建設業法 第40条の3・施行規則 第26条・第28条
電気工事の完成図(竣工図)は引渡しから10年保存
建設業の許可を受けた電気工事業者が保存する「完成図」は、目的物を引き渡した日から10年間の保存が必要です。ただし、保存が求められる図書は、発注者から直接請け負ったか、下請として施工したかで変わります。電気工事業法の帳簿(配線図は記載の日から5年)との違いも、条文から整理します。
公開日: 2026-10-24 / 最終更新: 2026-10-24 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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保存義務がかかるのは建設業の許可を受けた業者
建設業法第40条の3は、建設業者に、営業所ごとに帳簿を備え、帳簿と「営業に関する図書」で国土交通省令が定めるものを保存するよう求めています。同法第2条第3項は、「建設業者」を第3条第1項の許可を受けて建設業を営む者と定めています。
許可が不要な軽微な工事だけを請け負う事業者は、条文上の「建設業者」に当たりません。請負金額の線は許可が不要な軽微な工事の金額で整理しています。許可を受けた後の帳簿・標識の義務は許可後の標識・帳簿の義務にまとめています。
条文の「完成図」とは
施行規則第26条第5項第一号は、完成図を「建設工事の目的物の完成時の状況を表した図」と定めています。対象は、工事の施工上の必要に応じて作成した図、または発注者から受領した図です。
- 条文に出てくる語は「完成図」です。「竣工図」「施工図」という語は、この条には出てきません。
- 保存の対象は、施工上の必要に応じて作成した、または発注者から受け取った完成図です。条文は、完成図を必ず作成するよう求める書き方ではありません。
- 現場や契約書で「竣工図」「as-built図」などと呼ぶ図面が完成図に当たるかは、図面の内容(完成時の状況を表すか)と契約書・仕様書の定義で確認します。
立場別に保存する図書(施行規則第26条第5項)
保存する図書は、発注者から直接請け負ったか、施工体制台帳を作成する建設業者か、それ以外(下請など)かで3通りに分かれます。施工体制台帳を作成するのは、民間工事では、発注者から直接請け負った特定建設業者で下請契約の合計が政令の金額以上になる場合です(建設業法第24条の8第1項)。施行規則はこの建設業者を「作成建設業者」と呼びます。
公共工事には、金額に関わらず作成を求める別の定め(入札契約適正化法)があります。
| 図書(同項の号) | 発注者から直接請け負った(作成建設業者を除く) | 作成建設業者 | それ以外(下請など) |
|---|---|---|---|
| 完成図(第一号) | 保存 | 保存 | 対象外 |
| 発注者との打合せ記録(第二号) | 保存 | 保存 | 対象外 |
| 施工体系図(第三号) | 対象外 | 保存 | 対象外 |
| 材料費等記載見積書(第四号) | 保存 | 保存 | 保存 |
| 見積書の内容に関する注文者との打合せ記録(第五号) | 保存 | 保存 | 保存 |
下請として施工する電気工事業者は、完成図そのものは第26条第5項の保存対象に入りません。見積書(第四号)とその打合せ記録(第五号)が対象です。
- 第四号の材料費等記載見積書は、建設業法第20条第1項に基づいて作成したときに保存します。
- 第二号の打合せ記録は、施工上の必要に応じて作成し、請負契約の当事者が相互に交付したものに限られます。
- 施工体系図については施工体制台帳と施工体系図で整理しています。
保存期間は引渡しから10年
施行規則第28条第2項は、第26条第5項の図書の保存期間を、請け負った建設工事ごとに、目的物の引渡しをしたときから10年間と定めています。起算日は完成した日や工事代金を受け取った日ではなく、引渡しをした日です。
- 10年は工事1件ごとに数えます。複数の工事の図書をまとめて、最後の工事から10年とする書き方ではありません。
- 電子データでの保存は第26条第8項に定めがあります。必要に応じて営業所でパソコンなどの機器を用いて、紙面または画面に明確に表示できる状態にしておく場合に、その記録をもって図書に代えられます。
- 帳簿そのものと添付書類の保存期間は5年です(宅地建物取引業者を除く発注者と契約した住宅の新築工事は10年)。第28条第1項に別に定められており、図書の10年とは異なります。
電気工事業法の帳簿との違い
電気工事業法の帳簿にも配線図の記載があります。ただし、根拠法令も保存期間も別です。
| 項目 | 建設業法の完成図 | 電気工事業法の帳簿の配線図 |
|---|---|---|
| 対象となる事業者 | 建設業の許可を受けた建設業者 | 登録電気工事業者・通知電気工事業者 |
| 根拠 | 建設業法第40条の3、施行規則第26条第5項 | 電気工事業法第26条、施行規則第13条 |
| 保存期間の起算 | 目的物の引渡しをしたとき(10年間) | 帳簿へ記載した日(5年間) |
許可を受けた電気工事業者は、両方の義務を負います。同じ図面を両方の保存に使えるかは条文からは決められないため、所轄の窓口に確認してください。工事の検査記録の残し方は竣工検査の記録で整理しています。
この整理で言えないこと
- 個別の工事が完成図の保存対象になるか、どの立場に当たるかの判断はしません。
- 民間工事での竣工図の提出範囲や納品形式は、契約書・仕様書で決まる事項で、本記事では扱いません。
- 施行規則は改正されるため、最新の条文はe-Gov法令検索で確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 図書の保存義務の個別の扱いは、許可を受けている国土交通大臣または都道府県知事の担当窓口に確認してください。条文はe-Gov法令検索「建設業法」(第2条、第24条の8、第40条の3)とe-Gov法令検索「建設業法施行規則」(第26条、第28条)です。
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次に知りたいこと:電気工事業の帳簿の記載項目、施工体制台帳と施工体系図、許可後の標識・帳簿の義務