公式資料をもとに整理
電気工事業のセクハラ防止措置(対価型・環境型)
労働者を雇う事業主は、職場のセクシュアルハラスメントを防ぐため、相談に応じる体制の整備などの措置を講じなければなりません。対価型と環境型の違い、現場や取引先が職場に含まれること、講じる措置、勧告に従わないときの公表を整理します。
公開日: 2026-10-29 / 最終更新: 2026-10-29 / 診断ルールの確認日: 2026-07-26
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事業主の義務と対象の労働者
男女雇用機会均等法第11条第1項は、職場で行われる性的な言動に対する労働者の対応で労働条件に不利益を受けること、または性的な言動で就業環境が害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備など、雇用管理上必要な措置を事業主に義務づけています。第2項は、労働者が相談したことなどを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁止しています(e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」)。
厚生労働省の指針(平成18年厚生労働省告示第615号)は、対象の「労働者」を、正規雇用だけでなく、パートタイム労働者や契約社員などの非正規雇用を含めて、事業主が雇用する労働者の全てとしています。派遣労働者については、派遣先も雇用する労働者と同様に措置を講じる必要があるとしています(厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)。
指針は、同性に対するセクシュアルハラスメントも対象としています。被害を受けた人の性的指向や性自認にかかわらず、指針の対象になります。
対価型と環境型
指針は、職場のセクシュアルハラスメントを、対価型と環境型の2つに分けています。環境型は、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
| 型 | 内容 | 指針が挙げる例 |
|---|---|---|
| 対価型 | 職場で行われる性的な言動に対する労働者の対応(拒否など)により、その労働者が労働条件で不利益を受けるもの | 性的な関係を要求して拒否されたため解雇する。出張中の車中で腰や胸に触り、抵抗されたため配置転換する |
| 環境型 | 職場で行われる性的な言動により、労働者の就業環境が害されるもの | 腰や胸に度々触る。性的な情報を意図的かつ継続的に取引先で流布する。抗議にもかかわらずヌードポスターを掲示する |
職場に含まれる場所
指針は、「職場」を、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所としています。通常就業している場所以外でも、業務を遂行する場所は含まれます。
指針は、取引先の事務所、取引先と打合せをするための飲食店、顧客の自宅などを、労働者が業務を遂行する場所であれば職場に当たる例として挙げています。電気工事の現場や、依頼主の自宅での作業も、業務を遂行する場所です。
事業主が講じる措置
指針は、事業主が講じなければならない措置を、次の4つに整理しています。パワーハラスメントの措置と同じ構成です。
| 柱 | 内容 |
|---|---|
| 方針の明確化と周知・啓発 | セクハラの内容と、行ってはならない旨の方針を明確にして、管理監督者を含む労働者に周知・啓発する。行為者に厳正に対処する旨の方針と対処の内容を、就業規則などの文書に規定して周知・啓発する |
| 相談に応じる体制の整備 | 相談窓口をあらかじめ定めて周知する。窓口の担当者が、内容や状況に応じて適切に対応できるようにする。セクハラが生じるおそれがある場合や、該当するか微妙な場合も、広く相談に対応する |
| 事後の迅速かつ適切な対応 | 事実関係を迅速かつ正確に確認する。あらためて方針を周知・啓発するなど、再発防止の措置を講じる。事実が確認できなかった場合も同様に行う |
| 併せて講じる措置 | 相談者・行為者などのプライバシーを保護する措置を講じて周知する。相談したことや、事実関係の確認に協力したことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を定めて周知・啓発する |
就業規則への規定は、常時10人以上の労働者を使う事業場では作成・届出の義務があります。手順は就業規則の作成・届出のガイドで整理しています。
令和8年10月1日からは、採用面接やインターンシップの参加者への防止措置も義務になります。内容は求職者等へのセクハラ防止措置のガイドで整理しています。
従わないときの勧告・公表
- 厚生労働大臣は、事業主に報告を求め、助言、指導または勧告ができます(第35条第1項)。
- 第11条第1項または第2項に違反している事業主が、勧告に従わなかったときは、その旨を公表できます(第36条)。
この整理で言えないこと
- 個別の言動がセクハラに当たるか、現場での会話や接触が許される範囲かは、この記事では判断できません。
- 被害を訴えた人や行為者への処分、懲戒の可否、損害賠償は扱いません。
- 事実確認の後に、被害を受けた人と行為者へどのような措置を講じるかは、この記事では扱いません。指針の全文は、厚生労働省の資料で確認してください。
公式窓口で確認する事項
本記事は一般的な制度整理であり、個別案件の法的判定、電気工事の施工・設計、申請書類の作成や提出代行を行うものではありません。措置の具体的な内容や個別の相談は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で最終確認してください。
まだ自身の区分を確認していない場合は、回答を保存・送信しない電気工事業区分セルフチェックを使うと、新規開業時の4区分の目安を表示できます。
次に知りたいことは、職場の暴言や叱責はパワハラ防止措置のガイド、顧客からの迷惑行為は顧客等からのハラスメント対策のガイド、採用時の書面は労働条件通知書のガイドで確認できます。