更が主任電気工事士等に係るものであるときに、第2条第2項第2号から第4号までの書面を求めています。
- 主任電気工事士が第6条第1項第1号から第4号までに該当しない者であることを誓約する書面(第2号)
- 主任電気工事士が登録申請者の従業員であることを証する書面(第3号)
- 第一種電気工事士なら免状の交付を受けていることを証する書面、第二種なら免状の交付後3年以上の実務経験を証する書面(第4号)
変更届(30日以内)
主任電気工事士の氏名と免状の種類・交付番号は、登録申請書の記載事項です(第4条第1項第4号)。後任に替わったら、変更の日から30日以内に変更届を出します(第10条第1項)。届出書は様式第十一で、登録をした経済産業大臣または都道府県知事に提出します(施行規則第7条)。
| 項目 | 後任の選任 | 変更届 |
|---|---|---|
| 根拠 | 法第19条第3項 | 法第10条第1項、規則第7条 |
| 期限 | 該当することを知った日から2週間以内 | 変更の日から30日以内 |
| 相手先 | (会社内の選任) | 登録をした経済産業大臣または都道府県知事 |
登録証に記載された事項にも変更があるときは、届出に登録証を添えて訂正を受けます(第10条第2項)。届出書の書き方は変更届出書(様式第11)の書き方で整理しています。
放置したときの罰則と処分
- 後任を選任しなかった者:3万円以下の罰金(第39条第1号)
- 第19条第3項に違反したとき:登録の取消し、または6か月以内の期間を定めた事業の全部または一部の停止(第28条第1項第3号)
- 第10条第1項の変更届をしない、または虚偽の届出をしたとき:同じく取消しまたは停止の事由(第28条第1項第2号)。あわせて2万円以下の罰金の対象です(第40条第1号)
第28条は「取り消し、又は…停止を命ずることができる」という書き方で、処分の重さは行政庁の判断です。個別の見通しは窓口で確認してください。
欠けたときの時間順チェック
- 主任電気工事士が欠けたことを知った日を記録しておく(2週間の起算日になる)
- 後任の候補が、第一種電気工事士か、第二種電気工事士で免状交付後3年以上の実務経験があるかを確認する
- 2週間以内に後任を選任する
- 変更の日から30日以内に、様式第十一の変更届に、施行規則第7条第2号の書面を添えて提出する
主任電気工事士の職務と、営業所ごとの置き方は主任電気工事士の要件と役割、複数の営業所を兼ねられるかは主任電気工事士の複数営業所の兼任で確認できます。
次に知りたいこと
- 登録後の義務の全体は電気工事業登録後に確認する義務
- 5年更新や廃止の期限は登録更新・変更・廃止の期限カレンダー
- 営業所の増設・移転は営業所の増設・移転の手続き
よくある質問
主任電気工事士が退職したら、いつまでに後任を選びますか
電気工事業法第19条第3項は、主任電気工事士が欠けるに至ったことを知った日から2週間以内に、後任を選任することを求めています。退職・死亡のどちらも、営業所に主任電気工事士がいなくなる点は同じです。
2週間と30日は、何が違いますか
2週間は、後任を選ぶ期限です(第19条第3項、欠けたことを知った日から)。30日は、登録申請書の記載事項が変わったときの変更届の期限です(第10条第1項、変更の日から)。主任電気工事士の氏名は登録申請書の記載事項(第4条第1項第4号)なので、後任を選んだあとに変更届も出します。
後任を選ばないままにすると、どうなりますか
第39条第1号により、3万円以下の罰金の対象です。加えて、第28条第1項第3号により、登録の取消しまたは6か月以内の事業停止を命じられることがあります。
自家用電気工作物の工事だけの会社も、主任電気工事士が必要ですか
第19条の主任電気工事士は、一般用電気工作物等に係る電気工事の業務を行う営業所(特定営業所)ごとに置くものです。自家用電気工事のみの電気工事業は、第17条の2の通知電気工事業者となり、第28条第2項の停止命令の事由にも第19条は含まれていません。ただし、扱う工事の範囲は営業所ごとに確認が必要です。
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。主任電気工事士が欠けた場合の具体的な扱いは、登録をした経済産業大臣または都道府県知事の窓口で確認してください。
一次資料の一覧は公式資料・根拠で確認できます。
建設業許可(電気工事業)も受けている場合は、営業所技術者や常勤役員等が辞めたときの届出が別にあります(建設業許可の営業所技術者・常勤役員等が退職したとき)。