公式資料をもとに整理
年次有給休暇の買い上げの可否(予約・法定超過分・退職間際)
法定の年次有給休暇は、お金を払っても「与えた」ことにならず、買い上げを予約して休める日数を減らすことも認められません。一方で、法律の最低日数を上回って会社が独自に与えている日数の買い上げは、違法にならないとされています。電気工事業で従業員を雇う事業者向けに、労働局の案内と労働基準法第39条から、買い上げの可否を整理します。
公開日: 2026-10-24 / 最終更新: 2026-10-24 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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法定の年休を買い上げで済ませられるか
労働基準法第39条は、使用者が一定の条件を満たした労働者に年次有給休暇を「与えなければならない」と定めています(e-Gov法令検索「労働基準法」)。鹿児島労働局の案内は、この規定を理由に、金銭を支給しても与えたことにはならないと説明しています(鹿児島労働局「年次有給休暇 Q8」)。
同じ案内は、買い上げの予約をして請求できる日数を減らしたり、請求された日数を与えなかったりすることもできないとしています。和歌山労働局の案内も、休むことが年休の目的であり、買い上げる代わりに休めなくなっては意味がないとして、原則として買い上げはできないとしています(和歌山労働局「主な相談内容(事業主の方へ)」)。
ケース別の可否
次の表は、2つの労働局の案内に書かれている範囲を、場面ごとに並べたものです。
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 取得を請求された法定の日数に、金銭を支給して休ませない | 金銭を支給しても与えたことにならず、請求された日数を与えないことはできない |
| 「使わなければ買い取る」と前もって約束し、請求できる日数を減らす | 買い上げの予約をして請求できる日数を減らすことはできない |
| 法定の最低日数を上回って会社が独自に与えている日数 | 買い上げは違法とはならない |
たとえば、勤続6か月で法定の10日を与える会社が、独自に12日を与える就業規則を置いている場合、上乗せ分の2日は表の3行目にあたります。どこまでが法定の日数かは、勤続年数ごとの日数の表(年次有給休暇の付与日数のガイド)で確認します。
年5日の取得義務と金銭の支給
使用者は、年10日以上の年休が付与される労働者に、そのうち5日を、基準日から1年以内に時季を定めて与えなければなりません(労働基準法第39条第7項)。この義務も「与える」ことを求めているため、金銭の支給では果たしたことになりません。取得状況が5日に届かない従業員がいるときは、時季を定めて休ませる側の対応になります。
義務の内容は年5日の取得義務のガイドにまとめています。
退職間際の年休の請求
和歌山労働局の案内は、退職間際の労働者が残った年休を退職日までの勤務日に充てたいと申し出たとき、年休は労働者の権利なので拒むことはできないとしています。引継ぎなどが必要なら、退職する労働者と話し合い、退職日を遅らせてもらうなどの方法を考えるとしています。
残りの日数を金銭で精算して休ませない、という扱いは表の1行目にあたり、案内の範囲では選べません。退職時の賃金や証明書は退職時の賃金支払のガイドで整理しています。
この整理で言えないこと
- 2年の時効で消えた日数や、退職後に残った日数を金銭で精算できるかは、今回確認した労働局の案内に書かれていないため、判定しません。実際に精算する場合は、労働基準監督署に確認してください。
- 法定を上回る日数を買い上げる場合の金額や、就業規則への書き方は扱いません。
- 個別の従業員の付与日数の判定は、就業規則の定めと労働基準監督署の案内によります。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 年次有給休暇の扱いは、所轄の労働基準監督署または総合労働相談コーナーで確認してください。条文はe-Gov法令検索「労働基準法」です。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、雨で休みになった日の扱いを整理した休業手当と有給休暇のガイドです。