電気設備の技術基準の解釈 第197条第1項
パイプラインの発熱線は低圧・発火温度80%以下(解釈197条1項)
パイプライン等に発熱線を施設する場合は、電路の使用電圧を低圧とし、発熱線の温度を被加熱液体の発火温度の80%以下にします。発熱線の種類、接続する電線、接地工事、専用の開閉器と地絡遮断装置、表示の決まりを、解釈第197条第1項から整理します。
公開日: 2026-10-24 / 最終更新: 2026-10-24 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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第1項が対象にするパイプライン等
「パイプライン等」とは、導管およびその他の工作物により液体の輸送を行う施設の総体をいいます。第1項は、このパイプライン等に発熱線を施設する場合の決まりです。ただし、発熱線を送配水管・水道管に固定して施設する第4項の場合は、第1項の対象から除かれています。
パイプライン等自体に電流を通して発熱させる装置(第2項)や、表皮電流加熱装置(第3項)は、第1項とは別の定めです。水道管の発熱線は水道管の発熱線は300V以下・80℃以下(解釈第197条第4項)で整理しています。
電圧・発熱線の種類・接続する電線
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 電路の使用電圧 | 低圧であること(第一号) |
| 発熱線の種類 | MIケーブル、露出して使用しないものは第195条第1項第二号イ・ロに適合するもの、露出して使用するものはJIS C 3651(2014)附属書Aの第3種発熱線に係る性能などに適合するもの。いずれも発生する熱に耐えること(第二号) |
| 発熱線に直接接続する電線 | MIケーブル、クロロプレン外装ケーブル(絶縁体がブチルゴム混合物かエチレンプロピレンゴム混合物のものに限る)、ビニル外装ケーブル(絶縁体がビニル混合物、架橋ポリエチレン混合物、ブチルゴム混合物、エチレンプロピレンゴム混合物のものに限る)(第三号) |
第4項の水道管の場合は使用電圧300V以下と上限が決まっていますが、第1項のパイプライン等は「低圧」であることだけが書かれています。低圧は、電気設備に関する技術基準を定める省令第2条で、直流750V以下・交流600V以下のものとされています。電圧区分の整理は低圧・高圧・特別高圧の区分で確認できます。
発熱線の施設方法と温度の上限
第四号は、発熱線を次の3点に沿って施設するよう定めています。
- 人が触れるおそれがなく、損傷を受けるおそれがないように、断熱材または金属製のボックス等の中に収めて施設すること(イ)。
- 発熱線の温度は、被加熱液体の発火温度の80%を超えないように施設すること(ロ)。
- 他の電気設備、弱電流電線等、他のパイプライン等、ガス管またはこれに類するものに、電気的・磁気的・熱的な障害を及ぼさないように施設すること(ハ)。
温度の上限は、水道管の第4項のような「80℃以下」ではなく、液体ごとの発火温度に対する割合(80%)で決まります。どの数値になるかは輸送する液体によって変わるため、本記事では具体的な温度の数値は示しません。
接続部分と接地工事
発熱線相互、または発熱線と電線とを接続する場合は、電流による接続部分の温度上昇が接続部分以外の温度上昇より高くならないようにします(第五号)。そのうえで、次のとおり施します。
- 接続部分には接続管その他の器具を使い、またはろう付けし、その部分を発熱線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆すること(イ)。
- 発熱線または発熱線に直接接続する電線の被覆に使う金属体相互を接続する場合は、接続部分の金属体を電気的に完全に接続すること(ロ)。
| 電路の使用電圧 | 接地工事 |
|---|---|
| 300V以下 | D種接地工事 |
| 300Vを超えるもの | C種接地工事 |
接地工事を施す対象は、発熱線、発熱線に直接接続する電線の被覆に使う金属体、およびパイプライン等です。種類ごとの接地抵抗値は接地工事A〜D種で整理しています。
電路の開閉器・遮断器と表示
発熱線に電気を供給する電路について、第七号は次の2点を定めています。
- 専用の開閉器と過電流遮断器を各極に施設すること(多線式電路の中性極の過電流遮断器は除く)。過電流遮断器が開閉機能を有するものであれば、過電流遮断器のみとすることができます(イ)。
- 電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること(ロ)。
第八号は、パイプライン等の人が見やすい箇所に、発熱線を施設してある旨を表示するよう求めています。この表示は、水道管に固定する第4項では準用されていない規定です。地絡遮断装置の一般的な設置義務は漏電遮断器の設置が必要な電路で整理しています。
この整理で言えないこと
- 個別の施設が、条文のどの項に当たるかは判定しません。
- JIS C 3651の試験値、第195条第1項第二号の細目、第2項・第3項の材料・寸法は、本記事では扱いません。
- 輸送する液体の発火温度は液体ごとに異なり、具体的な温度の数値は示せません。
- 工事に電気工事士の資格が要るかどうかは、別の法律(電気工事士法)の話で、第197条では決まりません。
- 解釈は改正されるため、最新の本文は経済産業省のページで確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。 個別の施設の適否は、所轄の産業保安監督部や電気主任技術者などの専門家に確認してください。条文は経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(第197条)です。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいこと:水道管の発熱線は300V以下・80℃以下(解釈第197条第4項)、電気温床は300V以下・80℃以下(解釈第196条)