官庁営繕の電気設備工事を受注する場合
電気設備工事の施工計画書の種類と承諾が要る部分
施工計画書は「総合施工計画書」と「工種別施工計画書」の2段で作り、品質計画に係る部分は監督職員の承諾が必要です。国土交通省の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)では、どちらも着手前または施工前に監督職員へ提出します。令和7年版(令和7年3月21日制定、同年5月12日最終改定)の第1編第1章第2節1.2.2から整理します。
公開日: 2026-10-28 / 最終更新: 2026-10-28 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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総合施工計画書と工種別施工計画書の違い
標準仕様書の公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版1.2.2は、施工計画書を次の2種類に分けています。
| 項目 | 総合施工計画書 | 工種別施工計画書 |
|---|---|---|
| 内容 | 工事全般に関する総合的な計画をまとめたもの | 品質計画、施工の具体的な計画、一工程の施工の確認内容と確認を行う段階を定めたもの |
| 作る時期 | 工事の着手に先立って | 工事の施工に先立って |
| 提出先 | 監督職員 | 監督職員 |
| 省略できる場合 | 規定なし | あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでない |
作成にあたっては、関連工事等の関係者と調整のうえ、十分検討することも求められています。電気設備工事は建築・空調衛生など他の工事と取り合うことが多いため、関連工事の担当者と調整してから計画書をまとめることになります。
工種別施工計画書にある「一工程の施工」とは、同じ材料を使い、同じ施工方法で作業が行われる場合で、監督職員の承諾を受けたものを指します(1.1.2)。この単位ごとに、何を、どの段階で確認するかを定めておく書類です。
提出と承諾が分かれる部分
1.1.2の用語の定義では、「提出」は書類を説明して差し出すこと、「承諾」は、受注者等が書面で申し出た事項について監督職員が書面で了解することです。施工計画書は、この2つが部分によって分かれます。
- 総合施工計画書と工種別施工計画書の全体:監督職員に提出する
- そのうち品質計画に係る部分:監督職員の承諾を受ける。品質計画に係る部分を変更するときも、承諾が必要
- 品質計画以外の内容を変更する必要が生じたとき:監督職員に報告し、施工等に支障がないよう適切な措置を講ずる
品質計画とは、設計図書で要求された品質を満たすために、工法等の精度等の目標、品質管理、体制を具体的に示すことです(1.1.2)。施工計画書に書いた品質計画は、そのまま施工中の品質管理の基準になります。1.3.4は、1.2.2の品質計画に基づいて適切な時期に品質管理を行い、必要に応じて監督職員の検査を受けること、結果に疑義が生じたら監督職員と協議することを定めています。
書面で承諾を得る流れが前提なので、口頭の了解だけでは、標準仕様書の定義上は承諾を受けたことになりません。「書面」は発行年月日と氏名が記載された文書を指し(1.1.2)、紙に限るとは書かれていません。電子メール等の扱いは、設計図書と監督職員の指示で確認してください。
施工計画書と一緒に出す工程表・施工図等
施工計画書は、実施工程表・施工図等・工事写真などとあわせて「工事関係図書」と呼ばれます(1.1.2)。提出と承諾の扱いは書類ごとに違います(1.2.1〜1.2.3)。
| 書類 | 取り扱い |
|---|---|
| 実施工程表(1.2.1) | 工事の着手に先立って作成し、監督職員の承諾を受ける。変更が必要になったときは、当該部分の施工に先立って承諾を受ける |
| 施工計画書(1.2.2) | 提出が基本。品質計画に係る部分は承諾が必要 |
| 施工図等(1.2.3) | 工事の施工に先立って作成し、監督職員の承諾を受ける。あらかじめ承諾を受けた場合は、この限りでない |
実施工程表には、電気設備工事ならではの定めもあります。概成工期が特記された場合は、実施工程表等に概成工期、受電日、総合試運転調整に要する工程を明記します(1.2.1(6))。監督職員から指示を受けたときは、週間工程表、月間工程表、工種別工程表等を補足として作って提出します。
工事関係図書には、工事写真も含まれます。撮影の対象や黒板の項目は、末尾の「次に知りたいこと」に挙げた記事で確認できます。
この標準仕様書が使われる範囲
標準仕様書は、国土交通省官庁営繕部と地方整備局等営繕部が官庁施設の営繕を行うための基準として制定されたもので、関係省庁連絡会議の決定にもとづく統一基準です。個々の工事で適用されるかどうかは、発注者の設計図書(特記仕様書や現場説明書など)で確認してください。標準仕様書に書かれた事項は、別の定めがある場合を除き、受注者の責任で履行するものとされています(1.1.1)。
設計図書は互いに補完し合うものとされ、相違があるときの優先順位は、質問回答書、現場説明書、特記仕様、図面、標準仕様書の順です。これにより難い場合は、監督職員との協議によります(1.1.1、1.1.8)。
地方自治体や民間工事では、別の仕様書や手引きで施工計画書の様式・提出先が定められていることがあります。受注した工事の設計図書で、どの基準が適用されるかを先に確認してください。現場代理人と主任技術者の違いは別のガイド、施工体制台帳と施工体系図はこちらのガイドにまとめています。
次に知りたいこと
- 営繕工事の電気設備工事写真の撮影対象:施工中の記録の取り方
- 下請けとして出す現場の安全書類:元請へ提出する書類の整理
- 完成検査の記録:施工後に残す試験・検査の資料
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。施工計画書の様式や提出方法は、受注する工事の設計図書と発注者の指示を確認してください。